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可逆機関と不可逆機関

siegmundの回答

  • siegmund
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回答No.3

Mell-Lily さんのご回答の論理的組み立ては次のようなものです. 可逆機関は逆行運転できる. もし,可逆機関より効率のよい機関があれば, 可逆機関の逆行運転と巧妙に(?)組み合わせることによって, ただ1つの熱源から熱を吸収して仕事に変えることができてしまう. というものです(トムソンの原理に違反). もしこういうことが可能ならば > 海水の温度を極僅か下げて、家庭のお風呂を沸かすことができます。 よりは,海水からエネルギーを頂いて重油も何も使わず航行する船が造れる. の類の方がよいでしょう. まあ,得られた仕事で風呂を沸かせばいいんですけれど. 多少組み合わせ方を変えますと, 「もし,可逆機関より効率のよい機関があれば, 外からエネルギーなど投入せずに熱を低温部から高温部へ流すことができる」 という風にすることも可能です. これはクラウジウスの原理に違反することになります. これができるなら,Mell-Lily さんの > 海水の温度を極僅か下げて、家庭のお風呂を沸かすことができます。 と直接結びつきます. エントロピー概念をご存知なら下の図がわかりやすいでしょう 《可逆機関の図》       S_H Q_H         ┃  ┃   高温部(T_H)       ∨  ∨    ┌────────┐    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃━━│━> エネルギー W    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    └────────┘       ┃  ┃       ∨  ∨              低温部(T_L)       S_L Q_L エネルギーの収支を見れば (1)  Q_H = Q_L + W エントロピーからは,可逆機関の場合 (2)  S_H = S_L ですが, (3)  S_H = Q_H/T_H,   S_L = Q_L/T_L と組み合わせて,(1)(2)(3)からη=W/Q_H で定義される効率は (4)  η=(T_H - T_L)/T_H になります. 一方,不可逆機関では,機関内で余分なエントロピーが生成されます. 《不可逆機関の図》       S_H Q_H         ┃  ┃   高温熱源(T_H)       ∨  ∨    ┌────────┐    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃━━│━> エネルギー W    │ ┃┃  ┃  │    │ ┃┃  ┃  │    │ ┃┃  ┃  │    │ ┃┃  ┃  │    └────────┘      ┃┃  ┃      ∨∨  ∨              低温熱源(T_L)      S_L  Q_L つまり (1)  Q_H = Q_L + W (2)  S_H < S_L (3)  S_H = Q_H/T_H,   S_L = Q_L/T_L から (4)  η = W/Q_H < (T_H - T_L)/T_H になります.

koubou364
質問者

お礼

前回に引き続き今回も詳しい説明ありがとうございました。

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