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実務上「法条競合」を考える必要があるのでしょうか?

刑法の罪数の問題で、一個の行為が複数の罪名に触れる場合、法条競合の特別関係(特別法が一般法に優先)と、観念的競合(最も重い刑で処断)があります。 特別法の刑が一般法の刑より重い場合、特別法が優先するのはわかりますが、例えば…… 1. 国家公務員には守秘義務があります(国家公務員法第100条第1項)。 2. 労働基準監督官には守秘義務があります(労働基準法第105条)。 労働基準監督官は国家公務員に含まれますので、1と2は一般法・特別法の関係にありますが、 1の違反は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(国公法第109条第12号)。 2の違反は、30万円以下の罰金です(労基法第120条第1号)。 このように、特別法のほうが刑が軽くなっています。労基法の条文が監督官の守秘義務違反の刑を軽くする趣旨で定められているわけはないので、この場合は観念的競合とみて国公法の守秘義務違反で処罰されることになるものと思います。 以上のように考えると、どちらにしろ重い刑を適用することになるので、実務上は観念的競合の考え方だけでいけるのではないか? という気がします。ただ、一般法の刑を軽くするために特別法が定められている場合は別です。 そこで、「一般法の刑を軽くするために特別法が定められている場合」の例をご存知の方がいらっしゃったら教えてください。よろしくお願いします。

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.2

 窃盗と森林窃盗(森林法197)ではどうでしょう。  森林の産物に限って,法定刑を軽減しています。

Tabcatcher
質問者

お礼

森林法の規定は、まさに刑を軽くする特別法なので、法条競合の考え方は必要ということだと思います。実務上もこちらを適用しているようですし。 森林法には「贓物」の規定もあるので、これも該当しますね。 森林放火に関しては、刑法にある「公共の危険」の要件がないので微妙に違う気がしますが…… 教えていただいてありがとうございました。

Tabcatcher
質問者

補足

森林法については、把握しておりませんでした。

その他の回答 (1)

  • un_chan
  • ベストアンサー率60% (219/365)
回答No.1

 まず,質問とは別の部分ですが。。。  国公法109条12号と労基法120条1項の関係は,「観念的競合」ではなく,国公法1条5号によって,国公法が優先することになります。 >「一般法の刑を軽くするために特別法が定められている場合」の例  とはちょっと違いますが,虚偽公文書作成罪(156条)と,公正証書原本不実記載罪(157条)の関係は,157条が,非身分者による156条の間接正犯を軽く罰するものですね。  また,「盗犯等の防止及処分に関する法律」1条も,正当防衛(36条1項)の成立要件を緩和するものなので,「一般法の刑を軽くするために特別法が定められている場合」にあたると思います(これもTabcatcherさんが考えられているイメージとは違うでしょうね).

Tabcatcher
質問者

お礼

刑法156条と157条は構成要件が微妙に違うので、間接正犯といえるのかはわかりませんが、考え方としてはわかりました。競合というより身分犯の分野のようにも思えます。 「盗犯等の~」は、まさに「一般法の刑を軽くするために特別法が定められている場合」だと思いますが、正当防衛は違法性阻却事由であって構成要件ではないので、罪数の問題とは違いますね。 難しいところでしたが、どうもありがとうございました。

Tabcatcher
質問者

補足

国公法1条5号については、把握しておりませんでした。

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