ご主人の不倫問題を原因に離婚を決められたのですね。そして、ご主人の不倫相手とご主人の双方に慰謝料を請求する、と決められたのですね。
それはそれでいいのですが、慰謝料の請求は誰に何時どの様な形で請求されるのでしょうか。これはとても大切な点です。まず、このことから決めましょう。ご主人と不倫相手を同じ頃に別々に請求するのか。不倫相手を先に済ませた後ご主人に請求するのか。あるいは逆にするのかです。
一番まずい方法は、2人に同じ時期に別々に請求する場合です。何故まずいのかというと平成15年から家事事件として一緒に扱われるようになりましたので、2人への慰謝料請求は、あなたが別々に請求する合計金額よりも低くなります。間違いなくです。
既に請求されているのでしたら、ご主人の請求分と不倫相手の請求分を合算して判断しないように、先にあなたの方から合計はいくらいくらで、その割合をご主人は何パーセント、相手の女性は何パーセント支払え、とした方がいいです。
通常は、不倫相手の方に先に請求し、その結論が80%以上付いたところでご主人に請求をします。こうすることで別個に請求して受け取れます。何よりも不倫相手に対して勝っておくと、離婚の責任がご主人にある。と、いうことが認定出来ますのでご主人への慰謝料は高く請求出来ます上に受け取ることが可能です。他の離婚条件も優位に運べます。
相手の女性は、ご主人が既婚者であることを知らなかった。と、いっているそうですが、そんなもの全く関係ありません。判例も次の様にあります。「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は【故意又は過失がある限り】右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の肉体関係が自然の愛情によって生じたかどうかに関わらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべきである。(最判昭和54年3,30)」この判例で問題のあるのは【 】の部分です。
故意又は過失がある限り、ということは不倫相手に配偶者があることを知っていながら(故意の意味です。)又は、知らなかったとしても(過失の意味です。)他方配偶者の権利を侵害し、精神的苦痛を与えたことは違法性があるので他方配偶者を慰謝すべき。と、いっています。この説が現在も通用しています。従いまして、相手女性の減額請求は何の法的根拠もありませんので話題にすら取り上げるべきではありません。
あなたのまずい考え方は、あちらがこう言うのなら、相手のいうことの逆手を取ってみようかというような発想です。これは、相手の思うつぼです。相手の土俵で相撲を取っているのと同じです。あなたは、相撲の行司でも裁判官でもありません。ご自分の主張を曲げて相手のいう分を聞いた上で自分が判断するような考え方はダメです。自分の気持ちをドンドン主張すればいいのです。その主張が法律に叶っているかどうかは考えなくていいのです。判断の調整は調停委員であったり審判の裁判官がします。あなたは、自分の主張をかなえてくれる法律はどういう法律があるかを考えた方がいいのです。先に法律ありきで素人が考えると何も出来なくなります。
おさらいです。慰謝料を出来るだけたくさん取るには、ご主人と不倫相手を分けて請求する。次に、分けて請求するのですが不倫相手を先に請求する。そして、不倫相手との間で80%以上の決着が付いてからご主人との問題に移す。この手順はとても大切です。誰が何を言おうともこの手順です。更に、慰謝料請求の引き出しをたくさん持つことです。まず言えることは法律で保護されている身分権の侵害、妻の立場の侵害、人権侵害、生活侵害、風評侵害、経済的損害、将来の保証への侵害、等々具体的な請求細目は省略しますが、これらについていくらいくら支払え、という形で請求するといいです。
ご主人と離婚されるのであれば、慰謝料が分割になるのであれば離婚が決まる前に、分割が終了するまでの間、受取人をあなたにしてご主人を保険者とする生命保険を、生命保険会社の人に事情を説明した上で加入しておく事をおすすめします。このよう様にしてプレッシャーをかけておくと支払うようになります。もちろん分割の場合は調停証書に執行文を付けて貰いましょう。慰謝料債権の時効は3年です。他の債権はいろいろですがもう少し長いのが一般的です。振り回されないようにご自分の意思をシッカリ持って事に当たりましょう。一歩も引かない姿勢で臨むべきです。
ご主人の不倫相手との話し合いが調停などで不調に終わった場合ですが、ここからが、あなたの優位な立場で事を進めることが可能なのです。詳細は省きますが、あなたはご主人の不倫相手に絶対に負けることがないのですから、そのことを心してこの問題に対応さえることを希望します。
お礼
ご丁寧な解説、どうもありがとうございます。 まとめていただき感謝します。 教えていただいた内容、手順に従って請求します。 どうもありがとうございました。