ググッても、そもそも技術的な知識がないとピンとこないですよね。
ということで補足的な説明をします。
まず、リニアモーターカーの開発を日本は比較的早く始めました。これはいずれ新幹線がスピードで行き詰ることを見越して「鉄道だけど車輪を使わない」という方針で開発が進められたので、磁気浮上式が採用されたという経緯があります。
これ以外にもホバークラフトを利用したり、飛行機のように翼で浮上したりという方式も研究されています。
リニアモーターカーで現在実用化(営業運転)されているのはドイツのトランスラピッドと愛知高速交通東部丘陵線(HSST方式)だけです。上海のリニアモーターカーもドイツの技術を輸入したトランスラピッド式を利用してます。
じゃあ、なんでトランスラピッドは実用化されて、日本のリニアはまだ先なのかというと、浮上の方式が違うからです。
トランスラピッドとHSSTは「磁石の吸引力で車体を引っ張って持ち上げる」方式でJR式は「車体を磁石の反発力で浮かせる」方式です
吸引力で引っ張る方式だと比較的簡単に浮力の制御ができるのですが、浮いている部分の隙間が8mm程度とあまり大きくなりません、東部丘陵線は最高時速が100Km/hですし、上海は地震が起きません。
ですから、上海トランスラピッドは日本と違って安全コストが低くすむので作ることができたともいえます。
それに対してJR式は大体10cmぐらいの浮上が可能になっています。また強力な磁力を得るために超伝導電磁石(その他は常電導電磁石)を利用しています。世界的に見ても超伝導電磁石にこだわって開発しているのはJR式だけなのです。
これらの技術は1980年代には大体完成して、これから建設しようとしている中央リニアの技術的課題はほとんどクリアして実用段階に入っていました。
ではなぜ建設しなかったか?
理由の一番大きなものは、バブルがはじけて予算が出ないという経済的なものだったのですが、それを除いても超伝導電磁石を作るコストが高すぎてなかなか作ることが出来なかったのです。そのコストの元は超伝導にするために材料を冷やす液体ヘリウムが必要だったことです。
これが1980年代によって少しずつ超伝導にする温度が上がって、現在では高価な液体ヘリウムではなく安い液体窒素を利用した超伝導電磁石が作れるようになったのです。
これが最後の決め手、コスト的に採算が合うということになり、また開業から50年近く経つ東海道新幹線の老朽化(と全面メンテナンス)をサポートするために、2027年開業に向けて中央リニアが建設されることに決まったのです。
日本のリニア技術は世界的に見てもかなりすばらしいものだといえます。しかし地震のない国だとコストから見てオーバースペックでもあるのです。
だから上海トランスラピッドは営業運転が出来て、日本はこれから建設するという状態なのです。
お礼
大変詳しい解説をありがとうございました。 ばからしい質問のため、 ほかの方から馬鹿にされてしまいましたが、 この回答でとても勉強になりました。