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「冷」輻射熱とは、なんでしょうか

stomachmanの回答

  • stomachman
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回答No.1

 ここで言う輻射とは、物がその温度に応じて放出している赤外線のこと。赤外線のやり取りが平衡状態にある時をゼロとして考えれば「冷」輻射熱という概念は実用的です。  半径1の球形の部屋があって、その中心に何か小さい物体を置く。部屋の壁面と物体が同じ温度の時には、壁面も物体も同じスペクトル(波長の分布)を持つ赤外線を放出している。そうしますと、単位時間あたりに物体が放出する赤外線のエネルギーと、単位時間あたりに物体が受け取る赤外線のエネルギーは同じです。だから実質、物体における赤外線の収支はゼロである。かくて、いつまで経っても物体の温度は同じ。当たり前ですね。  で、壁の一部が少々熱い場合はどうなるか。壁の全表面積4πのうち面積Aの部分が物体や壁の他の部分よりちょっとだけ(ΔT度)熱いとする。壁の温度分布はいつも一定に保たれているとしましょう。すると、Aの部分は他の壁や物体よりちょっとだけ多めに赤外線を出す。この多めの分が、物体を温める訳です。物体が出す赤外線より受け取る赤外線の方が多いからです。 (もちろん他の壁の部分も温めるけれど、壁の温度は変わらない仕組みだと仮定したから、その熱は部屋の外に捨てられている。また、Aの部分はエネルギーを失うのだけれど、これも部屋の外から供給される。)  そうして、物体の温度はだんだん上昇し、一定値に達する。でもΔT度までは上昇しない。ΔTが小さいとき、「AΔTだけ上昇する」と近似できます。  ではAの部分がちょっとだけ(ΔT度)冷たい場合はどうか。Aの部分は他の壁や物体よりちょっとだけ少なめに赤外線を出す。ですから、物体が出す赤外線より受け取る赤外線の方が少なく、長時間待てば物体の温度はAΔTだけ下降する。  要するに、物体から熱源(もしくは「冷」熱源)を見込む立体角がA。物体の輻射の収支がプラス(あるいはマイナス)になることによって物体の温度が上昇(もしくは低下)する。  収支がゼロである場合を基準にしてこれを言い直してみましょう。物体や熱源以外の壁が出す輻射を無視して、熱源から来る過剰な輻射だけ見れば、「熱源から物体へ輻射が一方通行で飛んできて物体を温めている」ことになる。(この見方において重要なのは、輻射量は熱源の温度で決まるのではなく、熱源と物体の温度差で決まるという事です。さもないと「長時間待てば物体の温度は幾らでも上昇する」という誤った結論に至る。)  冷熱源の場合には、「物体から冷熱源へ輻射が一方通行で飛んで行って物体を冷やしている」ことになる。これを「冷熱源から物体へ冷輻射が一方通行で飛んできて物体を冷やしている」と言っても差し支えない。「冷輻射」などという物理的実体は存在しないのですが、仮想的に輻射のエネルギーの流れの向きを逆転したものと考えればつじつまが合う。熱源でも冷熱源でも効果は同じ。近づけばAが大きくなり、多くの(冷)輻射を受ける。温度差ΔTの絶対値が大きくなれば、それだけ(冷)輻射量も大きい。  いちいち輻射の収支計算をしなくても、差額だけ計算すれば良いので、こっちの方が便利ですね。  ΔTが大きい場合にはAΔTじゃいい加減過ぎで、もう少し真面目に輻射量を計算してやる必要があるんですが、ご質問の主旨から逸脱しそうだからこのへんで。

ikkyu3
質問者

お礼

いつも知的輻射をいただいております。 お忙しいところ詳細かつ論理的な、ご説明をいただき、ありがとうございます。 普通の物体は、それなりに、互いに赤外線のやり取りをしているのですね。 論理的には、冷輻射のような概念を導入できることを理解できました。 >「冷輻射」などという物理的実体は存在しないのですが 知らないうちに新しい放射現象が見つかったのかと愕然としましたが、実体は、存在しないことも確信できて安心しました。 ただ、本当に実用的かどうかは、わざわざ、仮想的イメージを作るほどのメリットは、感じられませんでした。

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