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賃貸借契約と保証人、子供の損害賠償責任について
- 賃貸借契約で子供が連帯保証人の契約だった場合、賃貸人は相続人である子供に対して原状回復の損害賠償を請求できる。
- 賃借人が逝去すれば、連帯保証人は連帯保証人としての責任から解除され、相続人としての責任のみを負う。
- 連帯保証人としての責任と賃借人としての責任は異なるが、具体的な責任内容は契約書によって異なる場合がある。
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長いので2つに分けます。また、今回の質問文だけを見て回答します。 ●A01. そうです。 ●A02. いいえ。 上述の通り、2つの責任が併存します。したがって、質問者さんはどちらの責任を追及してもOKです。 ●A03. 責任の内容は同じです。 但し、相続人として負う責任は「相続割合の範囲」で、です。相続人が一人で全部の責任を負う必要はありません。 また、相続した責任と連帯保証人としての責任の、片方の責任が履行されれば他方は消滅します。 ●A04. そうでしょうね。相続人が複数ある場合は単純にはいきませんが。 ●A05. ●A06. 『解約するまでに、・・・ 、原状回復をしなければ、ならない』となっているなら、原状回復をしないうちに解約はできない、と解することができます。 ●A07. 『もし、そうなら、』の「そう」って●Q06の「解約できる」としたら、ということですか。 もし、そうなら、解約できないと解するので、回答は不要ですね。 ●A08. 質問者さんの言動次第でしょう。 質問者さんの契約では、解約とは原状回復が済んでから行われるべきものなのに、例えば質問者さんが、無条件で解約を認めたのなら、その時点までに「原状回復が済んでいる」と認めたことになりかねません。 原状回復が済んでいると認めたのなら、その後の損失は質問者さんが負担すべきものでしょう。 解約を認めていないなら、相続人もしくは連帯保証人が責任を負うことになりますが、反面、解約を認めていないなら、賃貸借契約はまだ継続中なので原状回復を求めるのは無理でしょう(原状回復は解約までにすればいい)。 質問者さんの言動次第では、その中間もありえます。 以上は「例えば」の話です。真実はどうなのか、質問文からは判断できません。 ●A09.~10 一般的には、「明け渡し通告とともにカギが返還された時」でしょう。本件では、明け渡しの前提となる解約の前に原状回復すべしという約款があるようですので、「原状回復をしたうえでの解約通知とカギの返還」があった時でしょうか。 ●A13. 原状回復をしないでおこなった「解約」を質問者さんがどうとらえて、返事をしたか、でしょうね。 質問者さんの契約では、原状回復って解約通知の前に為されているべきものですよね?その解約通知を黙って受け取った(解約を了承)したのなら、「原状回復ももうすでに終わった(あれでいいよ)」という、新たな合意があったと受け取れないこともありません。 そうなると、カギを受け取った後の、明け渡し遅延損害金の請求は難しいかもしれません。 例えば、「原状回復請求権を留保」して解約通知を受け取ったのなら損害賠償請求もできるでしょう。 このあたり、質問者さんの言動しだいの微妙さがありますので、請求ができる・できない、結論がどっちに転ぶかは、判断できません。
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- fujic-1990
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後半部です。 ●A14. 原状回復遅延の責任があるとすれば、契約違反だから。 ●A15. > 賃貸人が、賃借人を解除することは、できないのですか? 賃借人を解除する、とはどういう意味でしょう。賃貸借契約を解除する、の間違いですか。 それならば、すでに解約されているらしいので(解約されているとすれば)、「解除」に意味はありません。賃貸借契約の場合、解約も解除も同じ意味で、将来に向かって契約をナシにする意味ですので、1度でOKです。 ●A16. 賃借人の相続人である連帯保証人が、契約の「解約」後、賃貸人が賃借人、連帯保証人に契約の解除を申し立てることは、してもいい(可能)ですが「無意味」です。すでに解除の効果は発生していますので、同じことを2度やっても3度やっても意味はありません。 もちろん、その「解約」を「正当な解約」として受け入れた場合は、ということです。 もし質問者さんが(解約通知は受け取ったが)「借主側がした解約は無効」だとか思っているなら、再度、質問者さんから「契約解除」の通知をすることには意味があります。 そして、その契約解除通知を出発点として、さまざまな請求権、例えば遅延損害金とか、家賃相当額の損害金だとか、が発生することになります。 また、まだ(借主側からの解約は無効であり)質問者さんが契約を解除していないなら、まだ賃貸借契約は継続中ということになりますよね。原状回復は解約までにやればいいのですから、「今すぐ原状回復しろ」と請求することはできないですよね? そういう「できないことを請求する裁判」は棄却。原告の敗訴です。 簡裁の裁判官の質問は、そんな請求権などが発生しているのかどうか、知りたいのではないでしょうか?もちろん、その場にいなかった私の推測にすぎませんが。 ●A17. 真実を、どうぞ。 ただ、第三者として考えると、通知の機会がない、ってナニと思います。電話一本で済む(証拠としては問題があるが)話ですから、機会はあったでしょう、と思います。 例えば(ほんの一例) 解約が有効だと思うなら、「向こうから解約されたのであえてこちらから解約する必要はないと思って、解約通知はしていない」 解約が無効だ(=契約は継続中)と思うなら、「家賃をもらったほうがいいなと思ってまだ解除はしていない」とかとか。 これまで質問者さんが言ってきたことと矛盾すると、請求が根拠のない不当な請求になってしまったり、印象が悪くなりますので、つじつまが合わなくなったりしないように、よくよくお考え下さい。
お礼
原状回復の遅延損害金を取れるかどうかは、以下の参照が参考になるのでは、ないでしょうか? http://www.tago-law.com/akewatashi.html 明渡義務の完了時期 ●●●●●●●●++ ORIGINAL MESSAGE ++ > 賃貸借契約において,目的物の返還に先立って原状回復することが定められていれば格別,そうでない限り原状回復義務が目的物返還義務に必然的に先行する関係にあるとはいえない」 と記載されています。この意味は、逆に言うと、 > 賃貸借契約において,目的物の返還に先立って原状回復することが定められていれば、原状回復義務が目的物返還義務に必然的に先行する関係にあると言える。」 と解釈できます。 ●●●●●●●● ●●●●●●●●++ ORIGINAL MESSAGE ++ 「被告は,原状回復工事に必要な相当期間は,本件ビルを第三者に賃貸することができず,その間の賃料相当額は,被告の債務不履行により通常生ずべき損害であるから,原告はその支払義務を負う旨主張するが,一般に,建物賃貸借契約において,当該契約終了に基づく建物返還後,少なくとも通常想定しうる範囲の原状回復工事に必要な相当期間については,特段の合意のない限り,賃借人に賃料等を負担させないものとするのが通例である」 と記載されています。この意味は、逆に言うと、 > 「被告は,原状回復工事に必要な相当期間は,本件ビルを第三者に賃貸することができず,その間の賃料相当額は,被告の債務不履行により通常生ずべき損害であるから,原告はその支払義務を負う旨主張している。一般に,建物賃貸借契約において,当該契約終了に基づく建物返還後,少なくとも通常想定しうる範囲を超えた原状回復工事、 つまり、賃借人の重大な故意、過失による重大な損傷による原状回復工事、 に必要な相当期間については,賃借人に賃料等を負担させることが相当である。」 と解釈できます。 ●●●●●●●● ●●●●●●●●++ ORIGINAL MESSAGE ++ <7> もっとも,上記「目的物の返還に先立って原状回復することが定められていれば格別」「特段の合意のない限り」との表現から,予め賃貸借契約で定めていれば,原状回復未了の間,賃借人に違約金(明渡遅延損害金)や賃料相当損害金を負担させることも可能と解する余地はあります。 ●●●●●●●● ●●●●●●●●++ ORIGINAL MESSAGE ++ 賃貸人が新たな賃貸借契約を締結するのに妨げとなるような重大な原状回復義務の違背が賃借人にある場合には,これを目的物返還義務(明渡義務)の不覆行と同視して,賃借人は賃貸借契約終了後一六日目から右のような原状回復義務履行済みに至るまで賃料相当額の損害金を賃貸人に支払わなければならないとするにあるものと解するが相当である。 ●●●●●●●● ●●●●●●●●++ ORIGINAL MESSAGE ++ 「新たな賃貸借の妨げとなり,あるいは被控訴人に過大な原状回復工事の負担をかけるような重大な原状回復義務の違背がある場合には,明渡義務の不履行に当たるというべきである。 ●●●●●●●● ●●●●●●●●++ ORIGINAL MESSAGE ++ 契約書で,例えば「賃借人は建物を原状に復した上で明け渡すものとし,これを遅滞した場合には,退去あるいは動産類搬出の有無に拘わらず,違約金として明け渡し及び原状回復工事完了まで1か月あたりの賃料の倍額を支払う」との条項が置かれ,かつ他の条項も加味して解釈し,原状回復義務が明渡しの前提と解するのが合理的と判断される場合には,仮に退去,鍵の返却及び動産の搬出が全て完了していたとしても,(少なくとも重大な)原状回復義務が未了の間は,賃借人には違約金(明渡遅延損害金)を支払う義務が生じる可能性が高い。 ●●●●●●●● http://www.tago-law.com/akewatashi.html 敬具
お礼
レスありがとうございます。 色々と解説ありがとうございます。 参考になりました。 > 質問者さんの契約では、解約とは原状回復が済んでから行われるべきものなのに、例えば質問者さんが、無条件で解約を認めたのなら、その時点までに「原状回復が済んでいる」と認めたことになりかねません。 > 原状回復が済んでいると認めたのなら、その後の損失は質問者さんが負担すべきものでしょう。 > 解約を認めていないなら、相続人もしくは連帯保証人が責任を負うことになりますが、反面、解約を認めていないなら、賃貸借契約はまだ継続中なので原状回復を求めるのは無理でしょう(原状回復は解約までにすればいい)。 しかし、上記のようなデッドロックになってしまうというのは、賃貸人としても、困ります。 解除と解約とは、意味が、異なるので、これを整理して、裁判官にも、通知できれば、良いなと感じます。 意味が、同じだとすると解釈に混乱が、発生して、訳が分からなくなります。 契約書には、 ●●●●●●●● 解約するまでに、建物内に損傷、毀損がある場合は、原状回復をしなければ、ならない (01) と言うのは、よく見ると間違いで、正しくは、 ●●●●●●●● 本物件の明け渡し時において、乙(賃借人)は、通常の使用に生じた本物件の損傷を除き、、本物件を原状回復しなければならない。 との文言でした。 > 原状回復をしないでおこなった「解約」を質問者さんがどうとらえて、返事をしたか、でしょうね。 > 質問者さんの契約では、原状回復って解約通知の前に為されているべきものですよね?その解約通知を黙って受け取った(解約を了承)したのなら、「原状回復ももうすでに終わった(あれでいいよ)」という、新たな合意があったと受け取れないこともありません。 > そうなると、カギを受け取った後の、明け渡し遅延損害金の請求は難しいかもしれません。 > 例えば、「原状回復請求権を留保」して解約通知を受け取ったのなら損害賠償請求もできるでしょう。 > このあたり、質問者さんの言動しだいの微妙さがありますので、請求ができる・できない、結論がどっちに転ぶかは、判断できません。 ●●●●●●●● > 契約書には、解約通知後、明渡しが、遅延した場合は、遅延した期間の二倍の > 明渡し遅延損害金を支払う と言う文言は、正確には、以下の文言でした。 ●●●●●●●● 乙(賃借人)が、明け渡しを遅延した時は、乙は、甲(賃貸人)に対して、 賃貸借契約が、解除された日、 または、消滅した日の 翌日から、明け渡しの完了の日までの間の賃料の倍額に相当する損害金を支払わなければ、ならない。 やはり、言葉の使い方をもっと、正しく、整理する必要があります。 http://www.tago-law.com/akewatashi.html は、参考になるのではないでしょうか? ,
補足
【事 例】 建物明渡義務と原状回復義務の関係 「賃貸借契約終了したにも拘らず明け渡しを遅滞した場合には,違約金として明け渡しまで1か月あたりの賃料の倍額を支払う」 との違約金条項(明渡遅延損害金)の有効性を前提に,賃借人が契約終了に伴い期限通りに退去して賃貸人に鍵を返却したものの,依然として賃借人が室内に設置した固定パーテーションや固定書棚だけが撤去されずに残されていた場合,これらの撤去が完了するまで「明渡し」とは認められず,賃貸人は賃借人に対し明渡遅延損害金を請求することができるか。 【解 説】 <多湖・岩田・田村法律事務所/平成25年5月版> <1> 賃貸借契約が終了すると,賃借人は原状回復義務を負いますので,原則として,建物を最初に借りたときと同じ状態(経年劣化等の通常損耗は除く)に戻さなければなりません。 従って,賃借人が施した内装設備すなわち壁紙,床板,造作(エアコン,パーテーション等)は,全て撤去する必要があります。 <2> 他方,賃貸借契約が終了すると,賃借人には建物を占有する権限(賃借権)がなくなるわけですから,賃借人は,建物から退去し,賃貸人に建物を返還(明渡)しなければなりません(これを目的物明渡義務(返還義務)といいます)。 具体的には, (1)賃借人(同居人含む)が建物から退去すること, (2)鍵やセキュリティーカード等賃貸人から交付を受けた物を返却すること, (3)建物内の動産類を搬出すること,を完了させなければなりません。 逆にいえば,これら3つのうちいずれか1つでも完了してなければ,未だ「明渡し」とはいえず,これらが全てが完了するまでの間,賃借人は違約金(明渡遅延損害金)を支払わなければなりません。 なお,私見ですが, (3)については,若干の動産(例えば食器類や文房具類)が建物内に残っていたとしても,物理的・費用的に容易に搬出でき,社会通念上賃貸人の管理支配に支障のない程度のものであれば,(3)は完了しているとみなして良いでしょう(給湯室に若干の食器類が残されていただけで「明渡しが完了していない」というのではあまりに不当でしょう)。 <3> では,賃借人が建物内に備え付けたパーテーションや書棚,じゅうたん等が撤去されず残されていた場合,(原則としてこれらの撤去義務が原状回復義務として賃借人の義務とされていることは前述の通りですが),「明渡し自体が未完了だ」として,賃貸人は賃借人に対し,違約金(明渡遅延損害金)を請求することはできるのでしょうか。 別の言い方をすれば,「明渡義務」の中に「原状回復義務」が含まれるのかが問題となります。 <4> この点につき,【東京地裁平成18年12月28日判決】は,「一般に,賃貸借契約における賃借人の目的物返還義務としての不動産の明渡しとは,当該不動産の占有者が立ち退くとともに,不動産内にあった動産を取り除いて賃貸人に直接的な支配を移すことであると解される」とし,「天井ないし床に固定されたパーテーション及び壁ないし床に固定された書棚が残置していた」としても,「本件不動産から退去し,内部にあった動産を取り除き,原告に本件不動産の鍵を返還したと認められるから,同日をもって本件不動産を明け渡したと認めるのが相当である」と判示しました。 <5> そして,明渡義務(返還義務)と原状回復義務の関係については,「本件不動産内のパーテーションや書棚は床等に固定されているものと認められるから,それを撤去することは賃借人の原状回復義務として必要になるが,民法上,借用物の返還義務と原状回復義務は異なるものであり,後者が履行されなければ前者が履行されない,という関係にはない」とした上, 「一般にオフィスビルの賃貸借においては,次の賃借人に賃貸する必要から,賃借人は返還に際して賃貸借契約締結時の原状に回復することまで要求される場合が多いとしても,原状回復義務は目的物変返還後に履行することも可能であるから,賃貸借契約において,目的物の返還に先立って原状回復することが定められていれば格別,そうでない限り原状回復義務が目的物返還義務に必然的に先行する関係にあるとはいえない」 と判示しました。 <6> また,【東京地裁平成21年1月16日判決】でも , 「被告は,原状回復工事に必要な相当期間は,本件ビルを第三者に賃貸することができず,その間の賃料相当額は,被告の債務不履行により通常生ずべき損害であるから,原告はその支払義務を負う旨主張するが,一般に,建物賃貸借契約において,当該契約終了に基づく建物返還後,少なくとも通常想定しうる範囲の原状回復工事に必要な相当期間については,特段の合意のない限り,賃借人に賃料等を負担させないものとするのが通例である」 と判示されており,明渡後,原状回復完了までの期間中,次のテナントに賃貸できないからといって,同期間中の賃料相当損害金を債務不履行(原状回復義務違反)に基づく損害賠償として賃借人に対し請求することも,原則として認められません。 <7> もっとも,上記「目的物の返還に先立って原状回復することが定められていれば格別」「特段の合意のない限り」との表現から,予め賃貸借契約で定めていれば,原状回復未了の間,賃借人に違約金(明渡遅延損害金)や賃料相当損害金を負担させることも可能と解する余地はありますが, 契約書に,原状回復工事を賃貸人または賃貸人指定の業者が実施する旨の特約や原状回復工事内容を賃貸人側が決定する旨の特約がある場合には,賃貸人が必要以上の期間をかけて原状回復工事をした場合にも,その間は明渡し未了となり賃借人は違約金(明渡遅延損害金)を負担することになってしまい合理的とはいえないため,そのような場合には,原状回復義務を明渡しの内容としたり明渡義務に先行するもの解することはやはりできないでしょう(前記【東京地裁平成18年12月28日判決】も概ね同様に解しています)。 <8> この点については,【東京高裁昭和60年7月25日判決】が,「『賃借人は,賃賃借契約が終了したときは,賃借人の加えた造作,間仕切,模様替その他の施設及び自然破壊と認めることのできない破損箇所を賃貸人の指示に従って契約終了の日から一五日以内に賃借人の費用をもって原状に回復しなければならない。』,『賃借人は,右の条項による明渡完了に至るまでの賃借料及び付加使用料に相当する金額を賃貸人に支払い,なお損害のある場合にはこれを賠償しなければならない。』との各条項が記載されていることが認められるところ,本件建物のような営業用建物の賃貸借契約の実情に照らして判断すれば,その趣旨とするところは,賃貸借契約の終了に伴う目的物の返還義務と原状回復義務とは本来必ずしも一致するものではないけれども,賃貸人が新たな賃貸借契約を締結するのに妨げとなるような重大な原状回復義務の違背が賃借人にある場合には,これを目的物返還義務(明渡義務)の不覆行と同視して,賃借人は賃貸借契約終了後一六日目から右のような原状回復義務履行済みに至るまで賃料相当額の損害金を賃貸人に支払わなければならないとするにあるものと解するが相当である。 したがって,右の程度に至らない程度の軽微な原状回復義務の違背があるに過ぎない場合においては,賃貸人は,それによって被った損害の賠償を請求し又はその代替履行のために要した費用の償還を請求することができるのは格別,当然に賃料相当額の損害を賃借人に請求することができるものではない」と判示していることも参考になるでしょう。 なお,【高松高裁平成24年1月24日判決】も 「新たな賃貸借の妨げとなり,あるいは被控訴人に過大な原状回復工事の負担をかけるような重大な原状回復義務の違背がある場合には,明渡義務の不履行に当たるというべきであるが,そのような程度に至らない場合には直ちに明渡義務自体の不履行となるものではない」 として同趣旨のことを述べています。 【結 論】 以上より,頭書事例では,原状回復が未了だからといって明渡し未了(遅滞)とはならず,賃借人は,違約金(明渡遅延損害金)を支払う義務はありません。 但し,契約書で,例えば「賃借人は建物を原状に復した上で明け渡すものとし,これを遅滞した場合には,退去あるいは動産類搬出の有無に拘わらず,違約金として明け渡し及び原状回復工事完了まで1か月あたりの賃料の倍額を支払う」との条項が置かれ,かつ他の条項も加味して解釈し,原状回復義務が明渡しの前提と解するのが合理的と判断される場合には,仮に退去,鍵の返却及び動産の搬出が全て完了していたとしても,(少なくとも重大な)原状回復義務が未了の間は,賃借人には違約金(明渡遅延損害金)を支払う義務が生じる可能性が高いといえます。 *この点に関しては,契約書全体を通読し他の条項も加味して当該違約金契約条項の趣旨を法的に判断する必要がありますので,必ず法律専門家に相談されることをお勧め致します。