• ベストアンサー

耐震強度偽装事件 アンケート

noname#17334の回答

noname#17334
noname#17334
回答No.29

設問の主旨は >あなたは国がこの問題でどこまで補償すべきだと思いますか? です。 (1)損害賠償責任と、事件の被害者の救済はイコールではありません。   今回のことを民法的に解析すれば      1)姉歯建築事務所と、ヒューザーほか施主の契約     これが、ヒューザーが善意無過失で、姉歯の詐欺罪が成立すれば     あきらかに姉歯元建築士がヒューザーに対して損害賠償責任を負う     ことになります。     ヒューザーが悪意で構造計算書偽造を知っていて、なおかつ     検査機関のチェックもれも知っていたとしたら、     顧客に対して詐欺罪の可能性が出てきます。   2)ヒューザーほか施主と購入者の契約     ヒューザーの瑕疵担保責任があることは間違いないですが     瑕疵が、過失によるものか作為によるものかで責任のとり方     が違ってきます。     宅地建物取引業法の規定と販売契約約款にのっとり瑕疵担保     責任(耐震補強、もしくは契約の解除、損害賠償)を受けて     次に、施工会社に同様の瑕疵担保責任を求めることになります。     しかし、建設会社が倒産した。     瑕疵担保責任保険というものは任意の保険としてありますが     無過失の瑕疵、過失の瑕疵、作為の瑕疵かによって補償額は     ことなります。簡単な瑕疵ではないので保険でどこまでカバー     できるかは結論が出るまでに時間がかかります。     もともと、手抜き工事をした施工会社が倒産した場合に適用され     る保険なので、詐欺による設計内容まで補償するかどうか     はわかりません。     おそらく、補償の審査は契約約款に基づき     「確認申請で明記された水準」をベースにしますから、確認申請     が間違っている場合は、間違った内容でしか補償できないという     認識があります。     いずれにしろ、瑕疵担保保険の加入義務はありません。任意で     すから、保険加入の有無を責めても意味がないです。資金力に     余裕のある大手デベロッパーの多くが保険をかけていないよう     です。    3)ヒューザと倒産した建設会社の契約     工事請負工事の約款のなかに瑕疵担保責任が書かれていますが     ◆構造計算書偽造に対して施工会社が善意無過失であれば       ヒューザーからの瑕疵担保責任を一旦受けたうえで、原因者の       姉歯建築士に同様に損害賠償を請求します。     ◆構造計算書偽造を知っていて施工したという場合は、損害賠償       の持って行き先もなくなります。ヒューザーからの損害賠償       責任をまともにかぶることになります。  一戸一戸の住民の対応としては、   契約の解除、代金返済の請求をヒューザーほかデベロッパーにすれば   いいのですが、マンション被害者を仮に300世帯として平均価格が  4000万円なら120億円の資金が必要になります。しかし、それだけの   内部留保金も借入先も資産もないというのがわかっています。   契約に基づき代金返済の仮処分を裁判所に提出して、ヒューザーの   収入金を差し押さえることは簡単ですが、その結果不渡りを出して倒産   する懸念は大いにあるということです。   住民のジレンマに対する理解がこの問題を考えるうえで最も重要です。 この質問では、何が原因で誰に作為や過失や違法があったかというより 住民の窮地はどういうメカニズムで起こってきているかを知ることが重要だと 思います。 誰が悪いか、誰が責任とるべきかという議論をしている前に、不安全建物に 居住している購入者、賃貸居住者を安全な場所に移して、金銭負担を一旦 取り除いておいて、責任追及を時間をかけて行おうという構えです。 もちろん、全額補償しろという意味は、国が補償しても、本来補償すべき者が 明確になった時点で 不当利益返還請求でとりもどせるわけです。 ですから、今回の救済策ですべて終わるわけではないのは言うまでもなく 責任の所在と救済をとりあえず分けて、 今回の関係者で全くの無過失、善意の被害者を事件の枠組みから救済し ておこうという考えです。 精密に言えば、今回のは補償策ではなく救済策。補償の肩代わりではあり ますが、過失責任、重過失責任、詐欺などの真相解明はこれからという ことです。 ですから、補償すべきか・・・という話は法律にのっとって裁判のなかで判決が でるでしょう。 法理的な被害者補償というより、事件被害者の「公的支援」を行うわけです。 (2)一般の詐欺事件とどこが違うか ◆特定行政庁(建築主事をおく市や区や県など)や代行検査機構(eホームズなど)  が、「騙されて当然の巧妙な詐欺」にかかったのかどうか。  国家や行政が無過失で詐欺にかかったというのなら、国や行政が被害者です。  しかし、国土交通省の承認したソフトを使って計算した「書類」を提出している  というのがポイントです。本来フロッピーディスクの申請もあるのです。  ソフトの一方が、検査機関にあって、データを提出すれば、ソフトにいれて合格か  どうか判る。そういう仕組みなら問題もおこりにくい。  でも、認定計算ソフトを使って、アウトプットを差し替えた手口を、普通は気がつく  のが当然。ノーチェックで通した事実がうかがわれるから、確認申請のチェック体勢  の不備が問題になっています。  普通にチェック業務をすれば、気がつくはずの偽造であることは、  実に事件発端当初の姉歯元建築士自身のインタビューのなかでも「語られていた」  「そうですね。まさか(そんな幼稚な偽造が)通らないと思ったのが、とおって  しまいましたからねぇ」  私はニュース報道でのその言葉をはっきり覚えてます。    ここから先は推測にすぎませんが  コストを減らせといわれて、お金に見合った構造設計をした。ここで自重や積載  加重のチェックは当然します。さて地震荷重の際、入力数値をいれかえて  つじつまのわない構造計算書を出してみたら、誰もそれを指摘しなかった。  「見つからなければ、そのまま通すしかないなぁ」  ここで、バレたら、すみません正規のものと差し替えますといって、一旦引き上げ  「小嶋さん。だめですよ。これじゃ確認通らないですから」  「馬鹿やろう。それを通すのがお前の腕だろう」  そういう会話があったのかもしれません。  姉歯元建築士の行為は巧妙な詐欺というより、サボタージュに便乗した  ということで、検査機関の過失責任はまぬがれないでしょう。 ◆最高裁判決で、特定行政庁の建築確認(確認申請の書類をチェックする仕事)は  民間代行で行った場合も「公的業務」であるから同等の責任が特定行政庁に  ある。という判決があります。  最高裁判決というのは、言うまでもなく法令に順ずる司法の判断基準になります。 ですから、本件の姉歯元建築士の詐欺行為は、行政を欺いたものではありますが 1)どうも、安易な見過ごしといえそう。本来やるべき書類審査の手順を省いた可能性   がある。 2)建築確認の審査機関が、過失により偽造を見破れなかったとしたら、瑕疵担保  事件というより、建築の最低限の安全性を確保する仕組みそのものに欠陥がある  という話しになります。 おそらく、その辺はこれまでの立ち入り検査などで、明らかになっているのでしょう。 繰り返しますけど、施工業者もデベロッパーも責任追及されるのは間違いないです が「補償」と「賠償」は違います。 補償とは簡単にいえば、不慮の事態に備えての第三者による救済。賠償は当事者の 償い。 この設問は「補償」という話題です。損害賠償責任は、別物なのです。 (3)保険という補償システムの不完全さ。 損害保険で、100%補償を行うのは火災保険か自動車の対人保障くらいで 建築の地震保険でも瑕疵担保保険でも「一定限度までの補償」という話になります。 マンション購入と車の運転を同列に考えられるものではありません。 マンションを買うのに火災保険に入りますが担保物件の保全のために金融機関が 条件として強制するからです。 その物件が、安全かどうかみるのに ◆住宅設計性能評価書 ◆住宅施工性能評価書 という制度があります。これは義務ではないですが、これは第三者機関の検査で 保証を出すものです。もともと、建築基準法というものがあって、法規の水準をクリア しているはずなのに、なぜこんなものが必要かというと、建物性能や品質について 建築基準法すべてがカバーしていないからです。 安心して買えるしくみとしてこういう制度を作ったのはいいですが、その検査会社 が役人の天下り先になったり、いいかげんな検査を行っているという噂はよく聞きます。 とにかく、保険でカバーできるなら、確認申請もk中間検査も性能評価もいらない です。そんなリスクの大きい保険を受けてくれる損保はないですし、そもそも 補償を受ける「買主」がそこまでして買うかどうかという話になります。 建築士制度、建築確認、というしくみで、危険な建物を買わされるリスクを回避 するのがコストミニマムであるという選択で、戦後60年やっとここまできたのです。 建築を安全に維持するというのは、都市のスラム化による危険防止のために 極めて重要な制度です。都市計画法と建築基準法は相互に関係をもち、都市 行政のベースになっているのです。 (4)私は一級建築士ですが、建設関係者でも不動産関係者でもありません。    大学教授や行政の担当官広告代理店、シンクタンク、金融機関、新聞社   いろいろなところに一級建築士の有資格者はいます。 それと、重要なことは、今回の事件の特殊性。 繰り返しますが「第二の姉歯は、今後出現しない」という確信が私にはあります。 業界擁護ではなく、まともな建築教育をうけた人間なら絶対に職能を毀損する愚かな詐欺事件はおこさないと考えるからです。

nakata-san
質問者

お礼

回答ありがとうございました。 大変参考になりました。

関連するQ&A

  • 耐震強度偽装事件について

    千葉県の設計事務所がマンション等の耐震強度を偽装していた問題が巷を賑わせていますね。 報道等を丹念に見ているのですが、「なぜ偽装を見抜けなかったのか」という論調はありますが、実際に「どうやって偽装が発覚したのか」「誰が偽装を見抜いたのか」が分かりません。 ご存知の方、教えてください。

  • 耐震偽装

    浅学で申し訳ありません。 先ほど、木村建設の元社長、元東京支店長、姉歯元建築士が逮捕されました。 本事件は耐震偽装ですが、逮捕容疑は粉飾決済や建築士の名義貸しなど別件です。 建築基準法では、今回の耐震偽造を想定していなかったため、別件で逮捕し、これから本丸の耐震偽装への追及を行うようです。今回の事件を機に耐震偽装についても法改正で追加されるのだと思いますが、今回の事件は世間を騒然とさせる大事件です。それ相応の裁きを受け、社会的責任を負わなければならないと思いますが、最終的には「耐震偽装」での逮捕にはなるのでしょうか?例えば、現行の法律に耐震偽装がなければ、法制定後遡りで適用されるのでしょうか? 今回の逮捕は別件で、耐震偽装への入口となるのはいいのですが、最終的に彼らは「耐震偽装」という罪での裁きを受けることになるのか知りたいので、詳しい方いらっしゃいましたらよろしくお願いします。

  • 耐震偽装事件-2アンケート

    耐震偽装事件でマンションの信頼度が低下しています。 もっといえば、一級建築士自体の信頼も揺らいでると思います。 マンションで言えば大手デベロッパー以外信頼できないとか。 一戸建てにしても、一級建築士と相談して建築しようと考えていたのが、やはり大手住宅メーカーでないと安心できないとか… あなたは、今後住宅を購入する時どの様に自己防衛しようと考えていますか?

  • 耐震強度偽装の発覚は氷山の一角!?

    今、ニュースでも話題のマンションの耐震強度偽装問題ですが、インターネットで色々調べると偽装発覚は氷山の一角で、多少の偽装はどこでもやっているみたいな情報が多数あります。 うちも比較的相場より安い新築マンションを購入したので(関西)ちょっと不安です。 この耐震強度が本当に守られているのかどうかを第三者で再度審査したい場合はどのようなところに頼めばよいのか教えてください。 また、その時の注意点やポイントがあれば教えて頂けると助かります。

  • ツーバイフォーの耐震強度

    我が家はツーバイフォーなのですが、リビングが吹き抜けです。ツーバイフォーは面で家を支えていると聞いていますが、吹き抜け住宅は地震で倒壊しないのでしょうか。最近の耐震強度偽装事件もあり心配です。

  • 耐震強度偽装問題での国交省認定ソフトについて

    耐震強度偽装問題でいう「国交省認定ソフト」ですが具体的にどのソフトを指すのでしょうか? お分かりになる方おられますか?

  • 話題の耐震強度偽装の建物の会社は?

    ニュース等で話題の耐震強度偽装事件ですが、設計事務所の名前は出てきますが、マンション販売の不動産会社やホテルの名前は出て来ません。 一体どこの会社なのですか? http://www.asahi.com/national/update/1119/TKY200511190079.html

  • 耐震偽装

    今日の日刊ゲンダイにレオパレス21が偽装建築と 大きな見出しがありました。本誌の指摘に大慌てで補強工事が 始ったと書いてありましたがアパを初め耐震偽装が多発しています。 日本はとアメリカや台湾その他の国と比べ耐震基準は甘いのでしょうか?あるいわ日本の基準がきびしすぎるのでしようか?

  • 耐震偽装事件の捜査て

     今 メディアを賑わせている 「ライブドア」は、東京地検が、捜査してますよね? 「耐震偽装マンション問題」は、どこが 捜査しているのですか?

  • 耐震強度偽装問題についてです

    こんにちは。 耐震強度偽装問題についてお聞きしたいことがあります。 ヒューザーの小嶋社長は、倒壊してもいいのだという 認識があったというようなことを新聞などで知りました。 このような場合、殺人未遂罪、殺人予備罪の成立が認められないのでしょうか? 震度5を超えた地震の場合、倒壊するおそれがある建物を販売しています。震度5を超える地震は十分起こりえるので、殺人未遂罪、殺人予備罪の認識・認容があると思うのですが。。。 何故、かかる犯罪の容疑で逮捕されないのか、国民の一人として疑問を禁じ得ません。 お考えをお聞かせください。