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危険な化学薬品を教えて下さい
htms42の回答
- htms42
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化学薬品を使ったバトル漫画など書いてほしくないですね。 人の体がむちゃくちゃになるような場面を書いて楽しむなんて悪趣味です。 新しい兵器を考えだして、いかに効率よく殺すことができるかなんてことに楽しみを見出している人にも嫌悪感を覚えます。漫画だから何を書いてもいいのではありません。書いた人の人間性が現れてきます。 特別な働きを持った薬品が話の展開の決め手になるというのであれば、そういう架空の薬品を考え出せばいいのです。ジギル博士とハイドでも薬品が出てきます。作者が考えた特殊な働きをもつ薬品です。それくらいの想像力はあるでしょう。自分で考えた架空の薬品に信憑性を持たせるために現実にある物質でイメージを補強するということであれば自分で調べればいいのです。 「濃硫酸はタンパク質を溶かす」とか「タンパク質が濃硫酸で脱水されて炭になる」とか書いてある回答があります。#5では「社会人の常識である」とまで書かれています。 タンパク質は濃硫酸に溶けません。タンパク質は酸よりもアルカリに弱いというのが常識です。 でも「出回っている常識」は「酸に溶ける」というものです。 濃硫酸の池にかかった橋の上で決闘するなんて漫画(「魁男塾」)もありました。落ちたら骨も残らずに溶けてしまうという設定です。江戸川乱歩の子供向けの小説でも硫酸に人の体が溶けるというのが出てきましたから昔からの定番です。こういうのを鵜呑みにした、死体処理に硫酸を使うというサスペンスものもあるようです。漫画のレベル以下の小説だということです。 硫酸の授業ではかならず「溶けてしまって骨も残らない」と言いだす生徒が出てきます。水酸化ナトリウムを使う実験の時は「塩酸や、硫酸は怖いけれど、水酸化ナトリウムは大丈夫だ」ということを言いだす生徒がいてて神経を使います。敢えて指につけさせてぬるぬるするのを実感させる事もあります。 TVと漫画以外に情報源のない生徒もかなりいますからこういう状況はなくなりません。私の授業の後でもまた漫画とTVに戻ってしまえば「硫酸には骨まで溶けてしまう」と言っているかもしれません。 タンパク質を脱水しても炭にはならないというのは構造を考えれば分かるはずです。アルコールを脱水しても炭にはなりません。濃硫酸を使ったエタノールの脱水反応は高校の教科書にも出てくるものですがエチレンができるかジエチルエーテルができるかです。 脱水されて炭になるのはタンパク質ではなくて炭水化物です。砂糖に濃硫酸をかけると飴色に変わった後、黒くなっていきます。あるところから膨れ始めます。二酸化硫黄の臭いがし始めますから硫酸の分解も起こっていることが分かります。ガスの発生が終わった後にはからからの炭が残っています。残っている硫酸がしみこんでいますから少しべとついた感じもします。 濃硫酸が手に付くとやけどの症状が出てきます。 少し手に付いたぐらいであればひりひりするというだけですみます。水洗いで大丈夫です。面積が広くて赤く腫れた状態になっている時は処置が必要です。量が多いと水ぶくれができます。この水ぶくれを破ってしまうと跡が残ったり、化膿したりしますから注意が必要です。 私の右の手首には水ぶくれの跡がまだかすかに残っています。50年ほど前、濃硫酸がセーターの袖口に付いた時のものです。気がつくのが遅れて水ぶくれができてしまいました。
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