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PCR法とそれを用いた分子系統樹について

これについて教えて下さい

  • bitto
  • お礼率50% (1/2)

質問者が選んだベストアンサー

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  • ishi_ty
  • ベストアンサー率75% (3/4)
回答No.1

PCR法を用いた分子系統樹は,現在の分類学,分子系統学などで必要不可欠の技術ですが,参考書として以下の書籍を推薦しておきます. 1.三中信宏 1997 生物系統学 東京大学出版会 \5.600 2.岩槻邦男・馬渡峻輔(編) 1996 生物の種多様性(バイオディバーシティ・シリーズ1) 裳華房 \4.120 3.根井正利(五條堀孝・斎藤成也 共訳) 1990 分子進化遺伝学 培風館 \7.910 4.ワイリー,E.O. (宮正樹らの共訳)1991 系統分類学 文一総合出版  分子系統樹の解説書としてはすべてが参考になるのですが,2が一番最初は分かりやすいかも知れません.4は系統分類学のバイブル的なモンですから,中身は濃いです.そして,1は分子系統樹を集中的に取り扱っており,分岐学にもとづいた再節約原理による系統樹,そして系統樹の信頼性を測る尺度であるブーツストラップ確率などについても,詳しく述べています. 一昔前は,アイソザイム(酵素多型)や形態学的な情報を,系統樹を作る際の”形質”としていましたが,今はDNAが最も用いられています.その辺は,学会誌をご覧になれば一番「今」の研究例がわかり,良いと思います.American Journal of Botanyは,オンラインで全論文が閲覧できるので(PDFファイル),参考書と論文を実際に読めば,その全容は分かると思います. 【PCRから分子系統樹】 PCRは試料のテンプレートDNAにプライマーと呼ばれる短い塩基対を付加させて,DNAを増幅させるわけですが,増幅させるDNA領域や用いるプライマーによって様々な方法があります. RAPD法は一番てっとり早い方法です.ランダムプライマーといわれる市販のプライマーキットを用いて,トータルDNAを増幅させます.比較的近縁なものの類縁関係を解明するのに適しています.分子生態学,保全生態学の分野でもよく用いられます. 逆に,遠い類縁関係のものを明らかにする際には,変異が検出しやすいRAPD法では,変異が沢山あり過ぎて,適切な類縁関係が評価しづらくなります.そういう際には,葉緑体DNA(変異がより少ない.なぜなら母性遺伝であるため)などを用いてPCRを行うことが多いようです. 分子系統樹に用いられているものとしては,マイクロサテライト領域,mat-K,VNTR,PCR-RFLPなど,様々な方法があり,自分が対象とするものにあわせて使い分けられています. 増幅したDNA の電気泳動像より,分子系統樹を作成するわけですが,その際には再節約法(最大節約法)を用いることが最も多く,系統樹の信頼性を検定するために,ブーツストラップ確率を出します.確率が高ければ系統樹の信頼性も高くなります.それには,MacやPCでソフトウェアを用いて行いますが,系統解析フリーソフトとしてPHYLIP(Phylogeny Inference Package)を紹介しておきます.URLを参考にして下さい.また,系統樹を実際に描画するソフトなどとして,TreeView(http://taxonomy.zoology.gla.ac.uk/rod/treeview.html)やMega(http://www.megasoftware.net/)があります. 実際に研究をされるのか,レポートなのか,分かりませんが,参考にしてみて下さいな.

参考URL:
PHYLIP: http://evolution.genetics.washington.edu/phylip.html

その他の回答 (1)

  • miedai
  • ベストアンサー率66% (12/18)
回答No.2

 質問が漠然としていますから、前の回答者以外の情報を入れておきます。あなたがこの分野についてあまり知らないと仮定します。  PCRは、DNAの特定の部分を指数関数的に増幅するための手段です。ごくわずかなサンプルからもターゲットとするDNA断片を大量に得ることができます。これを解析に使うわけです。  分子系統樹を作るときには、得られたDNA断片の塩基配列をまず決定することが多いのです。系統樹を作る以上、いくつかの生物について塩基配列を決定していなければなりません。これらを比較すると、同じところと異なるところがあります。例えば、一つがAATGで、もう一つがATTGだったりする(本当は、塩基の数は1000にも達することが多いのです)。この場合、前者と後者では一つだけ塩基が入れ替わっています。  このような塩基配列の違いをもとに、生物間の系統関係を推定します。得られた配列の違いを生じさせるためにどれだけの突然変異を必要とするのか、その最小数を計算して「生物間の近さ」を求めるのが節約法、類似度を計算して「近さ」を求めるのが「距離法」です。これ以外に最ゆう法という方法もあります。これらの方法論に関しては日本人の開発した方法が世界のスタンダードになっていることが多々あります。

bitto
質問者

お礼

ものすごくよく分かりました。ありがとうございました。

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