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鉄鋼材料の引張強さに対する歪速度(ひずみ速度)と温度の影響

高張力鋼などの鉄鋼材料の引張試験で、歪速度が大きい場合は引張強さが上昇するらしいですがこれは何故なんでしょうか? SUS304とかの準安定オーステナイト系ステンレス鋼などは、歪速度が大きい場合は試験片の温度が上昇し、マルテンサイト相が出にくくなって結果的に引張強さが小さくなる場合もあるらしいですが・・。 また温度が上がると引張強さが下がるのは、これまた何故なんでしょうか?確かに経験的には高温の方が、材料が変形しやすいのは何となくわかるんですが、熱間圧延とか。 高温の方が転位が動きやすいからなんでしょうか?

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  • h191224
  • ベストアンサー率81% (119/146)
回答No.1

質問が見かけ上3つありますね。 (1)歪速度が大きいと、引張強さが上昇するのは、なぜか? (2)歪速度が大きいと、試験片の温度が上昇するのは、なぜか? (3)試験片の温度が上昇すると、引張強さが下がるのは、なぜか? 順番に行きましょう! (1)歪速度が大きいと、引張強さが上昇するのは、なぜか? これは、力の釣合方程式 mα+cv+ku=f を考えるとわかります。 力=f 変位項=ku 速度項=cv, v=du/dt 加速度項=mα, α=d^2u/dt^2 まず、数十Hzの繰返速度で行う疲労試験は別として、引張試験の歪速度では、加速度項は無視できるのが普通です。 速度項は、材料が持つ粘性抵抗によって生じ、これがこの話題の主役です。 加速度項を無視した方程式は cv+ku=f となります。 ここで、速度項は、歪速度εtと比例関係にあり、試験を歪制御で行う場合、εt=一定、すなわち、v=一定で行うことになります。 この式から、vの項が大きくなればなるほど、同じ変位を出すための力が大きくなることがわかります。 これは、ドアの上に「バタンと閉じるのを防止するダンバー」がついている場合、無理に閉めようとするとメチャメチャ力が必要となることからも直感的にわかります。 要するに、歪速度が大きくなれば、大きな力が必要となり、応力は 応力=力/断面積 ですから、引張強さに限らず、弾性係数も、耐力も大きくなります。 荷重制御で試験を行う場合には、 f=bt(bは比例定数) と置いて、微分方程式を解くことになりますが、得られる結果は同じです。 (2)歪速度が大きいと、試験片の温度が上昇するのは、なぜか? これも速度項の影響です。 発熱は抵抗力に比例すると考えられます。 歪速度を大きくして試験を行った場合、または、歪速度が同じでも粘性抵抗の高い材料の場合、発熱は大きくなり、これが温度上昇に結びつきます。 だから、この発熱が試験片の特性を変化させないように、試験条件を選ぶ必要があります。 金属の低サイクル疲労試験で、結果を早く出そうとして周波数を上げると、速度項が大きくなって発熱を招き、試験片がまっ赤っ赤になってしまいます。 プラスチック材料の高サイクル疲労試験などでは、数Hzぐらいの周波数でもアッチッチ状態になって、材質が変わってしまいます。疲労試験を行っているつもりが、クリープが入ってきてしまって、現象の切り分けが困難に。。。プラスチックの疲労データが少ないのは、データ採取が非常に困難だからです。 (3)試験片の温度が上昇すると、引張強さが下がるのは、なぜか? これについては、 「引張強さ 温度上昇 低下」 などというキーワードを設定して、Googleあたりで調べれば、類似の質問があって、その回答がありますので、参照しましょう。

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