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コクリコ坂から みなさんはどう解釈しました?

mikenorthの回答

  • mikenorth
  • ベストアンサー率66% (105/159)
回答No.2

私も「コクリコ坂」は大好きな映画になりました。ジブリ映画に珍しく、大人の男性がかっこよかったということと、これも珍しく、子供たちがしっかりと大人たちに守られ、愛されている感じがしました。 1)なぜ、風間父は、風間俊に「澤村が本当の父親だ」と言ったのでしょう? 風間父も、俊が立花の子供だということを知らなかったから? →だとしたら、なぜ澤村(あるいは海母)は風間父に、俊が立花の子供だと言わなかった? 風間は、俊が立花の子だと知らなかったと思います。澤村は、自分の子である証明として戸籍まで持ってきて、面倒を見てくれるよう頼んでいます。また、「お前の父親は澤村雄一郎だ」と告げたあと、「近頃、雄一郎に似てきたな」とも言います。立花が父親だと知っている場合は、ここまでは言わないのではと思います。 以下、私の推測になってしまいますが、澤村は、風間にとって全く知らない人物である立花よりも、自分の子であったほうが引き取ってくれる可能性が高いと考えたのかも知れないと想像します。(結果的には、理屈よりも先に風間の妻が本能的に俊を抱きかかえ、それは杞憂になったわけですが)また、風間はいわば法的に虚偽の出生届を出していますから、もしも風間もしくは風間の妻(特に澤村が警戒するとしたら、友人である風間よりもその妻のほうでしょう)がいわゆる「常識人」であった場合、雄一郎をたしなめて正しい届出をするよう主張するかもしれません。そして劇中の雄一郎の性格から思うに、彼としては俊が自分の子でも、立花の子でも、同じように「わが子」であるという気持ちを持っていたので、立花が父親であることの説明を、それほど重要視しなかったのかもしれません。 ただし雄一郎も、もし、俊が法的に澤村の子であることに支障の出る事態になれば、その時には真相を説明しようというつもりでいたかもしれません。しかし、予期せぬ死によりそれは叶いませんでした。ただしその時点では、俊が戸籍上澤村の実子であることで問題が起きていたわけではありませんでしたし、海の母もわざわざ「実は俊は立花の子である」と新たな情報を出し、混乱させることをしなかったのではないでしょうか。愛した夫が、勢いとはいえ我が子同然に扱っていた気持ちも慮りたかった思いもあったと察します。 しかし、劇中で状況が変わり、まさに「俊が澤村の子であることに支障が生じ」ました。言うまでもなく、海が俊に恋をしたことですね。これを、海の母は海の言葉で初めて知ることになります。あの時の赤ん坊が生きていて、元気に海と同じ高校に通っていて、その上海と出会って恋をしていると。それで、海にしっかりと真相を伝え、その後に風間にも喫茶店で会っているシーンが一瞬挿入されますが、おそらくこの話をしていますよね。 港南高校は見るからに私立ですし、風間の家は海が住む山手地区から離れた場所(通学路から察するに、 山ひとつ越えた先の関外、ネオンが見えて運河があり、裕福な雰囲気があまりないので伊勢佐木町~曙町あたり?)からタグボートで通っていますから、同じ私立高校に通うことになるとは想定していなかったと思います。 真相を知った風間は、俊に、父親たちのかつての仲間の一人である小野寺から、直接真相を聞くように電話をかけます。(これも、小野寺は風間が知るはずのない人物ですから、風間は海の母に頼まれたのだと想像します。) 小野寺の話は海の母の話と重複しているので不要である、という人がいるようですが、私は二人の話は位置づけが異なると思っています。 海の母の話のポイントは、海の母がどれだけ雄一郎を愛していたかということです。海は母の話を聞いても、尊敬する父がもしかすると不貞を働いていたかもしれないという不安感をぬぐえず、「もし風間さんがお父さんの本当の子供だとしたら?」と、かなり踏み込んだ質問をします。しかし、母は海の不安を吹き飛ばすようにあっけらかんと、「お父さんに似ているなら会ってみたいわ!」と答えます。俊がたとえ雄一郎の子だったとしても構わない、という母の寛容さ、愛の深さを知り、海は不安が一気にほぐれて泣き出します。それで吹っ切れたのか、「私、風間さんが兄妹でも構わない」という言葉を添えて告白していますよね。母の話は、両親の愛の大きさを知り、海が、小さなこと(?)は気にせず、俊を愛することを決意するために必要なシーンでした。 つまりこの段階では、「俊は立花の子」説が有力になったとはいえ、まだ物語的には真相はグレーなわけです。これを白黒つける役割を持つのが、小野寺です。小野寺は俊の生まれる前の立花夫妻も知っている生き証人ですし、この期でも嘘をつけば親友の息子と娘が不幸になりますから、口裏を合わせているというのはありえないと思っています。つまり、小野寺の言葉=真実、というふうに受け止めるのが自然かと思います。小野寺は、父親たちの絆を話して聞かせ、亡き親友たちの息子と娘が成長して出会ったことに感激します。これにて、兄妹疑惑は完全に晴れてめでたしめでたしです。 2)徳丸理事長がカルチェラタンの取り壊しをやめた理由。 この人物を見ながら、「ああいう偉いおじさん、いるいる」と思ってしまいました。私も会社勤めですが、団塊世代以上で大胆かつ突拍子もない決断を、勢いよく下してしまう豪快な人物がたまにいます。これは、No.1の方もおっしゃっていますがモデルが徳間社長ということなので、キャラクター自身の行動原理というよりは、「徳間社長だったらどうするだろう」という視点から描かれたシーンではないでしょうか。特に、時代はイケイケドンドンの高度成長期ですから、少し予定が遅くなったり余計にお金がかかることに対し、今の時代よりも懸念がなかったのでしょう。 恐らく、徳丸理事長も、戦後の復興期をバイタリティ豊かに支える人物として、古いものを新しくする=絶対的によいこと、みんなが喜ぶこと、と単純に思い、取り壊しを進めてきたのではないでしょうか。よくあることですが、決断者にとってはAでもBでも大した違いはなく、なんとなく良さそうという理由で「A」で決めたとしても、他の人間にとってはAとBでは大違いであったことが後から判明し、そういうことであればBにしよう、というのは起こりうることだと思います。理事長は、建物を新しくしたほうがいいに違いないという一方的な考え方でいたけれども、古い建物を残したい生徒も存在することを知り、そういうことなら他へ建ててやろう、と、わりとアッサリ決断したと思います。(建設が始まっていれば話は別だったと思いますが、、) 水沼や俊にとっては、とてつもなく大きな問題で、どうせ大人はわかってくれない、話など聞いてくれない、と思っていたのが、行動を起こしてみたら拍子抜けするほどものわかりのいい大人もいた、という感覚を抱かせるための人物だったのでは、と思います。(その後、水沼も「いい大人もいるんだな。。。」とつぶやいています。)どうせ無理だ、と決めつけて、頭でっかちになって行動しないことにより、もしかすると行動していればわりとすんなり物事を変えられるかもしれない、という例というのでしょうか。 まぁ個人的には、そうだとしてももう少し、若造たちを試してやろうというような質問やつっこみなどを、社長室で入れてもよかったとは思いますが・・・(モロの君が、アシタカがサンにふさわしい男か見極めるために「お前にサンを救えるか」と試していたように。)とにかく、理事長としては、カルチェラタンを見に行くことを決めた時点で、8割以上は存続させてやろうという気持ちに傾いていたと思います。 以上、ほとんど憶測ですが、ご参考になれば幸いです。

10_10
質問者

お礼

すごい! なんだか、もう一度映画を見ている気持ちになりました。 いろんな方の、解説や感想よみましたけど、mikenorthさんの説明が、いちばんすんなり、気持ちよく読めました。 おなじ港南高校にかよっているから、ある程度、近い生活圏内にいるのかと思ってましたけど、なるほど。確かに、説明されれば、なっとくです。そんなに近いところに住んでいたわけじゃなく、海と俊が同じ高校に通う事になったのは、すごい偶然だったんですね。 確かに、二人が出会わなければ、「俊は澤村の息子」という話のままの方が、すべてがスムーズに進んだわけなんですね。 すごい。mikenorthさん凄いですね。ちょっと、感動です。 徳丸理事長のことについても、mozofunkさんの話もあわせて、モデルがいたとは、良い事知りました。 >頭でっかちになって行動しないことにより、もしかすると行動していればわりとすんなり物事を変えられるかもしれない なるほど。ある意味、海と俊の兄弟疑惑に関する事の、伏線のほうなものだったんですね。 “ほどんと憶測”とのことですが、私にはすっごく、素敵な解説でした。理想的、というか、たとえ憶測であっても、こういう流れであってほしいな…と思います。 映画、見終わった後に、本当に俊と海は兄妹じゃなかったのか、すごく悩んだんです。落ち込んだんです。 でも、みんな、ちゃんと前向きに…いや、コピーを借りるなら、上を向いて歩ける、そんな終わりだったんですね。 子供たちは、大人たちに守られて、愛されて。 ジブリで一番好きな映画になりました。

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