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『広義の著作権』。こんな場合は、どうなるのでしょうか?
素人質問で恐縮です。以下のようなことを思いつき、いろいろと調べましたが、 よくわかりませんでした。『著作権』の境界線は、どこにあるのでしょうか? (1)文章の変形 たとえば、「むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました」を 書き換え、「タシマイガンサアバオトンサイジオニロコトルア、シカム、シカム」と して、原形とまったく異なる文字列の文にした場合、『広義の著作権』は、どの 程度まで認められますか? (2)暗号化 (1)の例文をさらに複雑に並べ替えて 「るとたあんし、さましいいかじがむおん、にさしろあかこばむとお」 などと変形した場合には、どうでしょうか? この場合には、すでに意味不明な文字列ですが、『法的』には、まったく 別の 文字列の文をつくったと認められますか? そして、このような手法で、すでに著作権の消滅している作品あるいは 独自の作品を暗号化して出版した場合、質問者に『広義の著作権』が、 認められるでしょうか? (3)短文 たとえば、 ―なにがあっても春夏秋冬 これは、質問者の個人的な心理状態を現実の季節感に重ね合わせて表現した つもりの自作のへたな「即興詩」?なのですが、この程度では『広義の著作権』 でも質問者が権利を主張することは無理でしょうか? あるいは、知らないうち に誰かの著作権を侵害しているでしょうか? (4)実験的音楽 ある音楽家の場合は、3楽章とも「休み」という作品をつくって、著作権料まで 支払われているそうですが、 たとえば、『他の著作権を侵害しないよう実演する123分以内の楽曲』という 内容の楽譜を質問者が公表した場合、『広義の著作権』は認められますか? どちらも誰でも思いつきそうなことのように考えられますが、「有名か無名か」 で『広義の著作権』が、認められたり、認められなかったりするのでしょうか? (5)妄想 (4)で考えた『123分』の楽曲の場合、解釈によっては、それ以後につくられる 123分以内のすべての楽曲をあらかじめ含むことになります。 そこで、その楽曲に『広義の著作権』が、認められる場合を考えてみました。 たとえば、仮に質問者が高名な音楽家を『著作権侵害』で訴え裁判をおこすと します。質問者の『著作権は認められている』のですから、その点については、 争う余地はありません。相手は、そんな無名の素人の思いつきの作品など 「知らなかった」と主張します。そして、質問者は裁判に負けると思います。 逆に名誉毀損などで訴えられるかもしれません。 けれども、相手の音楽家は、その後に新しい作品を公表できるでしょうか? 少なくとも演奏時間が123分以上の作品しか公表できなくなるのでは? なぜなら、『123分以内の楽曲』の著作権は質問者にあるのです。そして、 相手の音楽家は裁判によって、そのことを知っているのです。 あれ、何か変な結論です。やはり、最初から『広義の著作権』も認められない ということでしょうか? (6)類似する表現 俳句などの短い詩型では、類似する表現の作品があるそうですが、その場合 「広義の著作権」は、先に公表した人の権利になるのでしょうか? あるいは、どの人にも認められるものなのでしょうか? たとえば、AさんとBさんが、それぞれ独自に偶然にもまったく同じ表現 の俳句をつくった場合など、どちらの人にも『広義の著作権』が認められ るのでしょうか? あるいは、松尾芭蕉の「古池や 蛙飛び込む水の音」という作品を、まったく 知らない小学生が「古池にかえるが飛び込む音がした」などという俳句 らしきものをつくった場合に、その小学生にも『広義の著作権』は、認め られますか? (7)この質問の著作権 このサイトの利用規約によると、この質問の『著作権』は、このサイトを運営する 会社に帰属するものになるようです。仮に、質問者が『本』を出版しようと思った ときに、この質問に書いたことを無断で使ったら、たとえ「本人」でも、著作権の 侵害になりますか? ご多忙中のところ、いろいろとおたずねしますが、どの例も微妙に違和感が のこってしまい、すっきりしません。できれば、番号別に回答をいただけたら ありがたいです。 私の勉強不足かもしれませんが、みなさまのご回答を宜しくお願いします。
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- nep0707
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No.1です。 補足ありがとうございます。 実のところ、特にNo.3さんの回答が完璧で付け加えることはほとんどないのですが… 疑問の根本になっていそうな点だけ簡潔に書いておきます。 著作権は著作物に対する権利ですが、「著作物とは何?」も著作権法に定義があります。 2条1項1号によりますが、これを分析すると次の4要件を満たさなければなりません。 (1) 内容が自己の思想又は感情であること (2) 表現が創作的であること(意味は「何かしら個性的」と言い換えてOK) (3) 「表現したもの」であること(なので、単なるアイディアの類は不可) (4) 文芸、学術、美術又は音楽に属するものであること 端的に言えば「自分で考えたものなら著作物になる」という単純な話ではない、ということです。 No.1の補足の(2)の質問は、その『音楽』が上記の定義に照らして著作物と呼べるかどうかを確認する目的でした。 上記要件(3)の「表現」は、ある程度具体性を持ったものでなければなりません。 (「同一性」を保てる前提があるからこそ、同一性保持権という権利があるわけです) 具体性がないと表現とは呼べません。 そして、日本では著作権は誰でも著作物を作った瞬間から持つもので、いかなる要式も必要ありません(著作権法17条2項)。 なので、有名無名、偉いか偉くないかは全く関係ありません。 有名だったり偉かったりすると著作権の主張が目立ったりすることはあるでしょうが、法律とは関係のない話です。
- ken200707
- ベストアンサー率63% (329/522)
著作権法には各種の権利が定められていますが、同時に権利が制限される条件もいくつか定められています。よって、質問者が各条提示している条件“だけ”では判断ができません。 例えば、(1)が第二十七条 (翻訳権、翻案権等)を侵害しているとしても、それが公開しない私的な日記に書いた場合とか、家庭内で自分の子供に話して聞かせた、などでは第四十三条(翻訳、翻案等による利用)の一項により、著作権は制限されます。 よって考え方だけ回答してみます。 (1)(2)に関しては 第二十条(同一性保持権) 第二十七条 (翻訳権、翻案権等) を考える必要があるでしょう。“書き換え”、“並び替え”とあるのでオリジナル(当然著作権が消滅していないとして)の“同一性を破壊し”又は“翻訳”(だれも読むことができないクリンゴン語だとしても)しているので侵害していることに違いがありません。 (3)(4)に関してはオリジナルの著作物が存在しないように読み取れるので(“自作の”、“楽譜を質問者が”)、他者の著作権を侵害していることは無いでしょう、しかし、当該作品が、第二条(定義)に該当するか否かは個別に判断されることになるでしょう。 (5)に関しては、著作権はその“著作物”に関する権利であり、その著作物にかかわりの無い一切の物、行為を制限することはできません。また、著作物はアイデアを含まないので、対象は何らかの“物”である必要があります。仮に“『他の著作権を侵害しないよう実演する123分以内の楽曲』という内容の楽譜”を実際に“物”として記述できかつそれが 第二条(定義)に該当し、123分以内の楽曲がその楽譜を翻案、改変しなければ作成できないのであれば、“相手の音楽家”を著作権で制限することも可能かもしれません(実際にできるかといわれると、とてもできそうもありませんが)。 (6)に関しては、著作権は特許権などと異なり、時間的により前の物(先願主義なら届出を、先発明主義なら発明自体が)を優先することはありません。また個別に独立して製作された著作物のいずれかを選択して優先するというものでもありません。例にある当該小学生が芭蕉の句を知らなかった場合や、例え知っていてもそれを真似する意図が無いのであれば、例え一字一句同じ句を発表しても、芭蕉の著作権(仮に消滅していないと仮定しても)を侵害したことにはなりません。仮に芭蕉が当該小学生を告訴し、検察官が著作権法違反で起訴したとしても、彼らは“当該小学生が句を知っていて、それを故意に真似して発表した”ことを証明しなければなりません。そして、芭蕉の句と独立して句を作ったのであれば、その小学生は“当該小学生が作った句”に対する著作権を有します。 (7)“広義の著作権”には財産権としての著作権以外に“人格権としての著作権”と“隣接権”を含むと考えられます。このうち、“人格権”に関しては第五十九条(著作者人格権の一身専属性)により例え著作権者本人でも“譲渡”することは許されません(但し権利を主張しない自由はあります)。そして他の権利は“譲渡”することができ、仮に財産権としての著作権を第3者に“譲渡”した場合、当然ながら著作人格権を有する本人だとしても、第3者が有する著作権を侵害することは許されません。但し、“譲渡”を受けた第3者も著作人格権を侵害することは許されません。 “質問に書いたことを無断で使ったら”が本質問文の複製を本に書いたなら、当然に第二十一条(複製権)を侵害することになります。 但し、本サイトでの著作権譲渡契約が双方の合意によってかつ、公序良俗に反しないとの前提が必要です(回答子が反していると主張しているわけではないことを明示しておきます)。
- InfiniteLoop
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(1)文章の変形 「広義の著作権』は、どの程度まで認められますか?」というのはどういう趣旨でしょうか。この変形を行なった人物に、変形後の文章についての著作権が認められるかどうか、でしょうか?そういうことであれば、結論的には、変更後の文章についての著作権は認められません。著作物に単に機械的に一定の変化を加えるというだけでは、著作権の発生に必要な「創作性」がありませんので、著作権は発生しません。 (2)暗号化 もうすこし複雑な暗号化であっても、結論は同じです。機械的な変更を加えただけの文章に著作権は発生しません。 (3)短文 あまりに短い文には著作権は発生しないとされています。短い文章は結局、単語の組み合わせですから創作性の程度は低いですし、短い文章に著作権を認めると、うかつに文章をかけなくなってしまうからです。ですので、「―なにがあっても春夏秋冬」という程度の文章では著作権は認められません。 (4)実験的音楽 『他の著作権を侵害しないよう実演する123分以内の楽曲』、これは具体的な音楽ではなく単なるアイデア(しかもまだ形にもなっていない、単なる概念)ですね。こういったアイデアや概念といったものに著作権は認められません。 (5)妄想 (4)で述べたとおり、そもそも著作権は認められません。 (6)類似する表現 ○たとえば、AさんとBさんが、それぞれ独自に偶然にもまったく同じ表現の俳句をつくった場合 この場合は、AさんにもBさんにも著作権が認められます。 (7)この質問の著作権 そのとおりです。ただ、著作権が譲渡されるという規約自体の有効性を、例えば消費者保護法等によって争うことはできるかもしれません。
お礼
わかりやすく ご丁寧な回答をいただき、 おおいに勉強になりました。どうもありがとうございました。
- nep0707
- ベストアンサー率39% (902/2308)
2点、補足をお願いします。 (1) 『広義の著作権』って何ですか? 著作権法の議論では著作権、著作隣接権、著作者人格権を総称してこう呼ぶことがありますが、その意味なのでしょうか? (2) 『他の著作権を侵害しないよう実演する123分以内の楽曲』のイメージがわきません。もう少し具体的にお願いします。 法律とは関係なく、音楽のイメージが分かりません。 特に >解釈によっては、それ以後につくられる123分以内のすべての楽曲をあらかじめ含むことになります。 の意味が分からないです。 # なんとなく、著作物(「表現したもの」)ではなさそう、という気はするのですが…
補足
早速のご回答ありがとうございます (1)『広義の著作権』について 勉強不足で、申し訳ありません。 個人的には、『著作権』というと、何となく、その道のプロの偉い人達に 与えられた「権利」で原稿料とか演奏料とかの報酬を受け取っている人が 主張するものように思っていて、一般人というか普通の人間には、あまり なじみがないもののように思い、なまかじりの表現で『広義の著作権』と 書いてしまいました。 専門的には、ご回答していただいたようなことをさしているのですね。 ご教授ありがとうございます。 ご回答いただいた意味でお願い致します。 (2)『他の著作権を侵害しないよう実演する123分以内の楽曲』の イメージですが、これも申し訳ありませんでした。 実は、質問者にも具体的なイメージというほどのものは、ありません。 ただ「誰にでも思いつきそうな実験的な音楽」の一例として書きました。 たとえば、「123分間という時間内に演者がなしうる演奏のうち、他者の 著作権を侵害しないかぎりの、あらゆる可能性のある全ての音のつながり、 あるいは不連続な音を演奏をせよ」というような指示が書いてある楽譜とでも 思っていただけないでしょうか。 その意味で、その後に演奏される可能性のある『123分以内』の全ての 音楽を必然的に含んでいると主張できるのでは? と、素人ながら考えた ものです。 それは、3楽章とも「休み」という、ある意味で「無音の音楽」があるのならば、 対照的に、それ以後の「あらゆる音を含む音楽」という内容の実験的な音楽も、 成り立つのでは? との発想によるものです。 やはり、これを含めて質問させていただいた程度の内容のものは、著作物 と認められないものなのでしょうか? 今後とも、宜しくお願い致します。
お礼
ご多忙中にかかわらず、素人質問にたいし とても詳しく具体的な回答をいただき 本当にありがとうございました。 ご親切な内容で、勉強不足を痛感しております。 穴でも掘って隠れたい心境です。