国際法の問題です
大学で次のような紛争の問題が出題されるらしいのですが、どう解いたらいいのでしょうか?
A国とB国は、それぞれの国民の大多数をなす民族が、古代より異なる宗教を信仰しており、民族的・宗教的な対立がある。両国国境付近のX地区にはB国民の信仰する宗教の聖地がある。X地区は現在A国領域であるが、歴史的に両国はX地区を取り合ってきたという経緯があり、国境地帯には両国の軍隊が駐留し、緊張状態にある。両国が加盟している地域的政治機構Yは、国際紛争解決について、政治的、歴史的、宗教的な非法的要因をも考慮した仲介および国際調停を行う権限を持つ。X地区をめぐって、両国は暴力の応酬を含む衝突を繰り返してきているが、Yが介入して両国間の対立の背景を考慮しながら解決してきており、A国は常にYによる解決に協力的であった。
近年、X地区でB国民の信仰する宗教の聖地に対する侮蔑行為がA国民により行われたことで両国間の緊張が高まった。ついには、いずれからともなく軍隊が発砲するにいたり、現在も小規模ながら武力衝突が続いている。
A国もB国も国際連合加盟国であるが、いずれも、国際司法裁判所規定の第36条第2項の選択条項を受諾していない。両国は、友好関係の設立と維持を目的とする基本関係条約を締結しているが、紛争解決条項第Z条は次のように規定している。
第Z条 両当事国は、両当事国間の紛争を国際連合憲章第2条第3項および第33条に従い、平和的に解決する義務を負い、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域機関または地域的取極の利用その他当事国の選ぶ平和的解決手段による解決を求めなければならない。
紛争解決の方法について、両国が協議を行った際に、B国は第Z条を根拠として、次のように裁判による解決を主張した。
「両国間の紛争は、A国軍隊の発砲による武力衝突をめぐる紛争としてとらえられ、A国による国際連合憲章第2条第4項違反を争点とする法律的性質をもつ。両国とも、紛争の平和的解決義務を負っており、両国間の紛争は、第Z条に規定する仲裁裁判による解決又は司法的解決が適当である。A国は、この紛争の裁判による解決に同意すべきである。」
これに対してA国は、両国の対立のより広い背景を考慮したYによる解決が望ましいと考えている。
〔設問〕
B国の主張のすべてについて、A国の立場からの反論を理由を付して述べなさい。なお、国際連合はこの紛争の解決に着手していないものとし、国際連合による紛争の解決については論ずる必要はない。