- ベストアンサー
結晶粒界
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
物質で,固体のものは,金属であれ,セラミックスであれ,有機ポリマーであれ,大よそは結晶質であり,粒界が存在します(アモルファス,ガラス:非晶質物質もありますが,この説明は省略)。 金属の場合は,塑性変形と言って壊滅的な割れに至らずに変形する能力があるので,圧延などの方法で身の回りでよく見かける板状の製品が作られます。したがって,晶癖(結晶の形)がはっきりと観察できない場合が多いですが,金属は一般に結晶構造を持ちます。(例えば,亜鉛メッキ鋼板の表面に,スパングルという不定形の模様が現れるのは,結晶面がランダムに析出することによります)。 さて,ご質問の,粒界によるステンレス鋼の特性の劣化ですが,結晶粒と結晶粒の界面(インターフェース)は,結晶格子間隔が大きく異なっている場合が多く(結晶格子のミスフィット),したがって,内部エネルギーが大きく,連続した結晶格子のところ(結晶粒内)と比べて機械的特性や化学的安定性が低いです。 例えば引張って加工した場合,結晶粒同士の接合力が弱ければ,粒界が滑って永久変形を起こしたり,割れ(クラック)が粒界に沿って進行し,千切れたりします。また,腐食が進行する場合も,化学的に安定性の低い粒界が腐食され,孔食と言われる現象が起きたりします。 さらに,この粒界には,結晶が成長する際にジャマなもの(結晶粒内に固溶できない元素や粒子などの介在物)が析出することが多く,これが特性を劣化する原因のひとつでもあります。(すなわち,結晶粒内と粒界では成分が異なる)。 ところで,蛇足ながら,この粒界の存在は特性の悪化をもたらすだけでなく,プラスに働く場合もあります。例えば,上で触れたクラックの粒界での進行を考えた場合,クラックが直線的に進行せずに,粒界により屈曲することで破壊に必要なエネルギーを増大させることができます。すなわち,割れ難い材料(靭性の高い材料)を,できるだけ粒界を多く(結晶粒を微細に)することで製造することができます。
その他の回答 (1)
- elaborater
- ベストアンサー率17% (12/68)
こんにちは。 ステンレスが500℃くらいの高温にさらされると 中に含まれるクロムと炭素が結合して :Cr23C6:のクロム炭化物ができます。 この炭化物はランダムな網目状の「結晶粒界」を作るため 今まで均一に配置していた元素が片よって集まることで ステンレスが変化し特性に影響が出てきます。 1)クロムの少ない部分ができるため、錆やすくなる。 2)粒状の集まりとなるため、もろくなる。 結晶粒界は肉を煮込む(熱をかける)と「あく」が浮いて きますが、「あく」が結晶粒界と思っていただければ 良いかと...。 「粒界腐食」で検索すれば、いろいろ載ってますよ。^ ^
関連するQ&A
- 粒界について教えてください
多結晶の粒界で, Σ3,Σ9とか,SA(小傾角粒界),R(ランダム粒界)とかあるんですが・・・ 何を指してるのかわからないんです. 文献をいろいろ調べても全然わからないんです. Σ,SA,Rの違いと, Σの後に続く数字の意味が わかる方,すみませんがよろしくお願い致します.
- 締切済み
- 化学
- JIS0551に掲載されている結晶粒度について
お尋ねします。 JIS0551に掲載されております、『鋼のフェライト及びオーステナイト又は旧オーステナイト結晶粒界現出方法の要約』の結晶粒度ですが、これはステンレス(SUS316L)でもあてはまるのでしょうか? ステンレスでシュウ酸エッチ試験にて腐食させ、粒界を表出させましたが、JISにのっているように、粒界がはっきり表れません。 JISの粒度番号はステンレスはあてはまらないのでしょうか? どなたかご存知の方、教えてください。
- 締切済み
- 金属
- Ta材 結晶粒界の観察方法
はじめまして。 業者から圧延加工されたTa板材を仕入れています。 このTaも多結晶体だと思いますが、光学顕微鏡で観察しても結晶粒界が見えません。 熱処理などをせずに結晶粒界を観察する方法はありますか? 鏡面研磨仕上げなどをすれば観察出来るのでしょうか。 ご教示お願い致します。
- ベストアンサー
- 金属
- オーステナイト系ステンレスの粒界腐食のメカニズム
オーステナイト系ステンレスを600℃付近まで加熱すると、固溶できなくなったCが結晶粒界に現れ、そのCが結晶粒界近傍でCr(クロム)と結びつくことでCr23C6(Cr炭化物)として安定するが、結晶粒界近傍ではCr炭化物生成に消費されたCrが不動態被膜の生成に必要なCr量(12%Cr)に満たなくなり、そのCr欠乏層で被膜が生成されずに腐食を招くというように認識していますが、間違っていませんか? また、なぜ600℃付近まで加熱すると、結晶粒界にCが現れやすくなるのでしょうか? (常温では十分固溶されていたCが、加熱されると固溶限度を超える、ということでしたら、その理由が分かりません。むしろ高温の方がCは固溶されやすいように思うのですが・・・) 基本的な質問かもしれませんので恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。
- ベストアンサー
- 金属
- 塩化ナトリウムの結晶
塩化ナトリウムの結晶について以下の3つ質問します。 (1)単結晶の塩化ナトリウムがあつまり多結晶になるのか。 (2)この多結晶について自然科学の専門書等に詳しく載っているか、あるいは研究されているか。 (2)この多結晶の界面(単結晶同士の境目)を結晶粒界と呼び、この界面が多結晶の物性に影響を及ぼすのか。 自分は大学時代、金属工学について学びましたが、学科は機械科で物質や化学系の学科ではなかったので、金属以外の塩化ナトリウムのようなイオン結晶となる物質について詳しくありません。 自分なりにウェブで調べましたが塩化ナトリウムについての研究はほとんどが単結晶であり多結晶状態で調べられているものはなかったので、質問しました。的はずれの質問かも知れませんが回答お願いします。 ちなみに金属のほとんどは多結晶状態で存在し、その単結晶の界面である結晶粒界はその金属の物性と密接に関係しています。ウィキペディアでの多結晶の定義や結晶粒界の定義はおそらく金属工学の立場から見たものようだったので、他分野(固体物理学?)でイオン結合や共有結合で構成された結晶を研究している人から見ると、 "多結晶"や"結晶粒界"という言葉は使わない、あるは定義していない。("多結晶"や"結晶粒界"をウィキペディアに載っている説明で定義しても、イオン結合や共有結合の結晶から構成される多結晶の物性とその結晶粒界は単結晶ほど注目するものでもないため) と思ったのですが?
- ベストアンサー
- 化学
- 金属の再結晶は何故起こる?
金属の再結晶は何故起こる? 焼入れを行っているもので、知識を深めるため結晶粒径について今勉強している最中です。 勉強しているときに疑問が出てきました。 金属(鉄)を1000℃とかの高温に保持したときに結晶粒径はエネルギーを安定化させるために 体積あたりの粒界面積を小さくするために粒径がおおきくなります。 しかし、鉄であれば500℃付近の温度では再結晶が起こり結晶の微細化が起こります。 (正確には粒界面から微細な粒界が発生し始めて、微細になっていく。) 温度の高い状態で元の粒径よりも小さくなろうとするのは何故なのでしょうか? 知見のある方は回答のほうどうぞよろしくお願いします。
- 締切済み
- 化学
- オーステナイト結晶粒界現出方法
お尋ねします。 JIS0551に掲載されている『鋼のフェライト及び旧オーステナイト結晶粒界現出方法』の結晶粒度ですが、なかなか現出しないのが現状です。 JISの標準図とは、程遠いものが観察されます。 対象の材質は、ボロン鋼、SCM435、S40Cです。 腐食の詳細な方法(対象にマッチする液、詳細な手順。)。腐食時間。 ワンポイントアドバイス(失敗からの改善点により成功の事例)。 を教えて下さい。 腐食液は、化学班が作れるレベルにあります。 また、私から、皆が再現性を確実にできることを目標としております。 急な確立の指示に、大変困っています。 腐食、顕鏡に関して、初心者の為、ご指導をお願いします。
- 締切済み
- 金属
- ステンレスの破断面に粒界破面がなぜ出るの?
オーステナイト系ステンレス鋼の丸棒を片振り曲げの状態で繰返し動作させたところ、破断面に粒界破面(破面がキラキラ光る)が点々と観察されました。負荷応力は0.2%耐力以下で、腐食環境でも無いので、どうして粒界破壊が起きたのか想定できずに困っています。 ご教授よろしくお願いします。
- ベストアンサー
- 開発
お礼
お返事ありがとうございました。大変わかりやすく解説していただいて感謝しております。ステンレス鋼の応力腐食割れについて調べていたのですが結晶粒界等わからない語句が多くて困っていました。この結晶粒界を簡単に理解することができました。本当にありがとうございますm(_ _)m