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悲しい曲が悲しいわけ
悲しい曲はなぜ悲しいと感じるのでしょうか?脳の「悲しい」の部分を刺激する仕組みを教えてください。
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こんにちは。 他にも要素はありますが、 「曲の明るい暗い」といいますのは、まず「主音と第三音との周波数比」によってほぼどちらかに決まってしまいます。 長調の曲の場合、主音と第三音は「長三度(4:5)」と整数倍でたいへん安定した関係にあります。これが短調になりますと第三音が半音下がりますので、整数で割り切れないやや複雑な周波数比になります。我々の脳はこの「短調の不安定感」に対して寂しさや悲しさを感じています。 モダン・ジャズなどでは七度、九度、一三度などより複雑な和声を使います。ここまでゆきますと、もはや不安を通り越して緊張感が発生します。モダン・ジャズのあのスリリングな演奏といいますのは、このような不協和音を多用することによって生み出されるわけです。 「不協和音」といいましても、一般の音階(平均律)といいますのは元々オクターブを均等に12分割した関係にあるわけですから、これの組み合わせであるならばそれを音楽と呼ぶことは可能です。ですが、だからといいましても、あまり複雑になりますとしだいに理解が困難となり、更にここで音階そのものを外れてしまいますと、我々の脳はそれを雑音として認識することになります。 音楽とは「高揚感をもたらす操音」と定義されます。 「操音(奏音)」といいますのは人間によって操られた音ということです。 我々の脳には、 「安定=安心」 「不安定=不安・緊張」 という反応基準があります。 音楽には必ず時間的な変化というものがありますので、これに従って移り動く感情が「高揚感」です。 通常、最初は安定した旋律から初め、次第に複雑になり、緊張感が盛り上がったところで安心感に転じて終了という構成が最も多く使われます。短調の響きには元々侘しさがありますので、途中から更に複雑に変化させてやるならばより高い感動を生み出すことができます。 このように、「曲の悲しさ」といいますのは「短調の不安定感に対する脳の反応」です。ただ、どうして我々人間の脳は悲しさや緊張感なんてものを娯楽として楽しむことができるのかというのはたいへん難しい問題になりますので、こちらはちょっとパスさせて下さい。
お礼
おぉぉなんて良回答!なるほど不安定感に対する脳の反応ですね。昔ドミナントやサブドミナントの話を聞いたことを思い出しました。 悲しさや緊張感を娯楽とする・・・ここまでは考え付きもしませんでした^^ 非常に納得できる回答ありがとうございました。