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更改と準消費貸借

金銭債務をもつ債務者が支払いに窮し、債権者との合意で分割払いにしたとします。 この分割払い契約は、当事者間の合意で、更改、準消費貸借契約のどちらにもできると思いますが、 更改とした場合と準消費貸借契約とした場合の相違点はどのようになりますでしょうか。

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  • pippy
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回答No.3

#2です。 先の回答に附されたお礼の文を読んで自分も混乱してしまいましたので、少し調べてみました。 どうやら#2の回答は間違いがあったようです。 「更改と準消費貸借契約とは択一的関係にはない」と申しましたが、更改は更改契約という契約の一類型であり、債権債務の発生原因としては準消費貸借契約と排他的関係にある、というのが正しいようです。 ○性質上の違い 準消費貸借では新旧債務について基本的な同一性が認められます。 更改では新旧債務は別個独立の債務です。(旧債務は消滅し、新債務のみが成立する。512条。ただし、一定の因果関係を持っている。517条) ○人的担保について 準消費貸借では原則として新旧債務は同一性を保っていますから、原則として保証は新債務にも継承されます。 更改では新旧債務には同一性がありませんので当然には承継されません。新債務について新たに保証契約を締結する必要があります。 ○物的担保について 準消費貸借では人的担保の場合と同じく、原則として承継されます。 更改では債務の同一性がありませんから承継されないのが原則のはずですが、抵当権と質権についてはその移転(実質的な承継)が認められています(518条) ○抗弁権について 準消費貸借では債務の同一性から原則として抗弁権も承継されます。 更改では別個独立の債務ですから抗弁権は承継されません。 以上、準消費貸借と更改は、新旧債務の同一性という点で性質が異なるために、このような差が生じるようです。 ただ、準消費貸借では安直に同一性があると述べましたが、この点注意していただきたいことがあります。それはまず第一に、消費貸借契約時に当事者の意思によっては、同一性を失うこともあるということです。判例も、当事者の意思によって決めることができるが、原則同一性を失わないとしています(大判大7・3・25)。 第二に最近の学説では一般的に同一性の有無を判断するのではなく、同時履行の抗弁権、担保、時効期間など具体的項目ごとにそれぞれ同一性を判断するという立場が有力のようです。 もちろん、商品の売買を行ったがその代金を支払えないので、その代金について新たに準消費貸借契約を結んだような典型的に準消費貸借の場合、準消費貸借契約を締結することで当事者の地位に特段の変更を加えないことが当事者の意思でしょうから、このような場合は判例・学説どちらによっても旧債務の担保と抗弁は承継すると考えて良いでしょう。 よく教科書で解説されているように、更改は債権譲渡・債務引き受けが認められていなかったローマ法における遺物でしかありません。更改も契約の一類型である以上、その成立には当事者の意思の合致が必要です。しかし、債務の同一性が失われることを当事者が(特に債権者が)望むことは通常考えられません。したがって既に成立している契約が準消費貸借であるか更改であるかを判別しなければならない場合は、準消費貸借と解するのが原則となるでしょう。 準消費貸借と解しても、先に述べたように新しい学説では、同時履行の抗弁権、担保、時効期間など具体的項目ごとにそれぞれ同一性を判断しますから、部分的に新旧債務の同一性を否定することで柔軟な対応ができます。

sho888
質問者

お礼

詳細に回答していただきありがとうございました。 こちらの回答を前提にもう一度テキストを読んだら、かなり頭の中がすっきりしました。

その他の回答 (3)

  • daytoday
  • ベストアンサー率57% (203/356)
回答No.4

 補足質問の新債務成立後は、旧債務について無効主張や取り消しはできなくなるということでしょうか?について 1 旧債務が無効の場合  無効というのはご存じのとおり,当初より当然に効力を有しないものであって,追認や時の経過によって治癒されるものではありません。従って旧債務不存在であれば更改による新債務は不成立ということになります。  しかし,当事者が旧債務の不存在を知りながら更改契約を締結すれば,贈与契約の意思が推定されます。 2 旧債務に取消原因がある場合  取り消し得るにもかかわらず更改契約を行えば,旧債務について民法125条3号にて法定追認となり,更改は有効なものとなります。異議をとどめた上での更改であれば,当然に法定追認とはならないため旧債務が取り消されれば,更改契約は基盤がなくなり無効となります。    なお,更改契約自体の瑕疵については民法517条の規定によります。

sho888
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 とても丁寧な説明でよく理解できました。 これで質問した問題についての疑問点がなくなりました。ありがとうございました。

  • pippy
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回答No.2

更改と準消費貸借契約とはもともと、排他的な関係ではないと思います。 更改は債務の発生・消滅の原因として債権総論の問題ですし(513条)、準消費貸借契約は典型契約の一類型として契約各論の問題です(588条)。両者は規律する分野が異なります。 したがって、更改と準消費貸借契約が択一的に成立するのではなくて、更改によって既存債務が消滅し、準消費貸借契約が成立することもありえます。 むしろ、更改が問題になるのは代物弁済との関係です。代物弁済は更改と同じく債務の消滅原因ですから(482条)、その択一的な成立が問題となりえます。 この点、特に手形の発行で問題になるのですが、民法では513条2項後段にて、債務の履行に代えて為替手形を発行することを更改としています。 しかし、支払いに代えて手形が交付されるときは代物弁済になると解し、また手形の無因証券性から原因債権に影響されるのは不当であるとしてこの条文を空文化するのが通説です。

sho888
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 更改と準消費貸借は排他的関係ではなく、両立することができる関係なのですね。 ただ1つ疑問があります。 更改の場合、担保は消滅し、準消費貸借契約の場合、担保は消滅しないとあります。 ここをどのように説明するのかが解かれば、すっきりするのですが・・・ 手形の発行の件はまったく知らなかったため、勉強になりました。ありがとうございました。

回答No.1

 学問的には,準消費貸借の場合には,準消費貸借の目的となった債権債務関係を発生させた行為の瑕疵(取消原因,無効原因,瑕疵担保など)を引き継ぐとされていますが,更改の場合には,これを引き継がず,別途の新たな契約であるとされています。  ただし,現実に紛争となった時にそういいきれるかどうか(要するに裁判でそう判断されるか)は,疑問があります。しかし,渡しにはそれ以上の詳しいことは分かりません。

sho888
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 更改は有因契約のため旧債務が無効または取り消されたときは、新債務は成立しないとあったと思います。 これは新債務成立前に、旧債務について無効主張または取り消さなければ、新債務は問題なく成立してしまい、新債務成立後は、旧債務について無効主張や取り消しはできなくなるということでしょうか?

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