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チェーホフ「可愛い女」は本当に可愛い女?
でしょうか。 チェーホフは真面目なのか、それともこれは皮肉なのでしょうか?
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- KoHal
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岩波文庫の翻訳者による後書きにトルストイの批評が引用されています。 「彼も初めは詛(のろ)うつもりだったが、詩神がそれを制してかえって 祝福せしめられたものである」 私もこの見解に同意します。 つまり、 チェーホフは自我を持たない恋愛依存症の女性を揶揄するつもりで 『可愛い女』を書き始めたのに、出来上がった作品はなぜかその ヒロインの人生を肯定するものになってしまった。 オーレンカという女性は自我を持たず教養もない浅薄な女性ですが、それだけに愛した男には後先考えず盲目的に付き従います。 その行為は客観的には愚かな行為なのですが、しかし(チェーホフの描写が巧みなせいもあって)同時に健気で愛らしくも感じてしまう、そういう按配ですね。 ですから「『可愛い女』というタイトルは真面目か皮肉か?」というご下問に対しては、「皮肉なんだけど、ヒロインは実際に可愛くもある」と回答することになります。 こういうヒロインに対するアンビバレンツな感情を読者に興起させるところが『可愛い女』という作品の面白さだと私は思います。 余談ですが。 その昔『可愛い女』にヒントを得たと思われるテレビドラマが(若いころの)松坂慶子主演で製作放映されたことがあります。 ”惚れっぽくて献身的で少し思慮に欠ける部分はあるが愛らしく憎めない”という役柄が(若いころの)松坂慶子にぴったりで、非常に魅力的なヒロインになっていました。 このドラマ以来、私のオーレンカのイメージは(若いころの)松坂慶子なのです(笑。
- eroihito
- ベストアンサー率22% (19/85)
ヒロインのオーレンカは 女性の可愛らしさ、愛らしさをものすっごいデフォルメした女性なんです あまりにも相手を愛しすぎて、思いすぎて 思いやりすぎて、相手の分身のようになってしまい 相手の言葉の鸚鵡返ししかしないようになってしまうのです そういった、人を深く愛せる事=女性の可愛らしさ つまり、可愛い女なのではないでしょうか
お礼
ご回答ありがとうございます。 チェーホフは「自分自身を持たない人間を批判的に皮肉に描くことだった」らいしというメモを残しているそうです。 >人を深く愛せる事=女性の可愛らしさ というよりもあまりに度が過ぎると人としての業深さを感じてしまいます。特に私も女性ですので、実際にこういう女性がそばにいたら、敵対心を感じてしまいそうです(笑)。というのは自分の中にも彼女と同じものを持っているからです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >アンビバレンツな感情を読者に興起させるところが アンビバレンツ・・・なるほどです。とすればさらに回答がでなくなりそうな・・・。作品が独り歩きしたともいえますが、チェーホフ自身読者に問題提起させる作家だそうですね。私自身女として複雑な気持ちになりました。