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障害年金について
恥ずかしながら年金の事はさっぱりわからず、過去ログを拝見してもすっきりしません。どうかご助言くださいますようお願いします。 62歳の父が透析をうけることになり、1級の障害者手帳をもらいました。 定年までは厚生年金に加入しており、既に一部繰上げで年金生活をしています。 一部繰上げで障害基礎年金はもらう事ができるのでしょうか? また、過去ログで調べたところ、透析は障害年金の2級だそうですが、もらえるとしても障害基礎年金はもらった方が得なのでしょうか?
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こんにちは。 さっそくですが、回答を続けますね。 現在お父さまが受け取られているのは、どうやら「特別支給の老齢厚生年金」のようですね。 こちらは、65歳を迎えるまでと65歳以降とで、次のような感じになります。 ● 65歳を迎えるまでに支給されるもの (1)特別支給の老齢厚生年金の「報酬比例部分」(60歳から支給開始) (2)特別支給の老齢厚生年金の「定額部分」(生年月日に応じて支給開始) お父さまの場合は「来年から定額部分の支給が開始される」とありましたから、 「昭和20年4月2日から昭和22年4月1日の間に生年月日がある」ということで、 来年63歳を迎える、ということでよろしいですか? ● 65歳以降 (1)老齢厚生年金(← 特別支給の老齢厚生年金の「報酬比例部分」から移行) (2)老齢基礎年金(← 同じく「定額部分」から移行) 支給のイメージ: http://nenkin.ok-style.net/money/mp04.html 特別支給の老齢厚生年金を受給している人に対しては、 65歳の誕生日を迎える日までに、 65歳以降の老齢基礎年金の「裁定請求書(ハガキ)」が送られてくるはずです。 そのハガキに必要事項を記入して社会保険庁に送付すれば、 老齢基礎年金(「老齢厚生年金」ではありません!)を請求したこととなり、 あらためて「老齢基礎年金」の裁定請求を行なう必要はありません。 なお、「老齢厚生年金」(65歳以降の本来の老齢厚生年金)については、 あらためて社会保険事務所に裁定請求を行なう必要があります。 (65歳を境に、いったん切れてしまうのです。あくまでも「特別支給の‥‥」なので。) さて。 次に、現在の障害(人工透析)との関連を述べます。 かなりややこしくなりますので、順を追ってお読み下さい。 ======================================================================== ■ 1.まず、「特別支給の老齢厚生年金」の「障害者特例」を考える ======================================================================== 特別支給の老齢厚生年金の「定額部分」については、 本来は、生年月日に応じて支給開始年齢が段階的に定められていますので、 60歳から支給が開始される、とは限りません。 しかし、もしも年金法でいう1~3級の障害の状態にあてはまっている場合は、 この「定額部分」の支給は、60歳直後から支給が開始されます。 したがって、障害基礎年金や障害厚生年金の裁定請求がまだ済んでない場合は、 まず、こちらの障害者特例が利用できないかどうか、を考えます。 ======================================================================== ■ 2.次に、障害厚生年金や障害基礎年金の受給を考える ======================================================================== もしも障害厚生年金や障害基礎年金が受給できるとすると、 ANo.1でお答えした「1人1年金の原則」を考慮しなければならなくなります。 ● 65歳を迎えるまで 特別支給の老齢厚生年金 ‥‥ 受給できる 障害厚生年金 ‥‥ 特別支給の老齢厚生年金を受給していると、受給できない 障害基礎年金 ‥‥ 同上 「特別支給の老齢厚生年金 < 障害厚生年金+障害基礎年金」という金額になれば、 1~2級の障害厚生年金が支給される、という前提にかぎり、 特別支給の老齢厚生年金の受給をやめて、 障害厚生年金や障害基礎年金を受給したほうがメリットがあります。 (どちらかを選択する、ということです。) 障害年金の裁定請求は、65歳を迎えるまでに済ませていなければなりません。 そのため、どちらを選択するか、ということにかかわらず、 障害年金の裁定請求は早めに済ませておく、ということを強くおすすめします。 ● 65歳以降 障害年金の裁定請求を済ませたことを前提に、以下の選択肢が生じます。 選べるのは、下記のいずれかのうちの1つだけです。 (1)老齢厚生年金+老齢基礎年金 (2)老齢厚生年金+障害基礎年金 (3)障害厚生年金+障害基礎年金 社会保険事務所でそれぞれの支給額を試算していただき(簡単にできます)、 最も金額の高いものを選択する、ということになります。 ======================================================================== 以上のことから、 障害厚生年金2級の裁定請求をする、という方向性で進めてゆくと良いでしょう。 社会保険事務所が窓口です。 手続きはいろいろとややこしいものがあるので、詳細は割愛しますが、 少なくとも、 (1)元々の腎臓疾患(ポリープ)の初診日が「厚生年金保険被保険者期間中(定年前)」である (2)そのポリープと、現在の人工透析との間には「相互因果関係」がある (= ポリープがなければ、人工透析には至らなかった) ということを、医師に証明・確定していただく必要があります。 いずれにしても、社会保険事務所をお尋ねになることを強くおすすめします。 以下のことをポイントとして下さい。 (1)現在の年金証書を持参する (2)特別支給の老齢厚生年金を受給している、ということを伝える (3)特別支給の老齢厚生年金の障害者特例が適用可能かどうかを尋ねる (4)障害厚生年金の裁定請求が可能かどうかを尋ねる (このとき、人工透析の開始日だけではなく、摘出した腎臓の最初の初診日も伝える) その他については、医師の診察等によらなければお答えできるものではありませんし、 社会保険事務所や医師の指示などにしたがっていただければと思います。 私見ですが、おそらく、障害厚生年金2級が出ると思います。 (と言うより、かなりの重症ですから、1級[最重度]にもなり得ると思います。) そのほか、人工透析を受けている方については、医療費の上限措置もあるはずですし、 また、特別障害者手当(国の制度)を受給できる可能性もあります。 経済的な恩典がいろいろあるはずですから、そちらも併せてお考えになってみて下さい。
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- kurikuri_maroon
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ANo.1への補足をありがとうございます。 おおよそのところはわかりました。 もちろん、まだまだこちらからお願いしたい情報が出てくると思いますので、 差し障りのない範囲内でよろしくお願いいたします。 さて。 障害年金の裁定請求(受給を申請すること)にあたっては、 「初診日」の日時を確定させることが非常に大切です。 初診日の時点で加入していた公的年金制度によって、 障害基礎年金になるのか、それとも障害厚生年金になるのか、障害年金の種類が決まります。 そして、初診日から1年6か月を経過した日を「障害認定日」と呼び、 障害認定日の時点で年金法でいう1~3級の障害の状態に該当していれば、 障害年金の受給権が発生します。 後述する裁定請求のタイプ(認定日請求、遡及請求、事後重症請求)のいずれにもかかわらず、 初診日時点で加入していた公的年金制度の種類によって障害年金の種類も決まる、 ということになります。 障害認定日の時点で、年金法でいう1~3級の障害の状態にあてはまる場合には、 最速で、「障害認定日」直後に裁定請求を行なうことができます。 これを「認定日請求」と言います。 認定日請求の場合は、障害認定日の存在する月の翌月分から支給されます。 (つまり、「請求日がいつであるか」ということは関係しない、ということです。) 障害認定日以後1年以上経過して請求した場合であっても、 障害認定日の時点で1~3級に該当する限りは、さかのぼっての受給が可能です。 こちらは「遡及の認定日請求(遡及請求)」と言います。 但し、さかのぼれるのは、請求日から過去にさかのぼって最大5年前までの分だけです。 障害認定日の時点で1~3級のどれにも該当しない場合には、 その障害の状態が悪化して該当するようになるまでは、裁定請求を待たなければなりません。 このとき、悪化して該当した場合の裁定請求を、「事後重症請求」と言います。 「事後重症請求」の場合には、請求日の存在する月の翌月分から支給されます。 このため、障害の状態が既に1~3級にあてはまったのにもかかわらず裁定請求が遅れていると、 それだけ支給開始が遅れます。 定年前に片方の腎臓を摘出済みである、ということは、 そもそも、現在の慢性腎不全(人工透析)に至る最初の原因となった傷病の「初診日」が 厚生年金保険の被保険者期間中(定年前だから)にあった、ということになります。 特に、多発性のう胞腎(腎臓のポリープ)にかかり、その後に慢性腎不全に至った場合には、 「相互因果関係あり」として取り扱うことになっているので、 人工透析を開始した日を「初診日」として見るのではなく、 「多発性のう胞腎」として初めて医師の診察を受けた日、を「初診日」とします。 したがって、この初診日から1年6か月を経過した日(「障害認定日」)に 年金法でいう1~3級の障害の状態であれば良いわけですが、 摘出によって障害の状態がいったん消滅してしまっているので、NGです。 言い替えると、その後の人工透析に至った日まで待つ、ということです。 「初診日が、明らかに厚生年金保険の被保険者期間中であった」ということが確定できれば、 先述の「相互因果関係あり」という考え方から、 障害基礎年金ではなく、障害厚生年金を受給できます。 裁定請求のタイプは「事後重症請求」で、人工透析開始時点で2級に相当します。 なお、障害厚生年金の等級が1級か2級である場合には、 同時に、障害基礎年金の1級か2級も支給されるしくみになっています。 以下、長くなりますので、回答は分けて記させていただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。
- kurikuri_maroon
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年金には、大きく分けて 国民年金から出る「基礎年金」と、厚生年金保険から出る「厚生年金」があり、 それぞれ「老齢」「障害」「遺族」を理由として支給されるので、 6種類[2×3=6]が存在します。 (1)老齢基礎年金 (2)老齢厚生年金 (3)障害基礎年金 (4)障害厚生年金 (5)遺族基礎年金 (6)遺族厚生年金 上記のうち、理由(老齢・障害・遺族)が同じもの同士は同時に支給を受けることが可能ですが、 理由が異なるもの同士は、原則として、特例がある場合を除いて、同時に支給を受けられません。 これを「1人1年金の原則」と言います。 但し、平成18年以降は、65歳以降については 「障害基礎年金」と「老齢厚生年金」を同時に支給できる、という特例が創られました。 この場合、65歳以降の「老齢基礎年金」は受けられなくなります。 「障害基礎年金」にするか「老齢基礎年金」にするかを選択する、という形になります。 したがって、支給額の大小関係が 「障害基礎年金 > 老齢基礎年金」となる場合にのみ、メリットがあります。 これを踏まえて、まずは以下をお知らせいただきたいのですが、 よろしくお願いいたします。 ● 一部繰上げ支給を受けているのは「老齢基礎年金」ですか? ● そうではなく、もしかしたら「特別支給の老齢厚生年金」ではありませんか? ○ お手元の年金証書&裁定通知書(あるいは、既に到着しているはずの「年金支払額通知書ハガキ」でわかります。) ○ 「特別支給の老齢厚生年金」の「報酬比例部分」は、65歳以降の「老齢厚生年金」にあたります。 ○ 「特別支給の老齢厚生年金」の「定額部分」は、65歳以降の「老齢基礎年金」にあたります。 ○ したがって、上述した特例で「障害基礎年金」をもらうことを考えたいとき、考慮する必要が生じます。 ● 透析が始まる前に腎臓病や糖尿病性腎障害で医師の診察を受けたことと思います。 ● このときの初診日は、厚生年金保険被保険者期間中(定年前で、在職中だったとき)でしたか? ○ 初診日が定年前だとすると、「障害基礎年金」ではなく「障害厚生年金」を考えなければなりません。 ● それとも、定年後に初めて腎臓病や糖尿病性腎障害で受診し、以後、透析へと至りましたか? ○ こちらは「障害基礎年金」です。 これらが判明しないと、 より的確な回答を差し上げることができません。 もし、一部繰上げを受けているのが「老齢基礎年金」であったときには、 初診日が定年退職前だったとすると、 事後重症(在職中の病気が悪化して透析へと至った、ということ)による障害年金の請求が 認められないからです。 一方、「特別支給の老齢厚生年金」を受けている場合には、 実は「障害者特例」というものがあり、 本来の支給開始年齢よりも早めに「特別支給の老齢厚生年金」を受けられる、 という可能性がありました。 (但し、今後判明して申請したとしても、受給をさかのぼることはできません。) いずれにしても、ご質問のケースは、 どうやら少し複雑なケースのようですから、可能でしたら、より正確な情報をお知らせ下さい。 そのほか、以下に、言葉の説明をしておきますので、 参考になさって下さい(ちんぷんかんぷんなら、それはそれでかまいません。)。 ======================================================================== 特別支給の老齢厚生年金 当分の間、60歳から65歳を迎えるまでの間、老齢厚生年金が特例的に支給される。 昭和36年4月1日までに生まれた男性と、昭和41年4月1日まで生まれた女性が対象。 ● 受給のための最低条件(以下の全てを満たすこと) (1)年齢が60歳以上(かつ65歳未満)である (2)厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ある (3)国民年金の老齢基礎年金を受けるために必要な資格期間(25年)を満たしている ● 支給の形 特別支給の老齢厚生年金の「報酬比例部分」+ 同「定額部分」 ※ 報酬比例部分 ‥‥ 在職中の給与の額で決まってくる部分 ⇒ 65歳以降の「(本来の)老齢厚生年金」に相当 ※ 定額部分 ‥‥ 一定額が固定されている部分 ⇒ 65歳以降の「老齢基礎年金」に相当 ● 定額部分の支給開始年齢(注:段階的に設定されている)[平成6年 法改正] 男性: 昭和16年4月1日生まれまで 60歳 ~昭和18年4月1日生まれ 61歳 ~昭和20年4月1日生まれ 62歳 ~昭和22年4月1日生まれ 63歳 ~昭和24年4月1日生まれ 64歳 女性: 昭和21年4月1日生まれまで 60歳 ~昭和23年4月1日生まれ 61歳 ~昭和24年4月1日生まれ 62歳 ~昭和25年4月1日生まれ 63歳 ~昭和26年4月1日生まれ 64歳 上記の年齢にあてはまる人 ‥‥ 「報酬比例部分」+「定額部分」を支給 ● 報酬比例部分の支給開始年齢(注:段階的に設定されている)[平成12年 法改正] 男性: 昭和28年4月1日生まれまで 60歳 ~昭和30年4月1日生まれ 61歳 ~昭和32年4月1日生まれ 62歳 ~昭和34年4月1日生まれ 63歳 ~昭和36年4月1日生まれ 64歳 女性: 昭和33年4月1日生まれまで 60歳 ~昭和35年4月1日生まれ 61歳 ~昭和37年4月1日生まれ 62歳 ~昭和39年4月1日生まれ 63歳 ~昭和41年4月1日生まれ 64歳 上記の年齢にあてはまる人 ‥‥ 「報酬比例部分」だけを支給 ======================================================================== 「特別支給の老齢厚生年金」の「障害者特例」 昭和36年4月1日までに生まれた男性か、昭和41年4月1日まで生まれた女性で、 特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったときに 厚生年金保険の被保険者ではない場合(要するに、在職していない場合)で、 かつ、年金法で定められる1級~3級の障害の状態(注:障害者手帳の等級ではない)のときは、 本人が請求すれば、請求した月の翌月分から、 支給開始年齢の定めにかかわらず、「報酬比例部分」+「定額部分」を受給できる。 ========================================================================
補足
こんなに早くに回答していただけて、また、こんなに親切丁寧に回答していただけて、感激しています。 ありがとうございます。 教えていただいた内容から、状況により複雑に変わってくる事にビックリしました。 > ● 一部繰上げ支給を受けているのは「老齢基礎年金」ですか? > ● そうではなく、もしかしたら「特別支給の老齢厚生年金」ではあ りませんか? 父の裁定通知書には「老齢厚生年金」と書かれているので、ご察しの通り、「特別支給の老齢厚生年金」のようです。 来年から定額部分の支給も開始されます。 > ● それとも、定年後に初めて腎臓病や糖尿病性腎障害で受診し、以後、透析へと至りましたか? はい。もともとポリープができやすい性質のようで、定年前に片方の腎臓を摘出しましたが、今回もう片方にも腫瘍が見られたので全摘という形になり、透析を始めなければならないかもしれない、という状況になったのが今年の話なので、定年後になると思います。 そうすると障害基礎年金になるということでしょうか? 障害者特例というのも適用されそうですが?
お礼
ご返答ありがとうございます。 昨日、何度も読み返し、今日、また更に何度も読み返したのでお礼が遅くなり、申し訳ありません。 必要な箇所をメモ書きして、父と一緒に社会保険事務所に行きたいと思います。 父の相談に加え、知識のない私向けに年金の仕組みを分かりやすく詳しく説明していただけたので、社会保険事務所で説明を受けても意味が理解できると思います。ありがとうございます。 自分なりに調べていた頃より、かなり深く理解する事ができました。 思い切って質問してみてよかったです。 このような長文回答、しかも知識のない者に言葉を選んで説明するのは、とても時間がかかったと思います。貴重なお時間を割いてくださって心より感謝しております。 (私のつたない文章では感謝の気持ちを表現しきれないのが残念です) 父の一生に係わる事なので、大切に保管しておきたいと思います。 本当にありがとうございました。