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腰掛け銀(VS8四歩型居飛車)の攻め方とは?
- 腰掛け銀(VS8四歩型居飛車)の攻め方について、将棋の参考書には詳しい解説がなく困っています。どのような攻め方が効果的なのでしょうか?
- 腰掛け銀の攻め方について、自分なりに試してみましたが思うような結果が出ませんでした。攻め方のポイントやコツなどを教えてください。
- 腰掛け銀の攻略法について教えてください。将棋の参考書には具体的な指し方が載っていないため、攻め方がよく分かりません。効果的な攻め方を教えてください。
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それではまず腰掛銀の狙いを説明しよう。腰掛銀は原始棒銀のような単調な戦法でなく、棒銀が攻め100%なのに対し腰掛け銀は攻守両用のバランスの取れた構えなのだ。だから原始腰掛銀とは呼ばれない、押したり引いたり、間合いを図る駆け引きの将棋なのだ。あちらと思えばまたこちら、行くと見せて行かない、行かないと見せていく。それが間合いを図る駆け引きという意味なのだ。 腰掛銀は角道を開けるのだ。原始棒銀と違って、相手の角を目標とするわけではないので、角交換を避ける理由が無いのだ。 23手目に▲5六銀と腰掛銀の定位置に構えた局面で腰掛銀の基本性能を説明しよう。▲5六銀は5七の歩に支えられた安定した駒であるから簡単に取られることがない。また自陣の4七と6七の地点に利いて守りにも働いている。そして4五、5五、6五の地点に利いているので相手の大駒はうかつに近づくことができない。そして場合によって4五、6五に出たり、4七、6七に引く。ここで5五だけは進むことはない。5五の地点は相手の飛、角が利いていない場合でも出てはいけない。なぜなら元の5六の地点にもどれなくなってしまうからなのだ。例外は5五の地点に銀と同等か銀以上の価値のある駒が出てきて、それを取る場合だけなのだ。例えば24手目に▽5五角とか▽5五飛と体当たりをかまされた場合は遠慮なく取って良い。どうせ元の地点に戻れることはないからだ。▽5五角▲同銀▽同飛▲6八銀となれば先手優勢だ。すなわち腰掛銀は相手の飛車角を自由にさせないで牽制しているといえるのだ。また相手は▽3三桂から▽4五桂、▽7三桂から▽6五桂という桂馬ぴょんぴょん攻めも牽制しているのだ。腰掛銀を支えている5七の歩は命綱だから間違っても取られてはいけない。以上のように腰掛銀は中央を制圧していて、定位置にあるだけでも攻防に十分働いているといえるのだ。ただし銀より価値の低い駒、桂香歩で銀を狙われる手だけは注意が必要だ。例えば、▽5五歩、▽5四香、▽4四桂、▽6四桂といった手は警戒が要る。もっとも今すぐではなくて、もっと後の話だ。 25手目は▲7六歩だ。そろそろ角道を開けて良い。▽8八角成なら▲同銀で一手得だ。▽4四歩とか▽3三桂と角交換を拒否してきたら、そこで▲6八銀の呼吸なのだ。角交換なら▲8八同銀、角交換を拒否されたら▲6八銀。このように腰掛銀は相手の出方を問いながら、その答えによって着手を選ぶ。例えば▽6二銀と相手が隙を作ってきたら、今度は自分から▲2二角成▽同銀▲8二角と打ち込んで優勢なのだ。また▽4二玉なら、今度は▲2二角成▽同銀▲8三角▽7二銀▲6五角成で優勢だ。この時先手陣には全く隙が無いから角交換を怖れる必要が無いことに気づくだろう。4七の地点は腰掛銀が利いている。引き飛車が安定しているので▽4四角の両取りも成立しない。このように角交換になれば先手の方に攻め筋が多いので角道を開けて角を向かい合うのは歓迎なのだ。▽5二玉と相手は様子を見るかも知れない。ここでチャンスだと思って▲2二角成▽同銀▲8三角と打ち込むと▽7四歩と退路を遮断されて角が殺されるから注意して欲しい。こういう罠にかからないことも重要だ。▽7四飛と突いたばかりの歩を取りに来られるかも知れない。この歩を取られると後で▽7六桂~▽8八歩といった攻め筋が相手の生じるので安易に取らせるわけにはいかないのだ。本譜は後でそうなってしまったが。▲7七金と歩を守るのが堅実だが▽3五歩と突かれて次ぎに▽2四飛のぶつけが見える。先手陣は金銀が上ずっているので飛車交換は不利。▲2五歩と謝るしかないのでは不満だ。ここは▲6五銀で歩を守りつつ飛車取りで反撃したい。▽8四飛と逃げる一手に▲2二角成▽同銀▲7五角▽8五飛▲7七桂▽9五飛▲9六歩▽9四飛▲9五歩で飛車を逮捕だ。 ▽3五歩という手もありそうだ。次ぎに▽2四飛の飛車ぶつけの狙いだ。これも▲2五歩と謝るのでは不満。これには▲2二角成▽同銀▲6八玉▽6二玉(▽2四飛なら▲1五角)▲4七銀▽2四飛▲同飛▽同歩▲3八銀で一段落。ただし厳密には先手少し指しにくい感じではある。 このように後手の浮き飛車作戦も、ただ飛車がちょこまかしているようだが、案外有力な作戦なのだ。将棋は相手がいるゲームだから一方的に攻める展開にはならない。お互い相手の狙いを探りながら一手一手慎重に指し進めるものなのだ。それは腰掛銀に限らず、将棋であるからには避けられない。 21手めの▲4七銀も当然の一手のようだがどうだったか。ここは▲7六歩として相手の出方を窺うところだったかも知れない。というのは▲5六銀と構えた形は好形なのだが、▽3五歩から▽2四飛とぶつけられると裏を掻かれたような感じで面白くないのである。20手目の▽3四歩で▽2四飛なら▲同飛▽同歩▲8二飛で良い。これは先手陣に隙が無い(▽2八飛なら▲2七歩と蓋をして次ぎに▲3九金で逮捕)のに対し後手陣は8筋ががら空きで▲8二飛で先手優勢になる。そこで後手は一旦▽3四歩としたのだ。しかしこれは決して▽2四飛の筋を断念したわけではない。一時保留しているだけなのだ。これが水面下の駆け引きということなのだ。 22手目の▽5四飛はいかにも単純な狙いで簡単に受かってしまうからたいした手ではないように見える。しかし後手は先手の陣形が上ずるのを待っていたのだ。▲5六銀を誘って、その裏を掻いて▽3五歩~▽2四飛を狙っている。27手目の▲4八飛が悪手で、せっかく切った持ち歩を▲2八歩と手放すしかないのでは大失敗なのだ。▲4八飛では▲3六歩として断固▽3五歩を拒否したかった。▽3五歩▲同歩▽2四飛とぶつけてくれるなら、今度は▲2五歩で腹が立たない。なぜなら一歩貰っているからだ。 回答といいながら、腰掛銀の攻め筋を説明するところまではできなかった。とにかく相居飛車は、一手一手の水面下の駆け引きが難しいのだ。ここには書けなかった変化も数多い。今回は腰掛銀戦法と浮き飛車作戦の攻防の妙の一部を説明したに過ぎないのだが、それでも将棋がどんなゲームなのか少しは示すことができたのではないかと思う。浮き飛車作戦も下手をすると飛車が逮捕されてしまう場合もあるが、うまくいけば相手の包囲網をかいくぐり手薄な方面で手を作られてしまう、決して侮れない作戦であることも理解して欲しい。将棋は相手がいるゲームで何事も相手次第なのだ。まずは相手の狙い筋を知って、どのように一手づつ指し進めるかをよく考えて欲しい。本譜は後手は飛車をちょこまかしたり右銀を元に戻したり、いったい何をしたいのか良く分からないような指し方だが、実は先手が隙を作るのを待っているのだ。その相手の狙いに嵌ったのが27手目の▲4八飛なのだ。2筋をがら空きにしたのが失敗だった。飛車を4筋に転換したところで後手陣は低いので争点がないので攻めることができない。▽4四歩としてくれたら、▽2四飛の転換もできなくなるし4五の地点に争点ができるので▲4八飛も成立する。これが一手一手の水面下の駆け引きという意味なのだ。だから後手は▽4四歩とはしてくれない。それは腰掛銀を働かせて自分の飛車の自由度を減らしてしまう損な手だからだ。 今回はここまでにさせてもらいます。
お礼
なるほど、腰掛け銀の場合は直ぐに角道を開けても問題無かったのか。 だけど相手のあらゆる手に対処するのは難しそうですね。 思ったよりレベルの高い戦法だったようだ。 回答ありがとうございました。