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留置権

賃貸借契約が契約期間満了後にもいすわっている旧賃借人が雨漏りのた めに支出した必要費用に基づき留置権を主張できるかという論点があり ますが、196条1項但書により果実を得ている場合には必要費の費用 償還請求が出来ないところ、旧賃借人は賃料相当額の果実を得ている ので、費用償還請求そのものが出来ないように思うのですが?

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回答No.4

 おはようございます。回答への補足にたいする回答です。  196条2項ただし書きでは、悪意占有者が裁判所の期限の許与によって留置権を失うことが規定されています。このことから、196条1項は、善意占有者・悪意占有者双方に適用されます。したがって、悪意占有者が支出した必要費については、返還請求が認められ、留置権が成立します。(つまり、ご指摘のとおり196条は189条・190条と対になっていると言えます。)  今回のように、適法に占有を開始した者が、その後権限を喪失した場合について争いがあるのはご存じだと思いますが、その者も悪意占有者であることに変わりはなく、196条を適用するのが筋であると考えます。196条が存在するにもかかわらず、いきなり295条2項を類推適用するのはいかがなものかと思います。  しかし、事案によっては留置権を認めるのは著しく正義に反する場合もあります。その場合には、295条2項を類推適用する(留置権を喪失させる)ことによって妥当な結論を導き出すべきであると考えます。

その他の回答 (3)

  • cowstep
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回答No.3

No1回答者です。 留置権の原則に立ち返って考えてみると、民法第二百九十五条により、賃借人は、賃貸借契約終了時に、雨漏りの修理のために支出した費用の償還を請求して、その弁済を受けるまで、賃貸借物件を留置することができます。さもなければ、民法302条の規定により、賃借人が必要費用の償還を受けずに契約終了時に退去してしまうと、もはや留置権を行使できなくなってしまいます。 民法297条が適用されるのは、家を留置している時に、その家が誰かに賃貸されていて賃料を生み出したような場合、その賃料を自己の債権の弁済にあてることができるということですから、そのような収益がなければ、血ン省の支出を免れる消極的な利益があるとしても、果実として扱われないでしょう。 そもそも留置権というものは、10万円の時計の修理費が千円であっても成立するように、留置物の価格と担保される債権額とが著しく不均衡であっても成立するものです。そこで、ご参考までに、同時履行の抗弁とセットにしたスワリの良い判例を紹介します。 (最高裁判例 昭和33年03月13日) 物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、原告の請求を全面的に棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。

a1b
質問者

お礼

今回も懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございました。 GOOのシステムが変わってしまって、戸惑っております。 OKWAVEと表示等が統一されたということでしょうか。

回答No.2

 >旧賃借人は賃料相当額の果実を得ているので、費用償還請求そのものが出来ないように思うのですが?  旧賃借人がその家屋を継続使用することによって得た賃料相当額の利益は不当利得となり、所有者に返還しなければなりません(判例)。したがって、旧賃借人は賃料相当額の果実を得ていないと考えます。

a1b
質問者

補足

的確かつ論理明快な回答有難うございます。 なるほど、そのように考えることが出来るのですね。 196条は189条、190条と対になっているとも考えられますが、 196条1項の但書は189条の善意占有者が果実を取得したときとに 、果実を取得したならば必要費ぐらい出せということであって、190 条の場合のように果実を返還しなくてはいけない時には、悪意占有者が 支出した必要費については償還請求を認めてあげるということでしょう か。 今回、問題の事案では、契約終了後も占有を続けている旧賃借人は悪意 占有者であって、果実は取得できない(返還義務が生じる)代わりに1 96条によって必要費の償還請求を認められるという図式と考えればよ いでしょうか?

  • cowstep
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回答No.1

借家契約終了時に借家人が家主に対して費用償還請求権を有している場合(例えば借家の屋根が壊れたのでこれを借家人が修理した場合、本来修理するのは家主の義務であるから、借家人は修理費用を家主に対して請求できる。これを費用償還請求権といい、賃貸借に関する608条に規定がある)には、これを被担保債権として借家の返還義務について留置権を主張できる。 しかし、敷金返還請求、造作買取請求を被担保債権として建物の留置権を主張することは、判例では、建物に関して生じた債権ではないので出来ないとしている。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%99%E7%BD%AE%E6%A8%A9

a1b
質問者

お礼

いつも的確な回答を有難うございます。 その後、自分なりに考えてみたのですが、不法占有につき、家屋を占有していることについて、賃 貸している場合であれば果実があるのは明白ですが、自己使用の場合(実際には旧賃借人は引越し ているものの鍵はまだ持っていて引渡しのみしていない場合もありますし)には、賃料相当額につ いて果実かどうかが争われなかったということでしょうか。 結論としては、仮に果実がないとしても、196条に基づいての留置権は認められのであれば、果 実について争う実益がなかったのか知れませんね。 これが逆に留置権が認められるという結論であれば、賃貸人は旧賃借人は果実を得ているのでそも そも196条1項を主張できないと争ったかもしれませんが・・・。

a1b
質問者

補足

いつも、懇切丁寧かつ的確な回答を有難うございます。 契約期間終了後の必要費の費用償還請求は196条1項によって行うと 思うのですが、但書に果実を得ている場合には占有者の負担とするとあ ります。 契約期間終了後の占有者は、占有していることにより賃料相当額の果実 を得ているとはいえないのでしょうか? これが認められれば、196条1項に基づく留置権そのものの前提が崩 れてしまって295条2項の類推を待たずに留置権は主張できないと思 うのです。 宜しくお願いいたします。

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