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改良型沸騰水式について
- 福島原発事故を考慮した判決かと思います。政府や電力会社の意向が、全面的に認められる時代ではなくなってきたとも感じています。
- 事故を起こした福島第一原発の圧力容器の型式は、沸騰水型式だったと記憶しています。また事故が起きず、通常運転を保っている状態であれば、圧力容器内は、300℃になるとも聞いています。一方加圧式型だと、通常運転状態だと400℃になると聞きます。
- 沸騰水型式でも、柏崎刈羽原発、宮城県の女川原発は改良型の沸騰水型式型と聞きます。改良型沸騰水型式の圧容器内は、通常運転を保っていれば、同じ300℃になっているのでしょうか?それとも加圧式のように、400℃くらいまでに温度が上昇しても、まったく問題なく加工されていると言う事でしょうか?同じく、加圧式と改良型沸騰水式とでは、どちらが性能の面では優れていると言った事があるかどうかも聞きしたく思います。
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改良型沸騰水型軽水炉の改良点は原子炉圧力容器の耐圧性能の向上ではなく、安全性の向上です。 沸騰水型軽水炉では圧力容器内で冷却水を循環させるための再循環ポンプが備わっているのですが、従来型の沸騰水型軽水炉では圧力容器の外に冷却水循環のためのループ配管を引き出して、そのループ配管の途中に再循環ポンプを設けた構造になっています。 【参考URL】 原子炉再循環系 - ATOMICA - http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=918 BWRの原子炉冷却系統 (02-03-03-02) - ATOMICA - > 図3 BWR原子炉冷却系統概要図 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02030302/06.gif これに対し、改良型沸騰水型軽水炉では、再循環ポンプの主要部分と冷却水再循環流路を圧力容器内に内蔵式とした事によりループ配管を無くしたため、圧力が加わり破断するリスクのある溶接箇所を削減する事が出来た事により、圧力容器内の圧力に異常が生じた際に溶接個所等が破断して冷却水が漏洩するリスクを低減されています。 【参考URL】 BWRの原子炉冷却系統 (02-03-03-02) - ATOMICA - > 図10 ABWR原子炉容器内の原子炉冷却材の流れ http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02030302/13.gif BWRの原子炉冷却系統 (02-03-03-02) - ATOMICA - http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-03-03-02 改良型BWR(ABWR) (02-08-02-03) - ATOMICA - http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=02-08-02-03 改良型沸騰水型軽水炉 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%B9%E8%89%AF%E5%9E%8B%E6%B2%B8%E9%A8%B0%E6%B0%B4%E5%9E%8B%E8%BB%BD%E6%B0%B4%E7%82%89 これはリスクの低減であって「何パスカルの圧力にまで耐える事が出来るか」という耐圧性能自体の向上とは別の話です。 実際、従来型の沸騰水型軽水炉である柏崎刈羽原子力発電所の1~5号機の通常運転時の圧力が7.03MPaであるのに対し、改良型沸騰水型軽水炉である同発電所の6号機と7号機の通常運転時の圧力は7.17Paと大差ありませんし、温度もどちらも280℃とされています。 【参考URL】 東京電力 > 安定供給を支える電力設備 > 柏崎刈羽原子力発電所 > 公表資料・データ > リアルタイムデータ > 原子炉の圧力・水温・水位 後それから、改良型沸騰水型軽水炉の改良点としては、制御棒の駆動に関して従来型では水圧駆動となっていた点を、改良型では水圧駆動に加えて電動モーター駆動も付け加えた事により、どちらか一方が使用不能になった場合でももう一方がバックアップとなって、制御棒を駆動させる事が出来るため、万が一の場合に水圧が得られず制御棒を挿入して緊急停止できない、などという事態になるリスクを低減する事が出来ます。 又、改良型沸騰水型軽水炉では原子炉格納容器を原子炉建屋の構造材の一部として使用する事と、前述の冷却水再循環用外部配管を廃止した事により、重量が嵩む炉心の位置を下げて建屋全体の重心位置を低くしており、これにより耐震性能が向上しているそうです。 【参考URL】 J-POWER > 事業・サービス > 原子力発電事業 > 大間原子力発電所の建設計画 > 特徴 > ABWRについて > 改良型沸騰水型軽水炉 http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/project/aspect/adoption/abwr/ >加圧式と改良型沸騰水式とでは、どちらが性能の面では優れていると言った事があるかどうかも聞きしたく思います。 何の性能に関して尋ねておられるのでしょうか? 熱効率に関してですか? 改良型沸騰水型軽水炉では、新型の52インチタービン翼、湿分分離加熱器、ヒータドレンポンプアップシステムの採用等の細かな改良によって、熱効率が従来型の沸騰水型軽水炉 の33%から、35%へと僅かながら向上しているそうです。 【参考URL】 東芝 > サイトマップ > 原子力発電 > 最新ABWR > ABWR > 熱効率の向上 http://www.toshiba.co.jp/nuclearenergy/jigyounaiyou/fruit04/fruit04.htm これに対し、開発中の次世代加圧水型軽水炉は40%の熱効率を実現できる可能性があるそうです。 【参考URL】 三菱重工 > 技術情報 > 三菱重工技報 > 第46巻 (2009) > 第4号 原子力特集 > 次世代PWR-環境にやさしく高効率で経済的な,3S(Safety, Security, Safeguard)を実現する自律型プラントの開発- https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/464/464003.pdf 既に実用化されているものの実際の値と、開発中のものの予定地を比較してもあまり意味はないかも知れませんが、熱力学の法則により、高熱源と低熱源の温度差が大きければ大きいほど熱効率を高する事が可能な限界値も高くなります。 >沸騰水型式だったと記憶しています。また事故が起きず、通常運転を保っている状態であれば、圧力容器内は、300℃になるとも聞いています。 >一方加圧式型だと、通常運転状態だと400℃になると聞きます。 の様に炉心の温度に大きな差がある以上、一般的に温度の高い方が熱効率は高くなります。 そもそも、沸騰水型原子炉は原子炉内の1次冷却水を沸騰させた際に生じる水蒸気を使って発電を行っているため、水野臨界温度に近い様な温度にまで温度を上げる事が出来ないのに対し、加圧水型原子炉は圧力容器内の圧力を高める事によって冷却水が沸騰しない様にした上で冷却水を加熱しているため、沸騰水型と比べて温度を高くする事が出来ます。 沸騰水型原子炉も加圧水型原子炉も冷却には同じ海水を使用していますから、低熱源の温度は(海水を取り入れる地域の気候の違いによる温度差がある程度で)どちらも同じですので、温度を高くする事が可能な加圧水型の方が熱効率が高くなる傾向があります。
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改良しても 原発は原発です・・ 事故が起きれば同じ事・・ 未来の電力供給は もっと違う方法になる筈です・・ 現在は その方法すら 解かって無いだけ・・ 江戸時代に飛行機で海外に行けるなんて 誰も思わなかったのと同じです・・
- mpascal
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特に設計温度を上げたという情報は見当たりませんね。 http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/project/aspect/adoption/abwr/
お礼
mpascalさん、有難うございました。 掲載して頂いたURLを見て、従来型と改良型との違い が分かりました。
- mpascal
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失礼しました。格納容器の資料でしたね。
- mpascal
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お礼
kagakusukiさん、私の理解力をはるかに超えた回答を 寄せて頂き、大変恐縮しております。 別な方からの投稿内容からも、従来型と改良型封筒水式の 構造の違いの情報を得ることが出来ましたが、さらに kagakusukiさんから、その違いについて詳しく解説頂き、 助かりました。。 また私には、難しい内容ですが、沸騰水型と加圧水式との 違いについて、効率の違いについても現況して頂き、 大変実りのある回答を頂いたようです。