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可逆機関と不可逆機関

なぜ不可逆機関は可逆機関に比べて効率が悪いのですか?熱力学的に教えて下さい。

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  • Mell-Lily
  • ベストアンサー率27% (258/936)
回答No.2

熱効率の問題は、フランスの技術者サディ・カルノー(Nicolas Leonard Carnot,1796~1832)によって、議論されました。「可逆機関の熱効率が最も良い」ことをカルノーの定理と言います。 可逆機関Aと不可逆機関B、熱源T_1と熱源T_2があるとします。熱源T_1の温度は、熱源T_2の温度より高いとします。機関Aは、熱源T_1から熱量Q_1を受け取り、外部に仕事Wをして、熱量Q_2を熱源T_2に放出するとします。  T_1 → Q_1 → A → Q_2 → T_2, A → W → 外部 (1) ところが、機関Aは可逆機関ですから、この逆の過程も起こり得ます。つまり、機関Aは、熱源T_2から熱量Q_2を受け取り、外部からWの仕事をされて、熱量Q_1を熱源T_1に放出します。  T_2 → Q_2 → A → Q_1 → T_1, 外部 → W → A (2) 一方、機関Bは、熱源T_1から熱量Q_1を受け取り、外部に仕事W'をして、熱量Q_2'を熱源T_2に放出します。  T_1 → Q_1 → B → Q_2' → T_2, B → W' → 外部 (3) いま、機関Bの熱効率が機関Aの熱効率より大きいと仮定します。すると、機関Bは、機関Aに仕事Wをすることができます。  T_1 → Q_1 → B → Q_2' → T_2, B → W → A, B → W'-W → 外部 (4) つまり、過程(2)と過程(4)は同時に起こすことができます。熱源T_1は、機関Aから熱量Q_1を受け取り、機関Bに熱量Q_1を放出しますから、差し引き0です。よって、正味の結果は、熱源T_2から、熱量(Q_2-Q_2')を奪って、仕事(W'-W)を取り出したことになります。 さて、これが実際に可能であるなら、海水の温度を極僅か下げて、家庭のお風呂を沸かすことができます。これを不可能としたのが熱力学第2の法則です。よって、可逆機関の熱効率が、最も良いことになります。

koubou364
質問者

お礼

ありがとうございました。 とてもわかりやすかったです。

その他の回答 (2)

  • siegmund
  • ベストアンサー率64% (701/1090)
回答No.3

Mell-Lily さんのご回答の論理的組み立ては次のようなものです. 可逆機関は逆行運転できる. もし,可逆機関より効率のよい機関があれば, 可逆機関の逆行運転と巧妙に(?)組み合わせることによって, ただ1つの熱源から熱を吸収して仕事に変えることができてしまう. というものです(トムソンの原理に違反). もしこういうことが可能ならば > 海水の温度を極僅か下げて、家庭のお風呂を沸かすことができます。 よりは,海水からエネルギーを頂いて重油も何も使わず航行する船が造れる. の類の方がよいでしょう. まあ,得られた仕事で風呂を沸かせばいいんですけれど. 多少組み合わせ方を変えますと, 「もし,可逆機関より効率のよい機関があれば, 外からエネルギーなど投入せずに熱を低温部から高温部へ流すことができる」 という風にすることも可能です. これはクラウジウスの原理に違反することになります. これができるなら,Mell-Lily さんの > 海水の温度を極僅か下げて、家庭のお風呂を沸かすことができます。 と直接結びつきます. エントロピー概念をご存知なら下の図がわかりやすいでしょう 《可逆機関の図》       S_H Q_H         ┃  ┃   高温部(T_H)       ∨  ∨    ┌────────┐    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃━━│━> エネルギー W    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    └────────┘       ┃  ┃       ∨  ∨              低温部(T_L)       S_L Q_L エネルギーの収支を見れば (1)  Q_H = Q_L + W エントロピーからは,可逆機関の場合 (2)  S_H = S_L ですが, (3)  S_H = Q_H/T_H,   S_L = Q_L/T_L と組み合わせて,(1)(2)(3)からη=W/Q_H で定義される効率は (4)  η=(T_H - T_L)/T_H になります. 一方,不可逆機関では,機関内で余分なエントロピーが生成されます. 《不可逆機関の図》       S_H Q_H         ┃  ┃   高温熱源(T_H)       ∨  ∨    ┌────────┐    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃  │    │  ┃  ┃━━│━> エネルギー W    │ ┃┃  ┃  │    │ ┃┃  ┃  │    │ ┃┃  ┃  │    │ ┃┃  ┃  │    └────────┘      ┃┃  ┃      ∨∨  ∨              低温熱源(T_L)      S_L  Q_L つまり (1)  Q_H = Q_L + W (2)  S_H < S_L (3)  S_H = Q_H/T_H,   S_L = Q_L/T_L から (4)  η = W/Q_H < (T_H - T_L)/T_H になります.

koubou364
質問者

お礼

前回に引き続き今回も詳しい説明ありがとうございました。

noname#2748
noname#2748
回答No.1

熱力学は専門外なのですが、動作流体の入れ替えに伴う損失のためでは?

koubou364
質問者

お礼

ありがとうございます。 考えるきっかけとなりました。

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