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94条2項の第三者は原始取得?

虚偽表示は本来は無効であるところ、94条2項の善意の第三者には、無効を主張できない(有効に なるのではない)とされています。 これを厳密に解しますと、本来は無効であることから、AからBへの承継取得はなく、94条2項の第三者であるCは原始取得ということないならないでしょうか? 結論としては、これを認めると、その物に権利が付着している場合に原始取得されて、その権利者が不測の損害を受けますので、妥当な結論でないことはわかりますが、純論理的には上記のよう に解せないでしょうか?

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noname#149293
noname#149293
回答No.3

純理論上といわれると少しびびってしまいますが。 原始取得と承継取得について、民法の条文上使われ言葉ではなく。単に権利の取得原因について統一的な整理をするために、「承継取得」と「原始取得」に通常分類されるに過ぎない。 そして、これをどう定義するかはなかなか難しく、その時々において適当に説明がなされる。 例えば、 「通常の取得、例えば相続、売買など他人の権利に基づいて取得する場合を承継取得と言う。それ以外の例外的な取得である、総則に規定された時効取得及び所有者のいない/わからないものの取得(239-241条)、添付による取得(242-248条)を原始取得と言う」などという説明も存在する。 場合によっては、どちらに分類すべきか議論の余地があるものもあるかもしれないが、少なくとも本質問の事例では、#1の方が書かれたとおり。 >原始取得の定義を見ますと、「ある権利を他人の権利に基づかないで独立に取得する ことをいう。」とあります。 これは定義ではなく、ただの簡易的な説明に過ぎない。少なくとも厳密な議論に耐えうる定義ではなく、これを出発点にしたがために、ミスリードされたのではないかと思います

a1b
質問者

補足

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答をありがとうございます。 そうですね。定義が、、、、、、。 文言上の定義はあるのかもしれませんが、その趣旨がよく分かりません。 そこで、形式的に前提が無効であれば、承継取得は出来ないとやってしまいますが、 趣旨にそって判断しなくてはならないのかも知れません。 基本的には、私的自治と取引安全の観点から妥当な結論を導くべく、個々のケース について承継取得か原始取得かを判断していくということでしょうか。 無主物の場合には、前の権利者というのがいませんし、また取得者にも承継取得した とう意思はなく、原始取得するとするのが、当然であると考えられます。 また、時効の場合には永続する事実を新たな権利までに高めるということ(また取得 者に承継の意思もない)ですので、承継ではないと思います。 また、即時取得は、真実でない外観を信じたものに、外観どおりの権利を取得させる という意味で(さらには取得者には外観どおりの権利のみを取得する意思しかない) 、承継取得ではないと思います。 94条2項について考えますと、善意の第三者は承継取得するという意思を持って取 引関係に入っていますし、この範囲で取得が認められれば、取引の安全も十分ですね。 前提になる契約が無効であるとして、原始取得となるというのは、形式面での適用であ って私的自治と取引の安全からは適用すべきでないということになると思います。 また、不法原因給付の場合を考えますと不法な契約の当事者は承継させることを前提 にしていますので、前提契約が無効であったからとして、第三者の利益を害してまで 終局的給付を受けた利得者の取得を原始取得とするのは本旨と違うのかも知れません。 私は、売買・相続等を承継取得であり、時効、即時取得、無主物先占を原始取得であ るとアプリオリな属性であると考えておりましたが、そうでなくて私的自治、取引の 安全から妥当であるに過ぎないということでしょうか。 まだ、頭の中が十分に整理されていないかも知れませんが、以上のような考えでおり ます。

その他の回答 (3)

noname#149293
noname#149293
回答No.4

補足拝見しました。また少し自分でも考えてみたのですが、少し考えが変わりました。勿論あくまで拙い自分の考えであって、声高に主張できるものではありませんし、直接a1bさんの考えに対する回答ではなく、むしろ混乱させることになるかもしれませんが。 94条2項類推適用による権利の取得は、承継取得の場合もあるし、原始取得の場合もある。 例えば、Aが自己の財産を隠す等のためにBと通じて、Aを借主、Bを貸主とする架空の金銭消費貸借契約をでっちあげたとします。Cが善意無重過失に、Bからその架空の債権を手に入れ、Aに請求した場合、94条2項によってAはその債権の無効を主張することができません。 このときCが取得した債権が、承継取得されたとは非常に言いくい。なぜならそもそも権利自体が存在しなかったわけで、存在しない権利を承継取得するというのはあまりにもおかしい。 つまり、元々存在する権利があって、それが外観上A→B→Cと移転したが、AとBの間が虚偽表示だった場合なら承継取得といえるが、元々存在しない権利について、94条2項類推適用によって「新たに発生」(?)した権利を取得した場合は原始取得と言える、と考える次第です。

a1b
質問者

お礼

私の迷走におつきあいいただきましてありがとうございます。 とても興味ぶかいですね。 とても悩みました。 どうなんでしょうか? ないものは、承継取得できませんが、原始取得もできないようにも思えます。 例えば、即時取得は売主がそれを処分する権利がないのであって物自体はある場合だと 思います。 ところが、この案件では、債権を処分する権利がないのではなく債権自体がないという ことのようです。 従って94条2項の類推によってAは無効を主張できないのであって、債権が発生する わけではないと思います。 単に支払を拒めないということだと思います。 債権譲渡で、弁済済みの債権が譲渡された場合に、債務者が異議のない承諾をした場合 には、抗弁が切断され、一種の公信力が働くとされていますが、債権は弁済により既に 消滅しており、復活するわけではないと思いますが、これと同じような気がいたします。 尚、原始取得と承継取得については、改めて投稿させて頂くことを考えています。

回答No.2

学術的に言えば、no.1さんのように考えるのが素直ですが、 質問者の方のようにも考える余地はあります。 つまり、権利外観法理によるCの保護という趣旨からすると、、 BC間のみならず、その前提となるAB間の法律関係が有効になるからこそ、 A→B→Cという外観通りの法律関係が成立し、Cが保護されるというのが、 もっとも素直な解釈であり、これがno.1さんの解釈だろうと思われます。 ただ、権利外観法理による保護という趣旨を前提とするにしても、 Cが法律関係が有効だった場合と同様の権利取得をできればよいのであり、 本来通謀虚偽表示として無効だったAB間の取引までをも 有効と扱う必要はないのではないか、という疑問も成り立ちます。 このような見地から、94条2項は外観通りの法律関係が成立した場合と 同様の権利取得をCに特別に認める規定であり、 AB間の法律関係はあくまで94条1項の原則どおり無効と考え、 Cの権利取得を原始取得と考える、という解釈の余地があります。 質問者の方は、こちらの考えに近いお考えなのでしょう。 どちらが正しいというものではありませんが、 本格的にこの分野の研究をするとかいう必要のない限りは、 no.1さんのお答えのように考えておかれるのがよろしいかと思います。 ご参考まで。

a1b
質問者

お礼

今回も私の迷走にお付き合いいたきましてありがとうございます。 私の利益状況の把握が十分でなく、同じ状況に見えるのに、何故に説明の仕方が違うの かと迷ってしまいます。 しかし、判例、通説はよく考えられていて、自分の浅はかさを自覚することが通例です 。

a1b
質問者

補足

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答をありがとうございます。 仰るとおりと思います。 今回の疑問の発端は、不法原因給付において終局的給付が行われた場合には、利得者の 取得は原始取得と考えられるとしている文章があったからでした。 結局は、この資料でも、結論が妥当でない(給付者が二重譲渡した場合)として、実質 的には承継取得があったとしています。 原始取得の定義を見ますと、「ある権利を他人の権利に基づかないで独立に取得する こ とをいう。」とあります。 そして、94条2項について考えますと前提となる契約が無効である以上は、純理論上 は原始取得にならざるを得ないように思います。 しかし、第三者の保護は、外観を保護すれば足りますのので、外観内においてのみ原始 取得させればよいということが出来るかもしれません。 ただこれではAからDへの二重譲渡には対応できずに、不法原因給付の場合と同様に実 質的には承継取得があったと解さざるを得ないように思い始めています。 私が、時として民法で困惑してしまいますのは、前者では承継取得か原始取得かの議論 がされているにもかかわらずに、後者では初めから承継取得であることを前提にしてい ることです。

回答No.1

 どこか勘違いがあるように思いますが・・・  94条2項の「第三者」は,通謀虚偽表示を前提として通謀虚偽表示の当事者と利害関係を有するに至った第三者のことをいいますが,ここでいう「利害関係」とは,基本的に,法律行為によって生じた権利義務関係をいうことと考えられます。  そうすると,94条2項によって,無効を対抗できない結果,「有効」になるのは,通謀虚偽表示の当事者間の法律行為と,その法律行為を前提としてなされた,通謀虚偽表示の当事者の一方と第三者との間の法律行為ということになります。  そうすると,これによって,第三者が取得する権利は,明らかに承継取得(法律行為)による権利であって,原始取得による権利ではありません。  この点は,取得時効,無主物先占,無権利者からの即時取得のように,権利のないところに権利が生じる関係とは,違っていると理解すべきだと思います。

a1b
質問者

お礼

今回も私の迷走にお付き合いいたきましてありがとうございます。 私の利益状況の把握が十分でなく、同じ状況に見えるのに、何故に説明の仕方が違うの かと迷ってしまいます。 しかし、判例、通説はよく考えられていて、自分の浅はかさを自覚することが通例です 。 今、お礼を書いている時点で初めて気いたのですが、先ほど私が行きついた結論をlaw_ amateur様に指摘していただいていたということでした。 思い込んでいるときには、回答が目の前にあっても気づかないのですね。

a1b
質問者

補足

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答をありがとうございます。 仰るとおりと思います。 今回の疑問の発端は、不法原因給付において終局的給付が行われた場合には、利得者の 取得は原始取得と考えられるとしている文章があったからでした。 結局は、この資料でも、結論が妥当でない(給付者が二重譲渡した場合)として、実質 的には承継取得 があったとしています。 原始取得の定義を見ますと、「ある権利を他人の権利に基づかないで独立に取得する こ とをいう。」とあります。 そして、94条2項について考えますと前提となる契約が無効である以上は、純理論上 は原始取得にならざるを得ないように思います。 しかし、第三者の保護は、外観を保護すれば足りますのので、外観内においてのみ原始 取得させればよいということが出来るかもしれません。 ただこれではAからDへの二重譲渡には対応できずに、不法原因給付の場合と同様に実 質的には承継取得があったと解さざるを得ないように思い始めています。 私が、時として民法で困惑してしまいますのは、前者では承継取得か原始取得かの議論 がされているにもかかわらずに、後者では初めから承継取得であることを前提にしてい ることです。

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