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井伏鱒二の「山椒魚」について
井伏鱒二の「山椒魚」について 『井伏鱒二自選全集』に収録する際に、最後の部分を割愛して改稿したのはなぜなのでしょうか? 教えてくださいっ!(つд`)
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井伏自身が何を考えていたかは不明なので、推測するしかありません。 有力視されていて、まあ、実際それが真相だろうと思われる説は、友情物語として読まれるのが嫌だったから、という理由です。そう読まれるくらいなら、その原因となる部分を削除してやれ、と。 そもそもこの作品は、意地の張り合いの末に共倒れするという、人間の愚かさを風刺した寓話です。要するに山椒魚と蛙は人間のダメな部分を象徴しているのです。にも関わらず、彼らを肯定的に捉える人が多かったのです。最後に友情が芽生えて良かった、とか。 確かに変な友情が芽生えたかもしれませんが、彼らは罵り合い、足を引っ張り合った結果、死んでしまうのです。「良かった」などと言える結末ではありません。 小さな美点のみを取り上げて、大きな問題から目を逸らし、「いい話」として読んでしまう読者達に、井伏は耐えられなくなったのでしょう。だから、自分の作品から徹底的に美点を摘み取って、現実を直視させてやろうとした、というわけです。
お礼
わかりやすい説明ありがとうございます♪ 現文のテストの記述問題で出たので参考にさせていただきました!本当に助かりました☆