赤ちゃんの予防接種 ポリオについて

質問

よろしくお願いします。

もうすぐ３ヶ月の娘の予防接種についてです。
今秋から不活化ポリオワクチンが導入されると聞きます。

１ 私の自治体では春・秋の集団接種です。少しでも早く、春にも生ワクチンを接種するべきでしょうか？副作用を考慮して秋まで待つべきでしょうか？(現時点では近辺に不活化ワクチンを接種できる病院はありません)

２さ来月には３種混合を接種することになると思います。秋まで待ったとしても単独で不活化ワクチンを接種するとなると、更にあと送りになってしまうでしょうか？その場合は有料で接種することになるのでしょうか？

３近親者に膠原病患者がいます(リューマチ、てんかん)。遺伝的に免疫疾患を持っていると、ポリオの生ワクチンは接種できないこともあると聞いたのですが、その辺りはどうなのでしょうか？

４私たち夫妻共に昭和５０・５１年生まれです。再接種が必要とも聞きますが、どうなのでしょうか？現時点で再接種となると、生ワクチンとなるのでしょうか？

専門知識をお持ちの方からのご回答をお願いいたします。

回答No.1

afpid

１．秋まで待たない方が良いと思います。

秋に三種混合と不活化ポリオの混合された新4種混合が登場するようですが、一番心配なのは新4種混合を待つために多くの方がポリオワクチンと三種混合ワクチンの接種控えをすることです。これらのワクチンの接種率が低下するとおそらく保育園を中心に百日咳が大流行します。（過去にも三種混合が中断されたときに多くの方が亡くなりました。）ポリオワクチンも接種率が既に相当低下している中、これ以上低下して80～60％以下になれば野生株ポリオが海外から流入する可能性や、国内の生ワクチン由来ウイルスが未接種者の腸管内を何度も循環する結果、先祖返りして野生株ポリオと同じ程度に危険なVDPV（ワクチン由来ポリオウイルス）が流行する可能性がでてきます。これらのウイルスは伝播する力がとても強いため、一斉に数十人単位で発症するかもしれません。この時に犠牲になるのが、ワクチンを一度も接種していなかった方です。新ワクチンが登場する半年前は特に多くの方が（絶対によくないことなのですが）接種控えをすると予想されますので、互いに感染させ合う可能性が高くなり特に危険です。
どうか、秋の接種を待つということだけはしないようにしてください。そして、3か月の三種混合を淡々と進め、春のポリオも（不活化でも生でもいいので）しっかりと接種することをお勧めします。

２．単独不活化ポリオワクチンは当分有料です。（認可には少なくとも1年程度はかかります。）

3か月になったら真っ先に接種するのは三種混合です。また、秋になっても、単独不活化ポリオは登場しません。三種混合を接種した方は原則的に新4種混合ワクチンの対象外になります。
従って、三種混合は3か月ですぐに接種していただき、不活化ポリオを選択される場合も秋まで待たずに、有料となりますができるだけ早期に接種することをお勧めします。

三種混合は絶対に3か月に開始していただきたいワクチンです。なぜなら、百日咳で死亡したり重症化して無呼吸になるお子さんはほとんどが生後4か月未満だからです。自治体の方の一部で感染症の知識の不十分な方が3か月になったらBCGを先に接種するように指導する場合がありますが、そのようなことをしたら三種混合が4～５か月開始になってしまい、BCG接種会場で百日咳を他のご父兄からもらってしまうと百日咳の重症化を防ぐことができません。国立感染症研究所の推奨スケジュール（参照URL)をご参照いただければわかりますが、BCGは三種混合を１～２回以上接種した後１週間以上あけて接種するか、BCGを急ぐ場合には三種混合と同時接種するべきものです。三種混合を遅くすることはお勧めできません。それが日本の標準的な接種法とされています。

３．膠原病の家族歴だけなら、通常は生ワクチンも接種可能です。

ご本人が重症の免疫不全の場合と、ご家族に免疫不全の方や膠原病などで免疫抑制剤を使用中の方がおられた場合には不活化ポリオワクチンがお勧めです。しかし、血縁に膠原病の方がおられてもその方とワクチン接種後1か月間接触せずに済む場合や、その方が免疫抑制剤の投与を受けていない場合には生ワクチンの接種は可能です。その方の疾患の詳細にもよるかもしれませんので、ポリオの接種会場で再度ご確認ください。

４．通常は急いで追加接種する必要性は少ないと思います。

50年から52年生まれの方は1型ポリオの抗体がついていない方が多いことがわかっています。従って、1型ポリオが流行しているアフリカや中央アジアの地域へ行かれる場合には必ず再接種（できれば50年～52年の方は2回）が必要です。その場合には生ワクチンをお勧めいたします。（不活化ワクチンは接種者自身を守る力、すなわち抗体価の上昇は生ワクチンよりも強力なのですが、腸管免疫の獲得は生ワクチンに劣ります。腸管免疫はポリオの運び人にならないためにはとても重要ですので、不活化ワクチンではアフリカなどから帰国するときに持ち帰ってしまいます。）
しかし、50年～52年の方を含めたすべての日本人は3型ポリオの抗体が不十分な場合が多く、4割近い方で免疫がありません。つまり、50年～52年生まれに関わらず、50歳～55歳以下のすべての日本人はあと2回の追加接種が必要です。（生ワクチンなら2回接種完了者の場合あと1回でも可）ただ、現実に不活化ワクチンは一般に流通しておらず、生ワクチンも検疫所など特殊な場所でしか接種できません。
また、国内では野生株ポリオが現に流行していないという現実を考えれば、急いで接種をされなくても良いと思います。不活化ポリオが接種可能になれば、十分な免疫獲得のためには50歳～55歳以下の全ての日本人は年長者でもあと2回の追加接種をしておくべきと考えますし、流行地へ行く前には生2回接種完了者であってもあと1～２回の生ワクチンの接種が必要です。
お子さんが生ワクチンを接種される場合の2次感染のリスクは50年～52年であっても非常にまれですので、（2次感染の大半は1型ではなく3型と2型です）接種後の手洗い徹底だけでも良いと思いますが、ご心配なら不活化ポリオワクチン接種医療機関を探されてもよいでしょう。

参考URL：

http://idsc.nih.go.jp/vaccine/dschedule/2011/Lchildren1121.pdf