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塩化水素と水

koz7291の回答

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  • koz7291
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回答No.5

 こんばんは。whipwhopさんがこのような疑問を持たれるということは、化学の本質的・核心的なところに触れているからだと思います。真剣に勉強に取り組まれており、まじめな方だと感じます。 >HClやH2O(2は下付き)がイオン結合でなく共有結合である理由は何でしょうか?  「完全に共有結合である」のは、水素分子(H2)、酸素分子(O2)、塩素分子(Cl2)などのように、同じ種類の原子の間の共有結合のみです。塩化水素(HCl)などのように、異なる種類の原子の間の結合は、「共有結合性が何パーセント、イオン結合性が何パーセント」のように表します。以下をご参照ください。 http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E5%85%B1%E6%9C%89%E7%B5%90%E5%90%88 「共有結合 - 薬学用語解説 - 日本薬学会」 ----------------------------------- ある結合が共有結合性であるかイオン結合性であるかは結合にかかわる原子の性質による.水素分子や塩素分子は同一の原子から構成されており,電子は均等に共有されている.したがって完全に共有結合性である.しかし異なった原子,特に電気陰性度の差が大きい原子同士から成る分子では電子は均等に共有されておらず,結合が極性をもっている.したがって,そのような分子では共有結合とイオン結合の両者の性質をもつ結合となる.一般に電気陰性度の差が2.0 以上の場合,イオン結合とみなされるが,明確に分ける区切りというわけではない.たとえば,C-Mg 結合は共有結合性が65%,イオン結合性が35%というように表現される. -----------------------------------  上の記述では、炭素-マグネシウム結合(C-Mg結合)の場合を取り上げ、共有結合性の方がイオン結合性よりも大きくなっています。この結合は、グリニャール試薬(Grignard試薬)という有機化学でよく用いられる試薬の中に存在する結合で、大学の有機化学で出てくるのですが、大学の有機化学の教科書には、 “C-Mg+”(-、+は上付き) と書かれている場合がよくあります。これは、C-Mg結合のイオン結合性を強調した書き方ですが、「共有結合性の方が高い」という数字から言えば、「共有結合である」ということになります。しかし、大学の有機化学で上のように完全なイオン結合のように書かれているのは、有機化学で扱われるグリニャール試薬の反応(グリニャール反応)では、 「炭素がマイナスに、マグネシウムがプラスに」 帯電して、結合が切れる、という性質が重要だからです。  長々と脱線したようですが、それではご質問の、 「HClやH2O(2は下付き)がイオン結合でなく共有結合である理由は何でしょうか?」 に対する答えとしては、私は、 「イオン結合ではない」 というのは言い過ぎで、 「部分的にはイオン結合である」 と言ってもいいと思います。しかし、高校(大学受験)のレベルでHClやH2Oの結合が「共有結合である」とされている(そういう答えが求められている)のは、 ・分子を構成する(“HCl”や“H2O”など。対して、《地球表面の条件では》“NaCl”という分子は存在しない)。 ・結合に方向性がある(「水分子の結合角が109°48′」などということが分かっている)。 ということが、高校課程で重要なポイントであるからだ、と思います。 (上で、《地球表面の条件では》と書きましたが、例えば地球の中心部とか、宇宙のどこかの星の太陽の何倍もの大きな星の中心とか、圧力が何ギガパスカル、温度が何千度・何万度などというような条件下では、“NaCl分子”などというものが存在するのかもしれませんが、それは確認されていません) >参考書には共有結合の特徴として融点が非常に高いこととありますがどちらも高くないです。そもそも高い低いというのは相対的な関係なので何を持って高いというのかよくわかりません。  これは、whipwhopさんに誤解があります。「共有結合の特徴」ではなく、「共有結合結晶の特徴」なのです。「共有結合結晶」とは、「共有結合だけで構成された結晶」のことで、ダイヤモンドがそうですが、HClでは、H原子とCl原子の間の結合は共有結合ですが、HCl分子とHCl分子の間には強い結合が存在せず、分子間引力という弱い引力で引き合っているだけなので、融点が低いのです。これは、分子間引力の特徴が現れたものです。一方、ダイヤモンドは、「分子」という構成単位が存在せず、 (「巨大分子」と言われることもありますが) C-C結合のみでひたすらつながった物質だから、融点が高いのです。  上で述べましたが、「大学受験で求められる答え」というものもあり、つきつめて考えると教科書に書いてあることも、よーく考えるとおかしな、矛盾したことがある場合がありますが、「実はこういう事実があるのだが、ここではこういうことが重要で、こういう答えが求められているんだ」ととらえて、勉強を進めていってください。

noname#257638
質問者

お礼

その奥に何があるのか興味をかきたてる回答ありがとうございました。もっと勉強したくなりました。

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