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ブラッグ反射についての質問です。 教科書などにはよく反射する面が格子面
ブラッグ反射についての質問です。 教科書などにはよく反射する面が格子面としか記載されていません。しかし実際に格子面には原子がある部分と原子と原子が結合している部分があります。ブラッグ反射は格子面のどこに照射されても反射が起こるのでしょうから、原子に当たらなくても反射が起こっているということになるのでしょうか? また実際に反射がおこる起こらないについての理由もわからないので教えてくださるとありがたいです。
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- jamf0421
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純粋な金属を考えます。単位胞(unit cell)に一つの原子があるようにすることができます。説明を易しくするために電子線回折を考えます。外部から飛んできた電子へのある格子点R(ベクトル)のPotential Energyをv(r-R)としましょう。rは飛んでくる電子の座標でこれもベクトルです。結晶全体からのPotentialは V(r)=Σ(R)v(r-R)...(1) です。ここでΣ(R)はRについて足し合わせている、という意味です。このPotentialは任意の格子ベクトルR'だけ結晶をずらしても変わりません。従って V(r-R')=Σ(R)v(r-R'-R) =Σ(R+R')v(r-(R+R')) =Σ(R)v(r-R)=V(r)...(2) つまり電子の感じるPotential EnergyはV(r-R')=V(r)という並進対称性があります。このような周期関数は V(r)=Σ(K)V(K)exp(iKr)...(3) の形のFourier級数に展開できます。(3)でr→r+Rとおけば V(r+R)=Σ(K)V(K)exp(iK(r+R))...(4) これがV(r)に等しくなるためには exp(iKR)=1すなわちKR=2πでなければなりません。KはRの逆格子ベクトルである、ということです。Fourier係数V(K)は逆変換 V(K)=(1/vc)∫(cell)V(r)exp(-iKr)dr...(5) で与えられます。vcは単位胞の体積で積分は単位胞全体にわたって行います。 電子の状態を波数ベクトルk(2πを波長で割った大きさ)の平面波と考えると(1)のPotentialによって波数ベクトルk 'の状態に散乱される遷移確率は行列要素 <k '|V|k>=∫φk '(r)*V(r)φk(r)dr...(6) の2乗に比例します。ここで φk(r)=exp(ikr) とおき、さらに(3)を用いるならば <k '|V|k>=∫exp(-ik 'r){Σ(K)V(K)exp(iKr)}exp(ikr)dr =Σ(K)V(K)∫exp{i(k+K-k ')r}dr...(7) です。(7)はk+K=k '以外は消えます。この関係がミソなのです。Potentialの形がどうなっているかは問題でなく周期性だけが必要なのです。 さて、弾性散乱ならばkとk 'の大きさは等しくなります。 ここでベクトルの絵を書いていただくと分かるのですが、x軸にマイナスθの方向にkベクトル、プラスθの方向に同じ長さのk 'ベクトルを書きますkとk 'の先端をkからk 'に向かって引いたベクトル考えると当然x軸に直交しますが、k+K=k 'よりこれが丁度Kのベクトルになります。そして |K|=2|k|sinθ...(10) となります。ここで説明を省いて恐縮ですが、逆格子ベクトルKに垂直な格子面の間隔をdとすると|K|=2πN/dとなりますからλ=2π/|k|が波長であることを考慮すると 2dsinθ=Nλ...(11) になります。これがBraggの条件になるのです。 X線もこれと同じだ、というので勘弁できないでしょうか?
- hitokotonusi
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反射といっていますが、実際は反射ではないのでその点は理解しておいてください。 実際の現象は、一般には回折といわれる現象です。 (個人的には回折ではなく散乱というべきだというのが持論ですが。) 物質にX線を当てるとX線が原子内部の電子を振動させ、その結果、各原子から球面波(正確には球面波に似た球状に広がる波)を出します。この球面波を観測する位置で寄せ集めてみると、互いに強めあって回折X線が検出される位置と回折X線が検出されない位置があり、回折X線が生じる条件を調べると、ブラッグの式 2d sinθ=nλ になっているということです。ブラッグの式になるように角度θを選ぶと、入射角と反射角が等しい、いわゆる“光の反射”と同じ関係になっているので、用語として“反射”が使われます。が、上述のとおりこの現象は反射ではありません。計算そのものは干渉の計算と全く同じです。