会社法「~~確認の訴え」は、結局は訴えをもって主張したほうがいいからなのか
タイトルの通り、会社法に規定されている「~~確認の訴え」は、わざわざ訴えを提起しなくとも主張できるものの、訴えを提起して主張したほうが(世間的な言い方をすれば)効果的だからこそ設けられているのでしょうか。
以下、勝手ながら、株主総会決議無効確認の訴え(会社法830条)の場合に特化して話を進めてまいります。
もし、著しい法令・定款違反が存在し、明らかに株主総会決議が無効なものであって、とある株主が、
「わざわざ訴えを提起せずとも、無効なものは無効なのだからそのうちにもう一度株主総会決議をするだろう」
と思っていたところが、その他の多くの株主や経営陣が、
「そんなことどうだっていいじゃないか」
という人たちばかりで、その後の会社の意思決定や業務が行われ、多数の相手と取引をするかもしれません。このままでは株主は損害を被ることさえあるでしょう。
とすればやはり訴えを提起したほうが効果的のように感じます。しかし訴えの提起にはそれなりの資力も必要です。
また、「資格の学校」というキャッチコピーの専門学校が、要約すれば次のような問題及び模範解答を作成しました。
【問題】
10年前から貸しビル業を営む公開会社。保有ビルは1棟のみ、その賃料のみを会社の売上としている。
ところが、株主総会で選任された取締役が、言葉巧みに他の取締役を説得し、選任半年後に取締役会決議によってそのビルを売ってしまった。
実はこの取締役は、選任される1年前、会社法に違反して有罪判決を受けていた。
この場合、10年前からの株主は違法行為差止請求権を行使できるか。
【模範解答】
違法行為差止請求権(会社法360条1項3項)を行使するためには、3つの要件を満たす必要がある。
1.6か月前から株主である → Yes
2.法令・定款違反行為である → Yes
3.会社が回復できない損害を受ける → 不明
よって、会社が回復できない損害を受ければ行使できる。
ここで「法令・定款違反行為である → Yes」の論証は、
・ 選任された者は取締役の欠格事由に該当する → 選任した株主総会決議は法令違反で無効
・ 無効の取締役が参加した → 取締役会決議は無効
・ 取締役会決議が無効 → 重要な財産であるビルの処分行為は無効
となっています。
これでは、会社法360条1項3項は、株主総会決議が無効であっても違法行為差止請求権を行使できない場合があることを裏で意味しているように思われます。、
もちろん株主には、ほかにも役員解任の訴えなどによる保護の余地は残されていますが、「~~確認の訴え」の趣旨は何なのでしょうか。
お礼
ありがとうございます