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標準ギブス自由エネルギーについて
講義で使用している教科書の演習問題で、 「1200KでのWO3(s)、・・・の標準生成ギブス自由エネルギーΔG0は、それぞれ-540、・・・kJ/molである」 と書いてあるのですが、標準生成ギブスエネルギーは標準状態での 反応のギブスエネルギーですよね? けれど上では「1200Kでの・・標準生成ギブスエネルギーは・・・」 となっています。 どういうことなのでしょうか? また、別の演習問題の解答で、 ΔG0=-RTlnKpに、 2000Kでのギブスの自由エネルギー変化ΔG0:‐30.98kJ/mol、 温度T:2000K を代入して圧平衡定数Kpを求めているのですが、 このΔG0は「標準状態」でのΔGを代入しなくてよいのですか? よく理解できません。 どなたかお教え下さい。
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不幸なことに、「標準状態」という言葉には、二つの意味が有ります。 (1) Standard conditions for temperature and pressure http://en.wikipedia.org/wiki/Standard_conditions_for_temperature_and_pressure (2) Standard state http://en.wikipedia.org/wiki/Standard_state ウィキペディア日本語版で「標準状態」を引くと、(1)の意味しか載っていません。高校の化学でも、「標準状態(0℃,1気圧)」または「標準状態(298K, 100kPa)」のように習ったと思います。しかし、ふつう化学熱力学では、「標準状態」といえば、(2)の Standard state を意味することが多いです。質問者さまの教科書でも、(2)の意味で「標準状態」という言葉を使っているのでしょう。 さて標準生成ギブス自由エネルギーは、standard thermodynamic quantity (標準熱力学量) と呼ばれる物理量のひとつなのですけど、Gold Book (IUPACという化学者の団体が編纂した、化学用語の定義集)によれば、 standard thermodynamic quantities: Values of thermodynamic functions in the standard state characterized by a standard pressure, molality or amount concentration, but not by temperature. (以下略) とのことです。 http://www.iupac.org/goldbook/S05927.pdf 標準なんとかエネルギーというと、つい298Kのときの値のように思いがちですので、この定義では、わざわざ「温度は何度でもいいんです」と断っています。逆にいうと、標準なんとかエネルギーを報告するときには、何度での値なのかを明示しなくてはならないことになっています。教科書の巻末などに、「(1)の意味での標準状態」におけるΔG0やΔH0の表が載っていると思うのですけど、「298Kの値であること(もしくは273Kの値であること)」が付記されているはずですので、確認してみて下さい。
東大の講義ノート、によれば。 標準生成エンタルピー: 物質を基準状態の構成元素から生成する反応の標準反応エンタルピー (基準状態: その温度、標準圧力 (1 bar) で最も安定な元素単体) 標準生成ギブスエネルギー: 物質を基準状態の構成元素から生成する反応の標準反応ギブスエネルギー (基準状態: 標準生成エンタルピーと同じ) ↓と書いてあるので、その温度ですね。 http://www.frad.t.u-tokyo.ac.jp/~miyoshi/ThDy2004/note40.pdf
お礼
標準~、といっても必ずしも298Kのときの値ではないのですね。 謎が解けました! ありがとうございます。