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消失点
単純な質問です。 昔、美術の授業で、消失点、というものを知りました。 私は、実際に消失点を見つけて現実を見ているのですか? つまり、私の遠くを見つめた時の視点が、消失点となり、奥行きのある空間(現実)を把握しているのでしょうか? 消失点は、あくまでも絵画の手法であり、消失点を駆使して描いた絵のような構図は、現実にはあり得ないものなのでしょうか?似て異なるものですか? しかし確かに、消失点を用いて描いた絵画は、現実らしい雰囲気があります。 皆様の回答をお待ちしています。 よろしくお願いします。
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消失点を使った遠近法=線遠近法は一種のだまし絵(イリュージョン)です。 これはカメラオブスキュラという道具でも作る事ができます。 暗箱にレンズを付けて後に設置したすりガラスに現実の風景を映してそれを観賞したり、トレースして絵の下書きを作る道具です。 部屋の壁に投影する仕組みの物もあります。 カメラオブスキュラに映る画像というのはちょうど網膜に映っている像と同じ仕組みです。つまり人間は網膜に映る像と同じような物を見て、そこからあたかも現実の物を見ているかのようなイリュージョンを受けるわけです。 このパースペクティブから遠近感を得る仕組みは網膜像から経験的に物との距離を感じ取る認知の仕組みですが、最初から脳に仕組まれている物のようです。 ですから大小の対比を利用して錯覚を起こさせる錯視現象もあります。 こういう仕組みを研究する認知学(認知科学)というのがあります。 カメラオブスキュラは今のカメラと同じ仕組みですが、これを使っていると気付くのは、人間は上下方向のパースペクティブはあまり感じないという事です。 例えば家の絵を描く時とかに家の上をすぼめて描いたりはあまりしません。ところがカメラを通して家を見るとちょっとでも仰ぐような角度にするとすぐに家の垂直線は上すぼまりになってしまいます。人間の脳はこれをキャンセルするようになっているのです。(つまり網膜像に脳で補正を施している。網膜像を生で受け入れているわけではない。) 上にある太陽は小さく、地平線近くにある太陽はすごく大きく見えるという現象もあります。地上物との対比があるからだ、というだけでは説明がつかないと言われています。 また今流行らせようとしている3D=両眼の視差によって生じる立体視というのも距離を感じ取る仕組みとしてあります。 まとめると、線遠近法は人間(あなた)が実際に見ている=網膜に映っている像をシミュレートする事によって遠近感を感じさせる手法であるわけで、全く同じではないけれども、人間が実際の光景から感じ取る遠近感の仕組みの一部を利用した物と言えるでしょう。 http://www.google.co.jp/search?hl=ja&source=hp&biw=1056&bih=809&q=%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E5%AD%A6%E3%80%80%E9%81%A0%E8%BF%91%E6%B3%95&aq=f&aqi=&aql=&oq=
お礼
大変専門的で分かりやすい回答を得ることが出来て、正直驚いています。 私の眼は、現実の風景をそのままそっくり見ているわけではないのですね。 では風景画の構図は実は、現実に即してはいない、ということですか… 回答有難うございました。