- 締切済み
水のギブス自由度の温度依存性
水のギブス自由度エネルギーの温度依存性について調べています。 経緯はというと(1)45℃90%(2)25℃90%で木材の平衡水分に差がありませんでした。 ラングミュアの等温吸着式から(1)-(2)の吸着率が等しくなるかどうか検討してますが 平衡定数はギブス自由度エネルギーを使うところまでは見えてきたのですが、水のギブス自由度エネルギーの温度依存性がさっぱりわかりません。 25℃の水のギブス自由度エネルギーは0.23713[KJ/mol]で 45℃の場合はどのように計算すべきでしょうか? エンタルピーとかエントロピーとかさっぱり理解できません。。。。
- みんなの回答 (5)
- 専門家の回答
みんなの回答
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3293)
> (1)BET式ですがwikiなどではPr<30%以下の低圧領域で良く使用されるとあります。相対湿度30%以下というのは標準状態からもかけ離れた特異なものですが適用しても問題ないのでしょうか? BET式は高相対圧領域では実験結果を説明しきれません.それはその通りですが,そういうことが問題なのではなく,どういう要素が温度依存性に効くのか,という議論のために,比較的簡単なBET式を使ったというだけです. 今回の吸着は,少なくとも Langmuir 吸着は論外ですし,多層吸着しているはずという以上のデータは私にはないわけですから,どのような吸着式を使えばいいかはわかりません.なので,BETを使ってみたという,それ以上でもそれ以下でもありません. > (2) > >木材などのように,親水性が高い表面では,この E1 はEとそれほどには大きく違わないはずです > > ⇒結局、dTよりE1-Eが十分に小さいと言えないといけないということですよね?ここをもう少し理論立てて言ってみたいのですが。。。 吸着熱でも測ってみればいいのではないですか? 低相対圧領域の吸着等温線の温度依存性から議論はできるはずです.直接熱量測定をやってる人もいますしね.豊橋の松本先生とか. > なんとなくイメージ的には温度により吸着メカニズムが変化なければ > 1・雰囲気水蒸気圧で吸着が行われ、 > 2・(飽和水蒸気圧-雰囲気水蒸気圧)の差により脱着が行われ、 > その割合(=相対湿度)により平衡含水分量が決まってくる。 > いう気はしているんですが、間違っていますか? 飽和水蒸気圧では,吸着量は無限大ですから,減少量を議論することはできないでしょう.それに,相対湿度が一義的なパラメータになることについては説明になってませんし. 吸着等温線自体を見ていないし,木材の特性なんか測ったこともありませんので断言はできませんが,90%RHのような高相対圧領域では,#3に書いた毛管凝縮の方が重要に思えてきてますけどね.
- jamf0421
- ベストアンサー率63% (448/702)
木材の平衡水分はLangmuir型の吸着をするとは考えられません。測定にかかる木の水分が吸着由来なら物理吸着です。その場合均一な面という制約はあるのですが、No.1-3さんの書かれたようにBET理論と毛細管凝縮で説明のとおりだと思います。 以下はご参考まで; Gibbsの自由エネルギーとは298Kの液体の水の標準生成自由エネルギーを書かれたと思いますが、それは237 kJ/molで、かかれた数字は3桁小さいです。Gの温度依存性はGibbs-Helmholtzの式 {∂(G/T)/∂T}_p=-H/T^2 によります。ただし今のお話には全く役立ちません。 Langmuirの吸着等温式はV=VsKP/(1+KP)の形をしています。Vsは飽和吸着量、Pは平衡圧、Kは吸着の速度定数をk1, 脱離の速度定数をk2として、K=k1/k2です。Clapeyron-Clausiusの式を使うことによりKについてK=a*exp(q/RT)を得ます。ここでqは吸着熱(吸着のエンタルピー変化にマイナスをつけたもの)です。従ってVの温度依存性も分かりますが、今の場合は繰り返しになりますがLangmuir吸着になるとは考えられません。
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3293)
そうか,もう一つ忘れていました. 木材の場合は,多孔体なので,とくに高湿度条件では毛管凝縮という現象が問題になるでしょう. これは細孔内には飽和蒸気圧以下でも液化がおこるというものですが,ある大きさの細孔にどのくらいの蒸気圧で凝縮がおこるかは,やはり相対圧の関数という形で記述されます.毛管凝縮の基本にあるのは以下のKelvin の式です. ln pr = - (2γHV)/(RT) ここで,γは細孔表面と液体の間の表面張力,Vは液体のモル体積,Hは細孔にできるメニスカスの曲率で,細孔表面上の接触角(木材等では0で近似していいでしょう)と細孔の大きさ(円筒で近似していいなら,その半径)で決まります. つまり,ある相対圧での凝縮量は,ある大きさの以下の細孔が詰った状態であると考えるわけです.その上限の大きさは温度に依存するわけですが,25℃と90℃でもたかだか25%しか違わないし,高湿度領域ではある程度大きいところまで埋まっているので,もうそれ以上の大きさの細孔はあまりないということもありえます.こういう場合にも,温度が変わっても吸湿量があまり変わらないという結果になりえます.
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3293)
説明のための例ということで,BET式を使いましょう.BET吸着等温式は,以下です.ただし,実際の蒸気圧をその温度での飽和蒸気圧で割った相対圧 (水蒸気の場合は相対湿度と同じ) P/P0 を pr とし,吸着量を v,単分子層容量 (分子が表面をいっそうぎっしりと並んだとしたときの吸着量) を vm とします. pr/[v×(1-pr)] = 1/(cv) + pr×(c-1)/(c×vm) ここで,c は温度で決まる定数です.つまり,c の温度依存性がなければ,吸着量は p (絶対湿度) ではなく相対圧 pr,すなわち相対湿度が同じなら,温度が変わっても吸着量は変わらないということになります. ここで,c について考えます.c = c0×exp{(E1-E)/(RT)} で,c0 が吸着媒と吸着質で決まる定数 (温度依存性はないとする),Eは蒸発熱,E1は吸着第一層の吸着熱です.つまり,E1-E が 0 ないし小さければ,c自体の温度依存性も小さくなるということです.E-E1 が大きければcの温度依存性は大きくなり,同じ相対湿度でも吸着量は大きく温度依存するはず,ということになります. 水蒸気吸着の場合,すでに何層分かの水分子が吸着していて,その下地の上に,さらに水分子が乗っかるときは,水の液化と同じことですから,このような過程の吸着熱は凝縮熱(蒸発熱)と同じであると考えます(BETモデルでは).吸着第一層だけは,下地が水ではないので,ここの吸着熱は凝縮熱とは違うだろうとして,E1 として特別扱いしているわけです. しかし,木材などのように,親水性が高い表面では,この E1 はEとそれほどには大きく違わないはずです.であれば,E1-E の項は小さいということは十分にあり得るわけです.25℃と90℃とはずいぶん違うような気がしますが,絶対温度では25%も違わないのです.分母のRTに換算すれば,25℃で 2.5kJ/mol,90℃でも 3.0kJ/molで,大差ありません.なので,E1-Eがこのくらい以下のエネルギー差なら,c の温度変化もたかがしれているということになります.たとえば,E1-E = 5 kJ/mol であれば,90℃と25℃の exp の項の違いは5.3と7.4と,大した差ではありません. BET 式 (に限らず) で相対圧が出てくる背景の細かい話は,吸着理論の本をちゃんと読んでください.
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3293)
自由度エネルギーではなく自由エネルギー. 水の自由エネルギーは求められないわけではないですが,それだけわかっても平衡定数も何もでません. 平衡定数と関係があるのは,その平衡反応の自由エネルギー変化です.ある変化過程でどれだけ自由エネルギーが変化するかが問題なので,水の自由エネルギーなんかをいくら探しても,今の場合,無意味です. 木材の吸湿にラングミュアの吸着等温式を使うことも無意味です.せめてBET式ですが,それでも90%RHのような高湿度領域については適切とはいえません.Frenkel-Halsey-Hill の等温式当たりが妥当でしょうか. しかし,等温式の問題以前に,一般的な吸着の理論では,気相側からくっつこうとする傾向の程度は,絶対的な蒸気含量(蒸気濃度)ではなく,飽和蒸気圧に対する比が重要であるのです.絶対的な濃度がどうであれ,飽和蒸気圧に達したところで,液化がおこり,これ以上の蒸気圧は作りようがなくなるからです.この状態が,原理的には吸着量が無限大に発散するところ,そして,これより蒸気圧が低いところは,この飽和蒸気圧との比の関数として吸着量が減ってくると見るべきなのです. ということで,相対湿度が同じなら温度が変わっても吸着量があまり変わらないというのは,割りと多く見られる現象です. もちろん,ほかにも温度依存するパラメータはありますから,湿度だけで決まるわけではありませんが.
お礼
すばやい回答ありがとうございます。 >一般的な吸着の理論では,飽和蒸気圧に対する比が重要であるのです。 ⇒イメージ的にはわかるのですが、証明せよと言われてまして、平衡状態:(吸着速度)=(脱離速度)から吸着等温式を調べてました。 P/P0が吸着量に比例する式というと、BETの式がいい感じのような気もしますが…何か良い方法はありますかね? >相対湿度が同じなら温度が変わっても吸着量があまり変わらないというのは,割りと多く見られる現象です. ⇒具体例としてはどのようなものでしょうか?考え方の参考にさせていただきたいです。 Frenkel-Halsey-Hill式はすぐに出てこなかったので調べておきます。 ありがとうございます。
お礼
お礼遅くなってしまい申し訳ありません。 丁寧な説明ありがとうございます。 少々質問があります。 (1)BET式ですがwikiなどではPr<30%以下の低圧領域で良く使用されるとあります。相対湿度30%以下というのは標準状態からもかけ離れた特異なものですが適用しても問題ないのでしょうか? (2) >木材などのように,親水性が高い表面では,この E1 はEとそれほどには大きく違わないはずです ⇒結局、dTよりE1-Eが十分に小さいと言えないといけないということですよね?ここをもう少し理論立てて言ってみたいのですが。。。 なんとなくイメージ的には温度により吸着メカニズムが変化なければ 1・雰囲気水蒸気圧で吸着が行われ、 2・(飽和水蒸気圧-雰囲気水蒸気圧)の差により脱着が行われ、 その割合(=相対湿度)により平衡含水分量が決まってくる。 いう気はしているんですが、間違っていますか?