中国の人民と国民の違いについて
- 中国の人民と国民の違いについて、毛里和子さんの著書から学びました。中国では、「人民」は一部の愛国民主分子を指し、「国民」は人民の敵も含んだ概念です。また、中国の政治的アイデンティティは「人民」であり、これに基づいて国家が統合・運営されています。
- 現在、中国では少数民族の統一を促すために新たな「国民」概念が必要だと言われています。従来の「人民」概念では、地理的領域が限定的であり、特定の区域の民族をカバーすることができないためです。
- 新たな「国民」概念は、56民族を全て包括し、広域的な政治的アイデンティティを築くことが求められています。そのため、中国には「人民」に代わる新たな概念が必要とされているのです。
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中国の「人民」について
現在、中国研究において大変高名な毛里和子さんの著書を読んでいるのですが、その中でどうしても読み解けない部分があったので、質問させていただきます。 著書の中では、中国において「国民」と「人民」が峻別されて用いられてきたという歴史を、周恩来の言葉を引用して解説されています。 自分なりにその内容を以下のようにまとめてみました 「『人民』は、より公民的な概念である『国民』から抽出された一部の愛国民主分子のことを指し、『国民』の中には、いわば『人民の敵』も含まれている。 彼らには、当面『人民』としての権利は与えられないが、中国の国籍を持つ『国民』として、その義務を全うしなければならない。 従って、現代中国の政治的アイデンティティは『人民』である。(「自分は『人民』だ!」というアイデンティティに基づいて、国家が統合・運営される。)」 その後、「現在中国に55ある少数民族を統合して、強力な単一共和国を築くためには、『人民』に代わる新たな『国民』概念が必要になってきている」と続いています。 この「人民」代わる新たな「国民」概念が必要になってきている理由がいまいち分からないのです。なぜ従来の「人民」概念では少数民族の統一を促せないのでしょうか? 個人的には、「人民」という概念がカバーする地理的領域が限定的であり、新疆やチベットといった区域は「人民」の範疇にないから、つまり、56民族を全て丸め込む事ができるようなより広域的な政治的アイデンティティが必要であるから、と思っているのですが・・・いかがでしょうか。 分かりにくい質問で申し訳ありません。;;
- yangee
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質問者が選んだベストアンサー
まず、国民という言葉をあまり使わなくなった経緯から。 ぶっちゃけると、"国民党"を無かったことにしたかったんじゃないでしょうか。 1920年代の中国の内乱時、第一次国共合作によって"北伐"という軍事行動が行われました。 当時の国民党は辛亥革命時の共和政体復活を目指していたのですが、 どうしても北京政府に対しては軍事力で劣る。そこで、共産党(つまり、コミンテルン=ソ連) の支援を求めたんです。その後、共産党(およびソ連)の有形・無形の支援もあり 国民党政府が樹立しました。憲法の骨子となる『国民政府建国大綱』が孫文らによって ただちに制定され、国民党政府が成立しました。 しかし、共産主義の"階級闘争"の概念は、常に対立を煽り社会を破壊していく思想です。 それは結果的に政府と、社会そのものを蝕んでいき、最終的にはこの国民党政府も瓦解して いくこととなります。 さて、中国共産党政府下での近代史観は毛沢東の『新民主主義論』という論文を大元に 置いているんですが、この文には、以下のような特徴があります。 まず、孫文の建国大綱が無かったことになっています。 次に、反封建主義の闘争が、農民の協力によって成功したこと。 最後に、その農民の革命を継承するのは共産党であって、蒋介石の南京国民政府ではないとしたんです。 要するに『封建主義を打倒したのは、すべての人民、つまり共産党の功績だ』という宣言です。 さらにその後、ソ連崩壊後、ロシアの資料公開法によって第一次国共合作の資料が公開され、 中国語への翻訳も行われたんですが、"国民政府"ではなく"全民政府"と翻訳されてしまいます。 やはり国民党政府の功績は"無かったこと"にしたい、というのが共産党側にはあるのではないでしょうか。 ここまで前置き。以下本題です。 人民とは、すなわち共産党政府。国民とは、すなわち辛亥革命時の理念と読み替えれば、 すんなり説明できるかもしれません。共産主義(そしてその前段階としての社会主義)は 政府の力が"強すぎる"政治形態です。強すぎる政府は官吏の汚職を招き、社会を沈鬱なもの へと変えていく。 今まではそれでも強い政府の力で統一を果たしてきたわけですが、 共産主義・社会主義の汚泥が溜まりに溜まった結果、もはや"政府主導"の政治は 維持が難しくなっている。その指導力の低下が、様々な軋轢を生んでいることも確かです。 解決法としては、その汚泥を払拭できる民主主義や、あるいは中国における国民という 言葉が意味するところの『民族・民権・民生主義』(国民党の理念)が今は必要なのではないか、 ということじゃないでしょうか。 ちなみに私は、その毛里さんの本をぜんぜん読んでないですけどね!
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- DDRSDRAM
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「国民」「人民」とも元々は明治時代に日本で作られた訳語です。 people→人民、nation→国民(あるいは民族)という風に対応して新しく作られたことばです。経済、社会なども同様です。これが中国からの留学生や中国に行った日本人講師によって広められました。 基本的な意味は、 ・peopleは一人ひとりの人間の集合体です ・nationはその共同体的結合を代表する観念的な存在 (参考URL参照) >「人民」代わる新たな「国民」概念が必要になってきている理由 たぶん、自分自身が○○国民(または○○民族)という意識を持つ国民国家(または民族国家)を目指しての発言でしょう。私は共産主義や資本論にはあまり詳しくありませんが、資本論かヨーロッパの政治学系の著書の受け売りでしょう。 (参考URL参照) 日本も欧米諸国も義務教育で言語を統一「国民皆兵の国民国家(民族国家)」を目指してまい進しました。「国民」概念うんぬんとは単に近代化を目指した欧米列強に続けといっているに過ぎないでしょう。
お礼
回答ありがとうございます。 確かに、問題は日本での訳語にあることは間違いないですね。
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- 締切済み
- その他(社会問題・時事)
お礼
詳しい解説ありがとうございました! 全く耳新しい内容で、大変興味深いです。その方面でも再度調べてみます