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「ソ連の崩壊=社会主義の夢の崩壊」に対する反論とは
「ソ連の崩壊が共産主義のみならず、社会主義者の夢=非階級社会の実現をもうち砕いた。だから今フランスの社会主義者達はアイデンティティを失って困ってる」ってフランスのテレビで言ってました。 日本は勝ち組負け組みなんて言っているけれど、フランス、イギリスに比べると、まだまだ一億総中流な気がするのでこういう意見はぴんと来ないなあ、と思って聞いていました。 でもよく考えたら、私は日本ではソ連が崩壊して十年以上たった今、この問題についてどんな論点が出ているのかはっきりと把握しておりません(ソ連崩壊時にはまだ物心ついていませんでしたし)。 この問題に関して、日本ではどんな議論が行われていたのか、誰か教えていただけませんか。比較的中立の立場から、論点を整理してくださるととてもありがたいです。 素人の想像ですが、「ソ連の崩壊=社会主義の原理的な失敗」派と、「ソ連の崩壊=社会主義の局地的失敗」派と2派があって、前者の方が多数派である、という風に思い込んでいるのですが、正しいですか? もし正しければ、そういう風になっちゃった経緯なども教えていただけると助かります。
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共産主義(ここでは社会主義も含んでのものだと考えてください)は 20世紀最大の(政治的)実験と呼ばれていました。 その前にイギリスから始まった産業革命によって、世界はいわゆる 「産業資本主義」の時代に入るのですが、これは「金=資本」を持ったものが 世の中を支配し、「金=資本」を持たないものは、資本家から搾取される一方の プロレタリアート(労働者階級)としてますます没落していくという 側面を持っていました。 その社会的な矛盾を、著書「資本論」の中で指摘したのがごぞんじマルクスで、 その結果、1917年ロシア革命を経て世界初の共産主義(社会主義)国家が成立します。 共産主義理論は、ひとつの国が 原始共産主義 → 封建主義(土地を持った者が支配する農業経済体制) → 資本主義 → 国家独占資本主義 → 社会主義 → 共産主義 へと、理論どおりに政治経済体制(構造)が、一直線に進化していくことを予言し また事実、多くの国では初期の資本主義における構造矛盾を抱えていましたので その社会矛盾に苦しむ多くの無産階級(金=資本を持たない階級=労働者) の支持と共感を得ました。 そして事実、多くの国で共産革命が成功し、そうした国では計画経済により不況もない 失業者もいない、労働者のユートピアが実現されたとされたのです。 今から考えると、信じられないことかもしれませんが、たとえば あの北朝鮮にしても、金日成氏は救国(人民開放)の大英雄であり、 多くの日本人(特に在日朝鮮人)が、 あの国に行けばユートピアがあると信じて、日本海を越えて、再移住したのです。 あるいは、ほとんどの日本の大学の経済学部では、ソ連崩壊までは マルクス理論が必須単位でした。それほどマルクス主義(共産主義) ユートピア論は根強かったのです。 つぎに、ソ連が「原理的な失敗」か「局地的な失敗」かどうか? それを多くの人がどう考えているかですが、これははっきりしたデータがあるわけでは ありませんし、「共産主義」を真正面から論ずる人もごく少数になっています。 したがって、マスコミ(言論界も含めて)の風潮や、共産党の退潮などの政治的流れで 主観的に判断する以外にありませんがずばり言って 声には出さないが「原理的失敗派」が95パーセント 「局地的失敗派」が5パーセントの割合になっていると思います。
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- kigurumi
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>素人の想像ですが、「ソ連の崩壊=社会主義の原理的な失敗」派と、 >「ソ連の崩壊=社会主義の局地的失敗」派と2派があって、 >前者の方が多数派である、という風に思い込んでいるのですが、正しいですか? ソ連の崩壊の原因は一つではないと思います。 もう一つ情報を差し上げましょう。 リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国が独立を求め立ち上がり、戦車によって虐殺を繰り返した事件がありました。 何故ここまでソ連は独立を阻止しようとしたのか。 バルト3カ国は、豊富な鉱物資源のほかに、地理的な位置がそのままソ連全体にとって大きな利権となっていました。 一つは軍港として、もう一つは貿易港として。 この海岸線を失えば、ソ連がかなり打撃を受けることは明白でした。 ゴルバチョフは1976年農業を担当する初期という食料分野で最重要のポストを与えられていましたが、それ以来、ソ連は穀物の収穫高が激減するという記録的な不作の時代を迎え、アメリカの穀物商社-その実はヨーロッパのR財閥-から小麦を輸入するという関係が、以前にも増して濃厚になっていった。 この輸入穀物の陸揚げが、バルト三国できわめて重要な貿易となり、ソ連の経済を動かしてきた。 いわば3国はソ連の経済・食料の生命線だったわけです。 リトアニアとポーランドにはさまれて、クレムリン直轄の飛び地として、ロシア共和国のカレーンニングラード州がある。 ここはソ連の不凍港で冬にも使用できる不可欠の軍港であり、リトアニアが独立すれば完全な飛び地となってしまうため、ソ連の軍部が抱いた危機感は大きかった。 かつてはドイツ帝国のケーニヒスベルクと呼ばれた地方であったが、ペレストロイカによって移民が許されることになり、1990年にはドイツ系の住民がこの地に押し寄せてきた。 かつては貿易商人、ハンザ同盟が大々的に復活する日を迎えたわけです。 ここで自由貿易が行われるようになれば、誰がそれを動かしていくようになるか。 ハンザ同盟の一族。 アメリカの財閥とも関係しており、崩壊するソ連経済にテコ射れしていた矢先にリトアニア民族が歴史の犯罪を暴露したため、バルト三国の独立という予想外の事態になったようです。 つまり、1990年代にバルト海の歴史を動かしたのは、政治家や旧来の商人ではなく、一市民。 何も信じられないまでに追い込まれ、政治家や利権者に素手で格闘を挑んだのは市民達だった。 今後生きていくためには、再び大掛かりなハンザ同盟の貿易に頼ってゆかなければならないだろうと考え、世界の民衆がバルト三国への支援の声を高めてくれれば、最大の見方になると考えたようです。 結果、バルト三国を失ったソ連経済・軍事は大打撃を受けた。 もっと複雑にいろいろな要素が絡んでいるようですが、短く話すとこういう要素も大きく絡んでいるようです。
お礼
ありがとうございます。 バルト三国の独立の歴史的経緯は話には聞いていたものの、全く知らなかったので、 大変参考になりました。 ところで、バルト3国が独立したがったのは、 共産党一党独裁の全体主義、 恐怖政治への反対、 自分達が稼いでも、全部政府に巻き上げられる、 といったところでしょうか? ありがとうございました。
- 岩尾 俊志(@arakan)
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♯1です。♯2さんの言われる <また日本の殆どの大学の経済学部ではマルクス主義が必須単位だったというのは私の知る範囲では事実ではありません。 最も地域差があるかもしれないので、#1さんの周辺の大学ではそうだったのかもしれませんから、 #1さんが間違っているわけでもないと思いますが。 私の知っている範囲ではどの大学でもマルクス経済学と近代経済学・現代経済学の講座に分かれていて、 (学校によりいわゆるマル経がないところはあった。逆は無し)論争の必要から近代経済学派のひともマルクス経済学を勉強した、とかいうのなら実見していますが・> について、これは、個人的な事情があって、私にとっても大変興味が ある話題なので、もう少し確認させてください。 1 私の認識では、東大をはじめとして京大・九大などの旧帝国大学はほぼすべて 2 明治・早稲田・立教・法政の六大学(慶応以外) については、すべてマルクス経済が必須単位として指定されていた(選択科目としてでなくて必須として) 3 逆にマル経の講座がはっきりなかったのが、慶応、東京経済大・拓大 という理解だったのですが、事実誤認があるのでしょうか? 詳しい方に教えていただければ幸いです。
- pyon1956
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この問題について比較的にでも「中立の立場」はないのではないかと思います。中立を装った立場からの解答しか得られないでしょうね。 マスコミの論調は#1さんが仰るように95パーセントぐらい「原理的失敗派」です。もっとも共産主義を擁護する番組にお金を出す大企業、というのも気持ち悪いので、ある意味スポンサーの意向をうかがうならそういう論調には元々ならないわけです。 またどちらが学問的に正しいか(あるいは他の正しい答があるか)は、選挙と違って多数決で決めるものではありませんから、95対5であろうとそれはそういう政治的状況だ、ということを示しているに過ぎません。というかむしろそういう論調が一般的に幅をきかせているからこそ共産党が議席を減らしている、という見方もまた成り立ち得るものですから。 さて、学問的に明らかなことだけいうなら、#1さんの仰る「共産主義は・・・・一直線に進化していくことを予言し」というのは少なくともこの流派の創始者であるマルクスとエンゲルス、またソ連の最初の共産党トップであったレーニンについてはどの文書の中でもそういう主張はしていません。 ただしソ連共産党や中国共産党の幹部クラスからはそのような発言があったことは事実です。しかしこれは学問領域ではなくむしろ政治的発言として、どちらかといえば単なる願望として発せられた発言でしょう。 また日本の殆どの大学の経済学部ではマルクス主義が必須単位だったというのは私の知る範囲では事実ではありません。最も地域差があるかもしれないので、#1さんの周辺の大学ではそうだったのかもしれませんから、#1さんが間違っているわけでもないと思いますが。私の知っている範囲ではどの大学でもマルクス経済学と近代経済学・現代経済学の講座に分かれていて、(学校によりいわゆるマル経がないところはあった。逆は無し)論争の必要から近代経済学派のひともマルクス経済学を勉強した、とかいうのなら実見していますが・・・・ で、この問題に対するそれぞれの見解を学ばれるのが一番の近道だと思われます。正直私の見解もまた私の知る範囲でのいわば局所的見解であることはたしかでしょうから。 前者についてはやまほどあります。かえってどれがいいのか判断しかねるのいであえてこれとはいいません。後者については日本共産党自身が幾種類か論文やパンフレットを発売しています。比較的よくまとまったものは不破哲三氏のものではないかと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 >さて、学問的に明らかなことだけいうなら、#1さん>の仰る「共産主義は・・・・一直線に進化していく>ことを予言し」というのは少なくともこの流派の創>始者であるマルクスとエンゲルス、またソ連の最初>の共産党トップであったレーニンについてはどの文>書の中でもそういう主張はしていません。 ウィキペディアあたりを覗くと、資本主義、社会主義、共産主義と進歩していく、とマルクスが主張したと書いてありましたけど嘘ですか? 不破さんのパンフレットですね。 ネットに落ちてないかな。機会があれば見てみます。 ありがとうございました。
お礼
丁寧に歴史的経緯を説明していただきありがとうございました。 やっぱり原理的失敗派が大多数なんですね。 それは世界的なレベルでそうだという気がします。 やっぱり、それは、今更マルクス主義ユートピア論を 唱えると、「危険な極左」と見なされる、っていうのが風潮ですかね。 一昔前はインテリはみんな左翼だったいう話を聞きましたが、左翼のイメージも時代時代で変わるものなのでしょうか ありがとうございました。