新幹線絡みの乗車券は、仰る通り、新幹線/在来線どちらでも使えるものの、発券時には新幹線/在来線の区別が表示されています。
そして、基本はその表示に従って収入配分されます。
収入配分は、原則として、配分対象となる運賃を運賃計算に用いたキロ数の比率で配分されます。配分対象となる運賃とは券面の額面運賃から手数料分を差し引いたものです。手数料とはJTBなど旅行会社が発券した場合と、JRが発券した場合でも自社の区間が一切含まれない区間の券を発売した場合に発生します。
また、東京、大阪などの「市内制度」が適用されている場合は、その市内ごとに配分用に設定されたキロ数も加えて配分します。
たとえば質問事例の場合、東京-大阪のキロ数に東京都区内設定キロ、大阪市内設定キロを加えたものに対して、以下のキロ数の比率に応じて各社に運賃が配分されます。
新幹線経由として発券された場合
JR東日本:東京都区内設定キロ
JR東海:東京-大阪のキロ
JR西日本:大阪市内の設定キロ
各市内の設定キロの詳細は非公表で多くても十数キロといわれていますから、この切符をJR東日本の駅で買ったとき、JR東日本は額面の1/60程度が配分されることになります。(上に示した3社のどこで発売されても東日本に配分される金額は同じです。本州以外の会社で発売された場合やJTBなどの旅行会社が発券した場合は、手数料分を差し引いた金額が上記基準で配分されます)
逆にJR東海の立場からすると、東京-新大阪しか使わない乗客の場合でもJR東日本やJR西日本に配分されてしまうことになります。(そのためJR東海が出す割引切符などに都区内や市内制度を適用しない「東京-新大阪」と表示された券が出されることがあるのです。これなら他社に分け前をよこさなくて済みますから)
在来線経由として発券された場合
JR東日本:東京都区内設定キロ+東京-熱海のキロ
JR東海:熱海-米原のキロ
JR西日本:米原-大阪のキロ+大阪市内の設定キロ
さて、券面の経路通り乗らない場合ですが、通常は変更が必要ですので、変更のために発券された切符で配分の修正が可能となります。しかし、ご質問の例はそのようなことができません。
そのため、JR発足時には在来線経由の乗車券を持って新幹線に乗った場合、「新幹線振替票」という切符のようなものを追加発行し、この回収実績により在来線経由の売り上げの一部を新幹線経由のものとして修正したそうです。(詳細は企業の内部経理の話になるので公表されていません。)
しかし、振替票の発行漏れ、回収漏れが続出したことや、そもそも在来線経由の切符の区別が難しい(一応手作業発券の切符は新幹線経由の場合に限りアンダーラインが引かれ、機械発券の切符は「幹」と表示されていた)こともあって、各方面で不評でした。そのため、この方式は1年間で廃止されました。
その時今後はどうするのかと説明されたのが以下の方法です。但し、詳細はその後変更されているかもしれません。
新幹線に乗るときは、必ず特急券が別途必要になります。ということは、在来線経由の切符を持っている人でも、新幹線の特急券は買うことになります。そこで新幹線特急券の売り上げに着目すれば、在来線の切符を持っていて新幹線に切り替えた人がどの程度いるか推定できるというわけです。
たとえば東京-熱海の在来線経由の乗車券が5枚、新幹線経由の切符が5枚売れたとします。原則は5枚ずつが上記の原則で配分されます。
しかし、東京-熱海の特急券が8枚売れたとします。そうすると、単純に考えれば少なくとも3枚は在来線経由から新幹線経由に切り替えたと推定できます。実際には逆に新幹線から在来線に切り替えた人もいるでしょうし、熱海より先の切符を持っている人が熱海で下車するために買った分も含まれますので、そのように単純にはできません。しかし、ある程度の実態調査を行い、統計的考えで補正すれば、特急券の売り上げをもとに、新幹線に切り替えた比率がかなり正確に推定できるとされています。
つまり、原則は発券時に指定した経路の会社別キロ数比で配分し、新幹線がらみについては特急券売り上げデータをもとに修正するという形のようです。
お礼
ありがとうございます