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買主の過失により不動産が滅失した場合
不動産の売買契約で、買主の過失により不動産が滅失した場合には、危険負担の問題になり、買主負担で売買代金は支払わなくてよいことになりますが、売主は危険負担を主張せずに買主の債務不履行責任又は不法行為責任を追及して売買代金相当額を請求するという道もあるのでしょうか?
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「不動産の売買契約で、買主の過失により不動産が滅失した場合」 とあるのは、 「不動産の売買契約で、”契約成立後、履行期前に”買主の過失により不動産が滅失した場合」であり、 「売買代金は支払わなくてよい」 ではなく、 「売買代金は支払う」 ですよね? >道もあるのでしょうか? 明快な判例や学説を軽く調べても出てこなかったので、私なりの考えにすぎませんが、そもそもこの議論の実益はどこにあるのでしょうか? というのも、複数の請求権のどちらでも利用できる場合の実益というのは、一方は損害賠償の範囲は広くなるが、立証するのが大変であり、もう一方は損害賠償の範囲は狭くなるが、立証するのが容易などの場合であって、本事例で言えば、いずれにせよ請求するのは売買代金相当額(危険負担であれば売買代金、損害賠償の範囲は履行利益であり、債務不履行責任であれば売買代金)であり、立証しなければならないのは相手の過失であって、何も変わらない以上、不法行為責任もしくは債務不履行責任を請求する実益を感じません。 議論の実益が無い以上、はっきりとした学説や判例が無いのは当然でしょう。
補足
回答ありがとうございます。 なるほど、そういうことなのですね。 疑問の発端は、賃貸借契約(継続的契約の場合)では借主の過失により建物を滅失した場合に、危険負担の問題(こちらは結論としては賃貸借契約の本旨に背くとして否定される)とするか、損害賠償とするか選択が考えられますが、売買の場合には契約の本旨に背くとして危険負担が否定される謂れはないので両請求は併存する可能性があるのではないかと思いました。 尤も、買主の受領は義務でなくて権利であることから債務不履行責任の追及には困難があること、また不法行為責任を追及するのは負担が大きいことを考えると、危険負担で決着することが妥当であり議論の実益がないというのはよく分かります。 ここで、もう一の疑問なのですが、買主の過失により不動産が滅失した場合には、買主の債務不履行責任は問えるものなのでしょうか? これがもう一つの議論が存在しない理由ということはないでしょうか?