まだ手を抜きすぎのようですんで、もうちょっとだけ頑張ってみましょう。
(本気で読んで理解しようとしない方が良いですよ。あらすじだけ追って下されば幸いです。)
●Rを実数の集合とする。連続関数f:R→Rが、∀x∈R,∀y∈R;f(x+y)=f(x)f(y)であるならば、∀x∈R; f(x)=0 もしは ∃a>0; ∀x∈R; f(x)=a^xです。特にlim{x→0}(f(x)-f(0)/x = 1である場合、a=eになります。これを複素数に拡張します。
●Cを複素数の集合とする。連続関数f:R→Cが、∀x∈R,∀y∈R;f(x+y)=f(x)f(y)、lim{x→0}(f(x)-f(0)/x = 1であるならば、∀x∈C; |f(x)|=0 もしは ∃a(a∈R∧a>0∧∀x∈C; |f(x)|=a^xです。ここで
g(x) = a^(-x)f(x)
という関数gを導入すると、連続関数g:R→Cは∀x∈R,∀y∈R;g(x+y)=g(x)g(y)、∀x∈R;|g(x)|=1である。そこでg(x)の実部をc(x), 虚部をs(x)と書くことにします。つまりg(x)=c(x)+i s(x)。するとc,s:R→Rは連続関数であり、
g(x)g(y) = (c(x)c(y)-s(x)s(y))+i(s(x)c(y)+c(x)s(y))
を満たす。故に、
|g(x)|^2 = (c(x))^2+(s(x))^2=1
であり、さらに加法定理
∀x∈R,∀y∈R;c(x+y)=c(x)c(y)-s(x)s(y)
∀x∈R,∀y∈R;s(x+y)=s(x)c(y)+c(x)s(y)
を満たさなくちゃならない。これらを満たすc(x),s(x)を求めよ、という問題です。
●そこでまず、実数の無限列{c[n]}, {s[n]} (n∈N, Nは0を含む自然数)を以下のように定義します。
c[0]=0,s[0]=1
∀n∈N; c[n+1]=√[(1+c[n])/2]
∀n∈N; s[n+1]=√[(1-c[n])/2]
とすると、(c[n]^2+s[n]^2=1ですね。)
このとき、{(2^n)s[n]}はn→∞で収束します。この収束値をαとしましょう。
●次に、∀β∈R, β>0について、
・加法定理を満たし、しかもc((2^[-n])β)=c[n]、s((2^[-n])β)=s[n]であるような連続関数s,c:R→Rが一意的に存在することが(なかなか手間が掛かるけど)証明できます。(従ってc(β)=0, s(β)=1です。)しかもそのs,cは
∀m∈Z (整数)、∀n∈Nに対して、x=m(2^[-n])βとおくと(c[n]+i s[n])^m=c(x)+i s(x)
を満たすことが示せます。
すると区間[0,β]に於いてcは単調減少、sは単調増加であって、n→∞のとき、s((2^[-n])β)/((2^[-n])β)→α/βとなります。これをもとにして、
x∈Rに対して lim{x→0}s(x)/x=α/β
が証明できます。そこでβをβ=αに固定してしまいます。(あとまだこちゃこちゃしたことをやらなくちゃいけませんが、)かくて
●cos = c、sin = s、π=2αと定義すると、
(cos(x))^2+(sin(x))^2=1
∀x∈R,∀y∈R;cos(x+y)=cos(x)cos(y)-sin(x)sin(y)
∀x∈R,∀y∈R;sin(x+y)=sin(x)cos(y)+cos(x)sin(y)
x∈Rについてlim{x→0} sin(x)/x = 1
∀x∈R; e(ix) = cos(x)+i sin(x)
その他、sin,cosの性質一式やπの値の計算方法などが導き出されます。
以上、冪級数は使ってないし、だから加法定理もすんなり出てきたわけです。
●関数p:R→R×R、∀θ∈R; P(θ)=<cosθ, sinθ>を考えると、
∀θ; |p(θ)|^2=(cosθ)^2+(sinθ)^2=1
です。ここでθを「角度」と呼ぶことにする。pを「単位円」と呼ぶ。そして円弧を実数の区間[η,ξ]のpによる像として定義します。
さらにsin,cosの微分。結果だけ言えば、ご承知の通り
d(sinθ)/dθ=cosθ、d(cosθ)/dθ=-sinθ
です。これで円の話はだいたいできた。
●次に解析幾何学に於けるユークリッド距離の概念を構成しなくちゃいけない。
一般に曲線は連続関数u,v:R→Rによって、連続関数l:R→R×R, l(t)=<u(t),v(t)>を定義し、その長さを
integral{t=x~y}|l(t)|dt
と定義します。従って円弧の長さは
integral{θ=η~ξ} |p(θ)| dθ
と定義することになり、線分はu,vがtの一次式である場合に相当するわけです。
●このようにして、図形のイメージを全然使わないで解析幾何学を構成していくと、ようやく等周問題を論じられるようになる。いやはや大変ですね。
お礼
ありがとうございます。 その後、私自身の理解も深まりました。 結局、 >曲線の長さは、「曲線に内接する折れ線の長さの上限」と定義されます ということで尽きていると思います。 アルキメデスは円周を正多角形の周の長さ(の極限) で定義しているわけですね。 そうすると外接多角形の方が周の長さが長いのは 当たり前ですね。 どうも長い間おつきあいいただきありがとうございました。