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非常用漢字の字形について
「喩」という字の右側と「輸」という字の右側は元々同じだったのが、後者のみ常用漢字であるため新字体が作られたのだと思っていたのですが、漢字辞典を見ていると「愈」という字が出てきました。この字は常用漢字でないにも拘らず、新しい形です。これは何故なのでしょうか。 もうひとつ。 私は、例えば「饉」という字を書くとき、よほど重要な書類でない限りはあえて普通の食篇を用いています。これは新旧の字体が併存するのはいわゆる大人の事情なのであって、そもそも歴史的に見ても区別する必要のないものを区別するのは無意味であり合理的でないと思うからなのですが、この主張は的を射ているでしょうか。またそのいかんに拘らず、現時点で正しくない字体を使うのはやはり避けるべきなのでしょうか。 よろしくご教示願います。
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- garamond
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1.初めに書かれた通りです。 御覧になった漢【字】辞典はパソコンで出る字をそのまま収めた、一種の用字辞典でしょう。 ちゃんとした漢【和】辞典では、 「愈」(「愉」の右旁の形*)は俗字 とされています。 * このように書くわけは、XPとVistaで違う字体に見えているからです。 実は1978年のJISでは正字だったのを1983年のJISが勝手に略字に変えたのです。 2004年のJISで正字に戻されています。 『愈』←この画面をXPで見ている人はJIS1983の俗字(「愉」の右旁の形)として表示されていますが、Vistaで見ている人にはJIS2004の正字(「偸」の右旁の形)として表示されています。 質問者さんはXPのようですので、まず下記を御覧下さい。 http://www.asahi-net.or.jp/~ax2s-kmtn/ref/jis78-83.html 字形・字体を変更したもの(254字) JIS #4C7C ですね。 これをVistaで見ると、画像でないテキストのほうは正字に化けるので、違いが分かりません。 下記はこれに懲りて(?)両方画像にしてあるので、XP、Vistaのどちらで見てもOKです。 http://www.asahi-net.or.jp/~ax2s-kmtn/ref/jis2000-2004.html 印刷標準字体に変更したもの(168字) 2.お書きになった通りです。 当用漢字が明朝体を手書きに合わせるなどと要らないことをしたために、示ヘン、食ヘン、シンニョウの三部首の字は大混乱状態になっています。 JIS1983が独自の判断で 逢 迂 迦 逗 遡 遜 腿 辿 槌 鎚 辻 遁 謎 這 樋 逼 蓬 迄 鑓 漣 のシンニョウの点を一つに減らしたのですが、これもJIS2004でもとに戻されたので、Vistaでは点が二つです。 「絆」の右旁は「半」ではないとか、「餃」の食ヘンは「飯」の食ヘンと違うなどと言って、筆書き書体のフォントで“明朝もどき”の字体をこしらえるに至りました。 明朝は明朝、楷書は楷書なので、当用漢字が余計なことをしなければこんな事態にはならなかったのですが、当用漢字を決めたときは、表外漢字は公式にはいっさい使わず、書き替え(衣裳→衣装)か仮名書き(分娩→分べん)にするので、当用漢字の中で整合性が保たれれば、使わない字のことを斟酌する必要はないし、なまじ言及すれば漢字制限が骨抜きになるおそれがあるから、無視するということだったのでしょう。 昨今の難字クイズなどは行き過ぎの側面もありますが、当用漢字(常用漢字)だけで用が足りるわけがありませんね。
お礼
詳しいご解説ありがとうございます。 JISが元の字に戻したというのは残念ですね。JIS等や行政が主導すれば当用漢字の枠にとらわれず形の統一ができるでしょうに。 しかし一時でも新しい形を採用したということは現状を煩わしを考える動きが少なからずあるということなのでしょうね。 尚、私が参照した辞書はCASIO電子辞書に収録の漢字源2003年版、質問の投稿はN904i型携帯電話端末からです。 俗字である点には言及されていませんでしたが電子辞書機側の都合で表示が俗字になっていたのかもしれません。 常用漢字、当用漢字などという用語についてはまた調べておこうと思います。