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モノポールとベクトルポテンシャル
モノポールがあった場合、ベクトルポテンシャルってどうなるんでしょうか? もはや、B=rotAの形で書けないですよね? もっと言うと、モノポールがあった場合に、Maxwell方程式の共変性が成り立たなくなってしまうと思うのですけど。
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少し修正を加えるだけで問題はありません。 (少しとは言ったものの、気合を入れないと式を間違いそうです。) ibm_111 さんの他の質問への解答を拝見しましたところ物理学に精通しておられるようなので、 どの文字がベクトルを表すのかあたりの判断はお任せします。 また、見にくくなるかもしれませんが光速度 c=1 とはしないでおきます。 まず、モノポールがあった場合の Maxwell 方程式を あらわに書いておきます。 ∇・E = (ρ_e)/ε ∇・B = μ(ρ_m) ∇×E = -(∂/∂t)B - μJm ∇×B = μ{Je + ε(∂/∂t)E} というように、第2式右辺に磁荷、第3式右辺第2項に磁流が加わることになります。 あとで見にくくなるためアンダーバーは省略しましたが Je の e 、Jm の m は添え字です。 一方、 □ = (∂/∂x,∂/∂y,∂/∂z,1/(ic)∂/∂t) Je = (Je_x,Je_y,Je_z,icρ_e) Jm = (Jm_x,Jm_y,Jm_z,icρ_m) F_(μν):電磁場テンソル ε_(αβμν):反対称テンソル などとしてモノポールがない場合の Maxwell 方程式を共変形で書くと、 (□_ν)F_(μν) = μ(Je_μ) (1/2)ε_(αβμν)(□_β)F_(μν) = 0 です。(透磁率μと添え字μがダブってしまいました。) ここで、共変形の第1式において μ= 1,2,3 が ∇×B の式、μ= 4 が ∇・E の式を意味するので第1式は変更はありません。 第2式の変更点は結論だけ書けば、 (1/2)ε_(αβμν)(□_β)F_(μν) = (iμ/c)(Jm_α) のように右辺に4元磁流の項が出てくることになります。 この式において、α= 1,2,3 が ∇×E の式、α= 4 が ∇・B の式を表します。 次に、ベクトルポテンシャルです。 通常の(モノポールのない)電磁気の場合、 E = -∇Φ - (∂/∂t)A B = ∇×A のように書けます。 以下では、磁荷などによるポテンシャルと区別するため Ae = (Ae_x,Ae_y,Ae_z,(i/c)Φe) Am = (Am_x,Am_y,Am_z,(i/c)Φm) と添え字をつけます。 ここで、∇・∇×A は恒等的に0ですから B = ∇×(Ae) のままではモノポールが存在する場合の Maxwell 方程式を満たしません。 どのように変更するかは電場の式を参考にすれば容易にわかります。 例えば、静電ポテンシャル Φe の勾配 ∇(Φe) が電場を生み出すのと同様に 磁場の式にも静磁ポテンシャル Φm の勾配 ∇(Φm) があるはずです。 こちらも結果を示すと、 E = -∇×(Am) -∇(Φe) - (∂/∂t)Ae B = ∇×(Ae) -(1/c^2)∇(Φm) - (1/c^2)(∂/∂t)Am のようにモノポールが存在した方が対称的になります。 また、今は Lorentz gauge ∇・(Ae) + (1/c^2)(∂/∂t)Φe = 0 ∇・(Am) + (1/c^2)(∂/∂t)Φm = 0 (共変形では (□_μ)A_μ = 0 ) を採用して、先ほどの E, B の式を Maxwell 方程式に代入すると、 ポテンシャルが満足する波動方程式として (∇^2)Φe - (1/c^2)(∂^2/∂t^2)Φe = -(ρ_e)/ε (∇^2)Ae - (1/c^2)(∂^2/∂t^2)Ae = -μJe (∇^2)Φm - (1/c^2)(∂^2/∂t^2)Φm = -(ρ_m)/ε (∇^2)Am - (1/c^2)(∂^2/∂t^2)Am = -μJm が得られます。 共変形では (□^2)Ae_μ = -μ(Je_μ) (□^2)Am_μ = -μ(Jm_μ) です。 さらに、このとき電磁場テンソル F_(μν) は F_(μν) = (□_μ)Ae_ν - (□_ν)Ae_μ + (i/c)ε_(αβμν)(□_α)Am_β のように通常の電磁気と異なり第3項が表れます。 数式中に間違いがあれば適当に正してください。
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