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民法の物権変動(物権行為の独自性)について教えてください

t-kamiyamaの回答

回答No.1

まず前提として、日本の法制度では物権行為の独自性を認める必要性が乏しく、そのため「独自性」を想像しにくいのです。 ドイツ法学では独自性を認めていますが、これはドイツでは土地所有権の移転に登記を変えることが要件となっているからなんです。つまり、(1)土地を売買しますという意思表示と(2)売買で移る所有権に基づいて土地の登記を移しますという意思表示の両方が揃って初めて土地の売買ができるのです。だから(2)を独立して考える有用性があるのです((2)が有るか無いかで売買契約の有効性が変わってくるから) これに対し、登記の移転が土地所有権の移転の要件でない日本では、(2)を独立して考える有用性がないのです。(2)が無くても売買は有効だし、そもそも売買契約の内容として登記の移転を求められるので(日本民法がドイツ民法を承継したという歴史的背景から、概念的にこういう議論がなされているだけと考えてください)。 さて、前ふりが長くなりましたが… (1)本来的には「物権(所有権等)を移してください」という行為又は契約です。 (2)良いです (3)「債権」とは特定人が契約等の根拠に基づいて特定人に一定の行為を請求することです。この例ではAはBから土地の所有権を買っているわけですから、所有権を移し、それに付随して利用権(占有等)も移せといえます。 (4)所有権とは物を使用・収益・処分する権限ですので、所有権を移転するということは、かかる立場を移転することです。 なお、所有権について「不完全な移転」というのは通説的な立場では考えません。登記が無いことで第三者に対抗できないことはありますが、これは主張の可否の問題であって、所有権自体が移ってないわけではないと考えるからです(直感的には分かりにくいとは思いますが^_^;) (5)売買に限れば同じです。ただ、「物権変動」というと他の物権(抵当権や地上権など)の変動も含みます。 (6)まず、物権契約も契約である以上、人に請求しているのです。ただ、「物権の移転」を対象とした部分を特別に抽出しているだけなのです。 イメージ的には、「債権契約」の中に「所有権を移転します」というとう「物権契約」の内容は本来的に含まれているのです。ただ、売買契約とは別個に登記移転の意思表示が必要なドイツ民法では「所有権の移転により登記を移転します」という意思表示を別個に(というより改めて)する必要があったのです。両者が並立関係ではなく、包摂関係にあるとイメージすれば、理解しやすいかなと思いますよ。

gsx1100yut
質問者

お礼

ご解答ありがとうごおざいます!^^ ドイツ民法と日本の民法とで違うので、こういう説が色々うたわれているのですね。 所有権の移転時期や取引の安全性など・・・ ご教授していただいたおかげで、解説書も、だいぶ読めるようになってきました。 勉強が進めていけるので、本当に助かりますm( __ __ )m ドイツではきっと・・・・ 売買契約を結んで、それにより金銭引渡し債務と土地引渡し債務を発生させる段取りみたいな感じで売買契約があり、そして、物権契約(行為)により所有権が無事移転した時に、その売買契約で段取りさせていた債権債務が有効に発生するみたいなイメージなのかなあと、今はそれで納得しています。←自分の勝手なイメージなので間違っている可能性も結構あると思うのですが、一応それで踏ん切りつけました^^;

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