罪刑法定主義と命令・条例での罰則の関係について

このQ&Aのポイント
  • 罪刑法定主義の考えから、法律以外で罰則を設けるには法律の委任が必要である。
  • 命令で罰則を設けるには、法律による個別具体的な委任が必要である。
  • 条例で罰則を設けるには、法律による個別具体的な委任は不要で、地方自治法によって足りる。
回答を見る
  • ベストアンサー

罪刑法定主義と命令・条例での罰則の関係について

2点お尋ねします。 ●罪刑法定主義の考えから、法律以外で罰則を設けるには法律の委任必要 ↓ ●命令で罰則を設けるには、法律による個別具体的な委任が必要 ●条例で罰則を設けるには、法律による個別具体的な委任不要(地方自治法で足りる) と理解しております。 1)上記のような個別具体的な委任の要不要の違いは、どのような考え・根拠から導かれるものなのでしょうか? また、そもそも理解が間違っておりましたら、ご指摘いただけますと幸いです。 2)個別具体的な委任とは具体的にどのような文言でしょうか? 「この法律に定める事項に違反したときの罰則は政令で定める」「この章で定める事項に違反したときの罰則は政令で定める」では個別具体的とは言えないのでしょうか? お手数ですが宜しくお願い致します。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • 17891917
  • ベストアンサー率75% (490/652)
回答No.1

問1 上記のような個別具体的な委任の要不要の違いは、どのような考え・根拠から導かれるものなのでしょうか? 答 「命令で罰則を設けるには、法律による個別具体的な委任が必要」であり,条例で罰則を設けるには,「法律の授権が相当な程度に具体的であり,限定されておれば足りる」とされます(最高裁昭和37年5月30日判決)。  この取扱いの違いについて,上記判例は,「条例は,法律以下の法令といっても,公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であって,行政府の制定する命令等とは性質を異にし,むしろ国民の公選した議員をもって組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものである」ことを理由としております。 問2 個別具体的な委任とは具体的にどのような文言でしょうか? 「この法律に定める事項に違反したときの罰則は政令で定める」「この章で定める事項に違反したときの罰則は政令で定める」では個別具体的とは言えないのでしょうか? 答 「個別具体的な委任」とは,立法目的,概括的構成要件及び刑の種類・上限について定めた上での委任とされています。  「この法律に定める事項に違反したときの罰則は政令で定める」「この章で定める事項に違反したときの罰則は政令で定める」では,個別具体的とは言えず,むしろ包括的委任(白紙委任)といえるでしょう。  では,実際にどのように委任がなされているのか,その実例がなかなか見当たりません。  広く知られている政治的行為の禁止についての国家公務員法102条1項による人事院規則14-7への委任は,白紙委任として批判が強い代物です。  一応,食糧管理法と罰則の委任に関しての判例(最高裁昭和33年7月9日判決)を掲げておきます。  少し分かりにくい判例ですが,法律により帳簿記載義務違反者について3万円以下の罰金に処すると規定し,省令に帳簿記載事項について定めるべく委任をしていることが分かります。  これならば,個別具体的委任といえると思います。 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/45915B22E0BE3EB649256A850030AED3.pdf

soubioune
質問者

お礼

お答え2につきましてはよく理解できました。ありがとうございます。お答え1につきまして、お手数ですが補足をお願いできませんでしょうか。 最高裁昭和37年5月30日判決を読んでみたのですが、「法律の授権が相当な程度に具体的であり,限定されておれば足りる」というのは、地方自治法(14条)のことを言っていると考えて良いでしょうか? 例え話で恐縮なのですが、売春勧誘取締政令を定める場合には先に売春防止法によって個別具体的な委任がされていることが必要かと思います。 一方、売春勧誘取締条例を定める場合には地方自治法が相当程度に具体的で限定した委任をしているので、先に売春防止法が存在する必要はないという判断がされた、という理解で良いでしょうか? (地方自治法の文言が「相当な程度に具体的で限定されている」とは思えず、違和感がございます)

その他の回答 (1)

  • 17891917
  • ベストアンサー率75% (490/652)
回答No.2

問「法律の授権が相当な程度に具体的であり,限定されておれば足りる」というのは、地方自治法(14条)のことを言っていると考えて良いでしょうか? 売春勧誘取締条例を定める場合には地方自治法が相当程度に具体的で限定した委任をしているので、先に売春防止法が存在する必要はないという判断がされた、という理解で良いでしょうか? (地方自治法の文言が「相当な程度に具体的で限定されている」とは思えず、違和感がございます。) 答 結論からいえば,「法律の授権が相当な程度に具体的であり,限定されておれば足りる」というのは地方自治法14条3項の規定を意味します。  おっしゃるとおり,この規定については,学者から「相当な程度に具体的であり,限定されて」いないのではないかという批判があるところです。  しかし,最高裁は,この規定でもって十分と考えております。  最高裁の見解に従うならば,たとえば売春防止法において,個別に罰則の委任を行うことは不要であることになります。  ただし,地方公共団体による条例制定権は,法律の範囲内で行う必要がある(憲法94条,地方自治法14条1項)ため,たとえば売春防止法を無視して条例で罰則の構成要件を設定すると,憲法94条・地方自治法14条1項違反となることがあります。

soubioune
質問者

お礼

2度もご回答をいただきましてありがとうございます。とてもよく理解することができました。ありがとうございました。

関連するQ&A

  • 法律と条例との関係について

    法律が全国一律に規制する趣旨ではなく、国家の最低基準を定めた場合には、条例でより厳しい規制をすることも認められるというのは理解できるのですが、「規制目的が異なれば法律で定めているものと同一事項について条例で定めることができる」ということが理解できないのです。これは具体的にどういうことなのでしょうか?法律と同一事項について条例で定めても意味が無いような気がするのですが・・・。

  • 行政書士試験過去問題(地方自治法)教えて下さい

    行政書士試験の地方自治法の過去問題で、解説を読んでも理解できない箇所があります。ぜひ初心者向けに説明をしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 本試験2000年出題 問  地方公共団体の自治立法に関する次の記述のうち、正しいもの    はどれか。 肢1 地方公共団体は、条例により法令に対し上乗せ的な規制を定める   ことができるが、そのためには法令の個別的委任が必要である。 答え 誤 解説 地方公共団体に条例制定権が認められている(14条1項)以上、   法律の趣旨等に反しない限り、上乗せ的な規制を条例で定めるこ   とができる(最判昭50.9.10)のであって、法令の個別的授権は   必要ではない。 本試験2003年出題 問  次の記述のうち、誤っているものはどれか。 肢5 条例で罰則に関し施行規則に包括委任することは許されない。 答え 正 解説 そのとおり。判例によれば、条例によって罰則を定める場合、法律の授権が相当程度具体的であり、限定されていなければならない(最判昭37.5.30)。したがって、条例が、条例よりさらに下位のほう規範である施行規則に、罰則に関し包括委任することは許されない。 質問1 上記2000年の問題解説を読むと、上乗せ的な規制を条例で定めるのに法令の個別的授権は要らないと書いてあって、2003年の問題解説を読むと、条例で罰則を定める場合、法律の授権が相当程度具体的に必要と書いてあるのですが、結局、条例で罰則を定めるには「法律とか法令とかの授権」が必要なのですか? 質問2 「法令」とは、「法律・命令」のことですか?それとも「法律またはこれに基づく政令」のことですか?

  • 条例と憲法31条の関係

    条例と憲法31条の関係についてです。 「憲法31条はかならずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によつてそれ以下の法令によつて定めることもできると解すべきで、このことは憲法73条6号但書によつても明らかである。」とあったのですが、どうして「憲法73条6号但書によつても明らか」となるのでしょうか。 同但書には「政令」とあって「条例」とはなっていないのですが。 ご教示よろしくお願いいたします。 【参考】 第七十三条  内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 一  法律を誠実に執行し、国務を総理すること。 二  外交関係を処理すること。 三  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。 四  法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。 五  予算を作成して国会に提出すること。 六  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。 七  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

  • 刑法で犯罪とされていなくとも条例で犯罪と処罰できる?

    国会中心立法の原則としての例外としては以下のようなものが問題としてあげられ るとききました。 ・両議院の規則性定権 ・最高裁判所の規則制定権 ・執行命令 ・委任命令 ・条例 質問は法177条で犯罪とされていなくとも条例で犯罪と処罰できるか ?というものなのでこの場合は 処罰できるということでいいのでしょうか? 条例への罰則の委任としての問題として学説は、委任がどれだけ個別的・具体的なものでなければならないという点で争いがあるともききました。 それらは ・命令と同様、あくまで個別的・具体的な委任が必要であるという説 ・法律による委任は相当な程度に具体的であれば足りるとする説 ・一般的・包括的な白紙委任でたりるとする説 ・法律による委任は不要とする説 があるが、判例では二番目の説が使われている。なぜなら罰則を科するにあたっては31条、73条6号但書により、法律による委任が必要であり、かつ、一般的・包括的な委任は許されないが、条例は公選の地方議会を経た自治立法であり法律に類するものであるから、法律による授権の程度は、行政権による命令とは異なり、相当程度の具体性と限界があれば足りるとされているからであると習いました。 さて、そこで一番質問したいことなのですがなぜそのようなこと(処罰できるということ)できるのでしょうか? つまり、なぜ原則として法律によることが必要とされるか?ということ です。 よろしくお願いします

  • 団体自治(センター試験レベルの勉強)

    「地方自治体が、法律や政令による授権に基づいて、違反者に対する罰則つきの条例を制定すべきである」 これは選択肢のひとつで、間違いなのですが、私は「地方自治体が条例を作るときには法律に沿ったものでないといけない」だったような気がするので、そのことを書いているのだろうか、とこれを正解にしました。 解答には「地方自治体は法律や政令の授権に基づかなくとも条例を制定できる」とありました。 この、法律や政令の授権に基づく、というのはどういう意味なのですか? この選択肢が間違いだと納得したいです。 お願いします。

  • 法律・政令・省令について

    法律の条文には概ね、政令や省令への委任事項が入っています。 ところで、政令へ委任していたり、省令へ委任していたりしますが、どこまでは政令に委任し、どこまでは省令へ委任するのか、その範囲が分かりません。また、中には政令や省令へ委任してはならず、必ず法律(つまり国会の議決を得る)に定めなければならないものもあると思うのですが、どの範囲までは必ず法律でなければならないのでしょうか。

  • 行政書士試験 地方自治法について

    いつもありがとうございます! 地方自治法について質問します。 よろしくお願いいたします! 地方公共団体の長は、行政立法である規則を定められるが、それには条例による授権は不要。 なぜ条例による授権は不要なんですか? 検索したけど、ドツボはまりそーで、てか検索しすぎて疲れてしまったのが正直なところなんですが。。答えにたどりつけず。 質問にお答えくださるとありがたいです。 それともうひとつ。 法律による委任が必要ってことばもよくみますが、 これはどういったことをさしているのですか? ここからは私の考え(疑問)です。 法律は抽象的だから個別の条例などで具体的なことを定める。 そして、そこには法律に根拠がないと規則 などを つくってはいけないということですか? まだ不勉強です。 よろしくお願いいたします!!

  • 法律の授権規定について

    内閣の制定する規則に政令がありますよね? 主に、1)法律の実施に必要な規則や2)法律が委任する事項を定める、 とのことですが、 1)法律の実施に必要な規則 の場合、法律による授権規定は要りますか? 2)法律が委任する事項の場合には、文字通り、法律が委任するわけ だから要ると思うのですが。 国民の権利義務が伴う場合(課金とか・・)には法律による授権規定 がいると思うのですが、ただ、法律を実施するための規則の場合って 授権規定はないですよね?そのあたりが良くわからなくて。 また、同じようなものに省令があると思いますが、 省令の場合には憲法による規定がないですよね? 法律もしくは政令を施行するために制定する省令の場合には どこかからの授権規定が必要なんでしょうか。 よろしくお願いします。

  • 法律条文中の政令や省令への委任規定の参照先の探し方

    ご覧いただきありがとうございます。 法律学習者です。 以下の点、不明につきお知恵をお借りしたく書き込みいたします。 【不明点】 法律の条文中に政令や省令への委任を定めた規定がありますが、その参照先をどのように探せばよいのかわからず困っております。 例えば以下のような感じです。 【例】 不動産登記法 第十五条 に以下のような記載があります。 (法務省令への委任) 第十五条 この章に定めるもののほか、登記簿及び登記記録並びに地図、建物所在図及び地図に準ずる図面の記録方法その他の登記の事務に関し必要な事項は、法務省令で定める。 この、文末に記載の「法務省令」で定められた具体的な事項を見たいのですが、それでは不動産登記規則の第何条を参照すればよいのか、という情報がどこに書かれているのかがわかりません。 他の法律でも同じような委任規定が多数ありますが、参照先をどのように特定できるのかをご存じの方がおられましたらご教示願えませんでしょうか? どうぞよろしくお願いいたします。

  • 特商法17条の罰則は?

    今回初めて質問させていただきます。 迷惑電話に近い、強引な電話営業等は、特商法17条に違反するということは、調べていって判ったのですが、この17条に違反した場合の罰則というのは、どの程度の罰則なのでしょうか。 特商法 第7章(第70条から第75条)に罰則が書かれていたのですが、この中に17条に関しての記載がないようです。 電話口で「条例違反」とこちらが主張しても、引き下がる業者もいません。条例違反ということだけでなく、罰則も電話の相手に主張した上で、それでも営業電話をかけ続けてくるのなら、法的な対応も検討しようと思っていますが、もし罰則がないのであれば意味のないことですし・・。 私の検索の仕方がマズイのだと思いますが、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えていただけないでしょうか。