固有ベクトル求め方
3×3行列
A=
[ 7 2 2 ]
[-6 -1 -6 ]
[ 2 2 7 ]
を対角化できるかどうか判定しなさい。
対角化できれば、対角化する行列P
を1つ求めて、実際にP^(-1)AP を計算して対角化して下さい。
という問題の解法について、いまいちわからないことがあるので、質問します。
解法
まず固有値を求めます。
固有多項式は、Ψ(λ)=(λ-3)(λ-5)^2
で、λ=3、λ=5(重根)となります。
重根の場合、対角化できるか調べるために、
B=A-5Eとして、Bの階数(rank) を調べます。
B=
[2 2 2]
[-6 -6 -6]
[2 2 2]
となり、rank=1 よって、重根でも対角化できる、と結論づけて大丈夫なのででょうか?
別な判定方法として、最小多項式を求めて、これが重根ではなかったら「対角化できる」という判定方法があると思います。実際にこの問題の場合は、
(A-3E)(A-5E)=0となり、
最小多項式ψ(λ)=(λ-3)(λ-5)で重根を持ちません。
この判定方法は、前者の方法と「同値」なのでしょうか。同値であれば、その数学的理由を教えて下さい。
次に実際に固有ベクトルを求める過程での質問です。
λ=3についての固有ベクトルpは、
(A-3E)p=0 より
[1]
[-3]
[1]
と容易に求めることができます。
重根のλ=5に対する固有ベクトルの求め方について。
(A-5E)p=0
pの固有ベクトルの成分をxyzとします。
x+y+z=0となります。つまりrank=1となります。この式を満たす一次独立なベクトルを2つ見つけます。
x+y+z=0を満たす適当な数字を考えて
x,y,z)=(1,1,-2)と(1,0,-1)
としました。よってP=
[1 1 1]
[-3 1 0]
[1 -2 -1]
としました。そしたら、対角化できました。
しかし、一般的な解法(演習問題の解法)は、
x+y+z=0 より、x=-y-zなので、
s、tを媒介変数として、
x=-s-t
y=s
z=t
より、
(x,y,z)=s(-1,1,0)+t(-1,0,1)と書けるので、
このλ=5に対する独立した固有ベクトルは、(-1,1,0)と(-1,0,1) である。
以上より、対角化する行列P=
[1 -1 -1]
[-3 1 0]
[1 0 1 ]
P^(-1)AP=
[3 0 0]
[0 5 0]
[0 0 5]
と対角化する、という方法をとります。わざわざ媒介変数stを使ってやるのは何故でしょうか。また、2つの固有ベクトルを直交するようにとってみました。
P=
[1 1 1]
[-3 -1 1]
[1 0 -2]
として計算したも対角化できました。結局、x+y+z=0を満たす独立なベクトルだったら、本当に何でもいいということですか?