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法学(憲法)のついてです。
キリスト教を建学の精神とする『私立大学』であるA大学が経済学の担当教員を公募するにあたり、応募の際に「神父または牧師などにより書かれた、応募者がキリスト教者であることの証明する書類」の提出を求めています。つまりキリスト教者でないと採用されないということです。 こうした条件の提示は、憲法上の人権を侵すことにならないのですか?私立大学であることや、信仰の自由、政教分離の原則が関わってくると思うのですが、うまく説明できません。たすけてください。長くなってすいません。
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まず、憲法の人権の規定は、「国家・一般私人」間に適用されるものですので、「私立大学」と「一般私人」では「一般私人同士」となりますので、原則適用されないと言う事になります。 しかし、適用される場合もあります。「ある企業が社内規定で、女性の定年年令を男性の定年年令より若くしていた」ことについて、「男女差別」で人権侵害であると訴えた裁判で、最高裁は、「男女間で定年の年令に格差をつけていることについて合理性がなく違憲である」と判示しました。 一方で、「ある企業が、共産党員である入社応募者に対し、共産党員であることを理由に不採用とされた」事について、その不採用は「思想信条の自由」を害し違憲である、と訴えた裁判では、最高裁は、「企業も一般私人である以上、誰を社員として採用するかについての自由がある一方で、不採用とされた者については、不採用とされたからと言って、そのような思想までをも持つなと言われたわけでもなく、思想信条の自由を侵害されたとまではいえない」として、企業側が勝訴した判例があります。 ご質問の事例では、後者の判例に近いと思われ、一般私人である「A私立大学」には、「誰を教員として採用するか」と言う事についての自由が、「営業の自由」の一環としてあり、かつ、「キリスト教徒」でない事を理由にA大学を不採用とされても、「キリスト教以外」の思想信条を禁止されたわけでもなく、また「キリスト教徒になることを強制されているわけでもない」のであるから、不採用とされた者の「思想信条の自由」を侵害されているとまではいえないので、A大学の「教員をキリスト教徒に限定して募集する事」は違憲ではなく、許される、と考えられます。
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