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しだれ桜を詠んだ和歌ありますか?

飛鳥時代~鎌倉時代くらいで しだれ桜を詠んだ和歌はありますか? よろしくお願いします。

noname#206996
noname#206996

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  • staratras
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回答No.4

>奈良時代にはしだれ桜は日本にはなかったのでしょうか?それとも単に桜といっていたのかも? No.2です。断定的な回答はできませんが、おそらく後者だと思われます。以下散ってゆく桜を見ながら素人が考えたことです。 万葉集には四十数首の桜の歌がありますが、すべて「桜」か「山桜」で、「しだり桜」も「糸桜」も登場しません。興味深いことは有名な「奈良の都の八重桜」も万葉集には「八重桜」としては出ていないことです。つまり万葉集の歌の表面上の名称からは、当時の桜にどのような品種があったかを直接詳しく知ることはできないということになります。もちろん当時の桜が里の桜と山桜の2品種しかなかったということではなく、日本の本州に自生している桜の野生種は約10種ありますが、細かく分けては呼ばなかったということでしょう。(植物の専門家であれば歌が詠まれた場所と時期から品種を推定できる可能性がありますが…) ただ「山桜」あるいは「○○山に咲ける桜」と「やどにある桜」「垣内の桜」の区別はありますので、野山に自生する桜を愛でるだけでなく、住まいの周囲に桜を植えて楽しむことも奈良時代にはすでに行われていたと考えられます。ただし江戸時代のように植木屋が苗木を栽培して売っていたわけではないでしょうから、野山の桜(あまり大きく成長していないもの)を移植したのではないかと見られます。 問題は、その「野山の桜」や「我が宿の桜」のなかに「しだれ桜」が含まれていたかどうかですが、回答者はその可能性を否定することはできないと思います。ただしそれを裏付ける史料を知っているわけではありません。 世間でしだれ桜と呼ばれている桜は単一の品種ではなく、枝が細く地面に伸びる性質を持つ桜の総称ですが、このうち専門家が「シダレザクラ」と呼ぶひとつの品種は、「エドヒガンザクラ」が自然界で突然変異したものを人が珍重して栽培して広まったとされています。No.2の「箱根の山の糸桜」の歌も当然自然界にしだれ桜があるという認識を前提にしています。本格的な栽培が広まったのは平安時代の半ば以降だったとしても、自然界のしだれ桜が平安時代になって突然発生したとは考えにくく、奈良時代にもあったであろうと考えます。 有名な福島県の「三春の滝桜」は「シダレザクラ」のうちでもとくに色が濃い「ベニシダレザクラ」で、推定樹齢は千年以上と見られています。千年以上昔から地元で代々大事にされてきたからこそ、今日あの立派な桜が残っているということになり、いつの時代までさかのぼれるかは別としても、古代から日本人がしだれ桜を珍重していたことは確かでしょう。 民俗学の柳田國男は「しだれ桜の問題」「信濃桜の話」などでこのしだれ桜の歴史について興味深い問題提起というか仮説の提示をしています。 それは、京都から東の地方では、各地にしだれ桜の老木あるが、その在り処は神社仏閣やそのほか霊地と言ってよいような場所が多い。これは自然にそこに生えていたのではなく、どこかに元の木があり接ぎ木取り木や種・実生で人為的に広がっていったのではないか。また15世紀の京都の貴族の日記に「信濃桜」というしだれ桜が存在していたことが書かれていて、信州をその故郷の一つとして想定しなければならないのではないか。というものです。 なお柳田はしだれ桜が珍重された背景について、「神霊が樹に依ること、大空を行くものが地上に降り来たらんとするには、特に枝の垂れたる樹を択むであらうと想像するのが、もとは普通であったかといふことである」と推察しています。(「信濃桜の話」青空文庫から引用)魅力的な考え方だと思います。 「しだれ桜の問題」は極めて奥深く、最近行われている桜の遺伝子解析などの科学的知見と、歴史学上の知識を総合して考察する必要があると考えます。

noname#206996
質問者

お礼

何度も回答をありがとうございます。 なるほど、「ならのやえざくら」も万葉集には「やえざくら」として登場していないのですか。 「古の奈良の都」とあるからには奈良時代には「ならのやえざくら」はあったと思えますね。 >ただ「山桜」あるいは「○○山に咲ける桜」と「やどにある桜」「垣内の桜」の区別はありますので、 >「箱根の山の糸桜」の歌も当然自然界にしだれ桜があるという認識を前提にしています。 そうなんですか~。勉強になります。 「三春の滝桜」の例をあげてくださっているように、「シダレザクラ」の中には長寿のものが多いようですね。 それで疑問に思ったのです。 しだれ桜の老木が神社仏閣・霊地に多い、信州が原産地ではないかというのは興味深いです。 とても勉強になりました!

その他の回答 (3)

回答No.3

No.1です。お礼コメント有難うございます。喜んでいただけてうれしいです。 「糸桜」、「しだり桜」、ともに和歌での最古の用例は同じころなのですが、和歌データベースでは、「したりさくら」の用例が二つしかありません。これはたぶん、七五調のリズムと関係があるのではないでしょうか。六文字よりも五文字の方が使いやすそうですね。 1076年に白河天皇が法勝寺を建立したとき、しだれ桜を植樹した記録があるそうです。和歌における最古の用例より前の話です。 「岩波 日本庭園事典」より https://books.google.co.jp/books?id=Td8wAQAAIAAJ&q=%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E3%80%80%E5%A5%88%E8%89%AF%E6%99%82%E4%BB%A3&dq=%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E3%80%80%E5%A5%88%E8%89%AF%E6%99%82%E4%BB%A3&hl=ja&sa=X&ei=AYEnVdbRCtfW8gWKnIDADQ&ved=0CDQQ6AEwBQ 上の書物には、「サクラが庭園に用いられるようになったのは奈良時代」とありますから、そのころに交配を初めて、平安時代には広まっていたのかもしれませんね。 「さくら」と「やまざくら」の用例なら、すでに飛鳥時代、柿本人麻呂の歌にあります。この時代に詠まれているのは山桜が多そうで、源氏物語にも山桜は出てきますが、「糸桜」や「しだり桜」の名称が生まれる前は、単に「桜」と言っていた可能性もありますね。

noname#206996
質問者

お礼

何度も回答くださりありがとございます。 「しだりさくら」の用例は少ないのですか。 ご指摘のように「しだりさくら」は文字数が和歌にあわないような感じがしますね。 >1076年に白河天皇が法勝寺を建立したとき、しだれ桜を植樹した記録があるそうです。和歌における最古の用例より前の話です。 >「さくら」と「やまざくら」の用例なら、すでに飛鳥時代、柿本人麻呂の歌にあります。 おー、そうなんですか。 染井吉野の寿命は30年くらいといわれていますが、しだれ桜には1000年を超える長寿のものが現存しているようなので 平安時代より前はしだれ桜も桜と言っていたのじゃないかな、と思いました。 大変、参考になりました!

  • staratras
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回答No.2

「しだれ桜」のことを昔は「しだり桜」と言い、「糸桜」という異称もありました。国文学者の山田孝雄氏は昭和16年に出版された著書「櫻史」のなかで次のように述べています。(以下引用)  永暦元年七月に藤原淸輔の家に催せる歌合の時櫻の題にて顯昭がよめる歌、    わぎもこがはこねの山の絲櫻結びおきたる花かとぞ見る  これによれば絲櫻といふものこの時既にありしなり。この櫻白川なる法勝寺にありしこと古今著聞集風雅集に見えたり。この絲櫻といふは「しだり櫻」と同じかるべきか。「しだり櫻」といへるものも亦當時ありき。散木集に見えたる源俊頼の歌に、    あすもこんしだり櫻の枝ほそみ柳の絲にむすぼほれけり  以上は匇卒に見出でたるものなり。なほ識者の教を待つ。(以上同書 中古の巻 櫻のしなじな) なお永暦元年は西暦1160年にあたり、源頼朝が伊豆に流された年です。また「散木集」は「散木奇歌集」ともいわれ、源俊頼の詠んだ歌を集めた私家集で、1128年ころ成立したといわれています。 日本国語大辞典(小学館)の「しだり桜」と「糸桜」の項目でも用例の最古のものは、それぞれ上の両歌でした。平安時代の終わりころには「しだれ桜」(「糸桜・しだり桜」)の和歌が詠まれていたことがわかります。

noname#206996
質問者

お礼

回答ありがとうございました。 丁寧な解説で、感謝感激でございます! 昔は「しだり桜」と言っていたのですね。 奈良時代にはしだれ桜は日本にはなかったのでしょうか? それとも単に桜といっていたのかも?

回答No.1

しだれ桜の旧名は「糸桜」で、平安時代終わり以降に用例があります。「和歌データベース」そのほかで「いとさくら」を検索すると、以下のものがあります(作者名が未入力のものがあるので、各歌集や「国歌大観」で調べないと、作者がわからないものがあります)。 玉葉集 正和元年(1312年)巻第二 春歌下 露をゝもみ 梢たれたる 糸桜 柳かえたに 咲かとそ見る(つゆをおもみ こすゑたれたる いとさくら やなきかえたに さくかとそみる) 西園寺実兼 風雅和歌集 貞和二年(1346年)巻第二 春歌中 立よらて 過ぬと思へと 糸桜 心にかゝる 春の木のもと(たちよらて すきぬとおもへと いとさくら こころにかかる はるのこのもと)近衛家基 同 巻第二十 賀歌 君か代に あふもかひある 糸桜 としのをなかく 折てかさゝん(きみかよに あふもかひある いとさくら としのをなかく をりてかささむ) 西園寺実雄 白河殿七百首 文永二年(1265年) しらかはや ちかきみてらの いとさくら としのをなかく きみそかささむ 嘉元百首(嘉元仙洞御百首)嘉元元年(1303年) ならふなよ うつろふいろに いとさくら ちりしくにはの やまふきのはな 延文百首 延文二年(1357年) はるをへて さきそふやとの いとさくら としのをなかき かさしとそみる 永享百首 永享六年(1434年) おりそむる にしきとやみむ いとさくら かつかつにほふ はなのみやこを 新撰和歌六帖(新撰六帖題和歌)寛元二年内(1243年) としへぬる ふるきみきりの いとさくら みにくるひとそ はるはたえせぬ 藤原知家 夫木抄(夫木和歌抄)延慶三年頃(1310年頃) わきもこか はこねのやまの いとさくら むすひおきたる はなかとそみる 顕昭 しらかはや ちかきみてらの いとさくら としのをなかく きみそさかえむ 番号外作者 金槐集 成立年時未詳 はるくれは いとかのやまの いとさくら かせにみたれて はなそちりける 源実朝 草根集 文明五年(1459年) 初瀬女か春の手染の糸桜かつ色ふかき峰のあけほの 正徹 中宮亮重家朝臣家歌合 永万二年(1166年) をちかたの かせにみたるる いとさくら わかてにかけて みるよしもかな 中納言実国 和歌データベース http://tois.nichibun.ac.jp/database/html2/waka/waka_kigo_search.html 二十一代集(勅撰和歌集)データベース http://base1.nijl.ac.jp/infolib/meta_pub/CsvSearch.cgi?DEF_XSL=default&SUM_KIND=CsvSummary&SUM_NUMBER=20&META_KIND=NOFRAME&IS_KIND=CsvInitSearch&IS_SCH=CSV&IS_STYLE=&IS_TYPE=csv&DB_ID=G003783121dai&GRP_ID=G0037831&IS_START=1&IS_EXTSCH=&IS_TAG_S1=SearchData&IS_KEY_S1=%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89&IS_NUMBER=20 あとは、室町時代になってしまいますが、越前の戦国大名朝倉氏の興亡記「朝倉始末記」に、永禄十一年三月八日、光徳院(義景母)が一乗谷亡命中の足利義秋(義昭)から従二位に任ぜられたとき、その御礼として義景が、義秋とその伴衆を南陽寺に招いて観桜遊宴を催し、糸桜の題で歌詠みがあったという記録があります。 朝倉始末記 巻第四 「義景母儀任2二位尼1 附義昭公見2南陽寺糸桜1事」の項に15首あります。 http://yoshiok26.p1.bindsite.jp/bunken/cn14/asakura4.html

noname#206996
質問者

お礼

すごくたくさんしだれ桜の歌を教えてくださって、感謝感激でございます! 平安時代終わり以降に用例があるということは、奈良時代は単に桜といっていたのかも? 和歌データベース、二十一代集(勅撰和歌集)データベースなどのリンクもとても嬉しいです。

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