適切なオイル量・交換サイクルが守られているのが前提の話ですが、エンジンオイルを痛めるもっとも大きな要因は、エンジン始動直後の未燃焼ガス・燃焼済みガスのクランクケースへの吹き抜けです。
未燃焼ガスに含まれるガソリンによる「エンジンオイルの希釈」、燃焼済みガスに含まれる水による「エンジンオイルの乳化」ということが起こるんです。
エンジン始動後しばらくたつと、熱による膨張・油膜が十分にできパーツ同士のクリアランスが適正になるので、燃焼ガスの吹き抜けもなくなります。またエンジンオイルの油温も上昇すると、一旦エンジンオイルに取り込んだガソリン・水分をとばすことができ、エンジンオイルの劣化をその分遅らせることができるという流れなんです。
粘度表示の上の表示が20というエンジンオイルの使用が前提になっているエンジンは、設計・工作精度の向上でガスの吹き抜け自体を少なくしています。また燃焼・エンジン温度のマネージメントを厳密に行えるため、エンジンオイルの油温を早く一定に保てるようになりました。そのため、同じ排気量でも20年くらい前のクルマと比べるとエンジンオイル量が少なくなっています。
たとえばコンパクトカーで一般的な4L缶のエンジンオイルをまるまる使うクルマって今は少ないです。出たてのころのセルシオ(当初から5w-20のオイル使われていました)が確かオイルの容量が6,5Lくらいと記憶していますが、このくらいの排気量のV8エンジンですと以前は8Lくらいは必用でした。低粘度タイプのオイルが前提のエンジンは以前のものより20%くらいオイルの容量が減っています。こういったことも低燃費につながっているのです。
自分は以前旧いタイプのクルマに使ったことがあるので、その経験からいうと、この手の低粘度オイルは高温時の潤滑を保持するため、オイルメーカーによりさまざまな添加物を使っています。オイル自体に入っている添加剤と、カーショップで売っている添加剤あるいは以前使っていたオイルの成分との相性の良し悪し(悪いほうが顕著にでます)がはっきりでます。具体的にはエンジンの回転を上げると振動が増えると言った具合。
使って使えないことはありませんが、よほどクルマ・DIY好きでいろいろ試してみたい(痛い目にあっても)というのでなければ先ほどの「添加物同士の相性の件」があるので、何度もトライアンドエラーができるのでなければおすすめしません。
毎日クルマに乗らない、のってもチョイ乗りが多いのなら、油温が十分あがらない使用環境なので手を出さないほうがいいです。長くなりましたが、ご参考まで、では。