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民法の担保責任について

こんにちは。担保責任につきまして2点質問させていただきます。 1 担保責任において、「無過失責任である」「特定物が対象」とされるのは瑕疵担保責任のみでしょうか? それとも担保責任全般が「無過失責任」「特定物が対象」なのでしょうか? 2 用益権や担保権による制限が付いていた場合の担保責任では、同時に債務不履行責任を問うことは可能なのでしょうか? 「用益権・担保権が付いてるなんて、不完全履行だ!」 「用益権・担保権を外してくれないなら履行不能だ!」 「用益権・担保権を約束の日までに外してくれないと履行遅滞だ!」 と言えるのでしょうか? 宜しくお願い致します。

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回答No.1

問1 担保責任において、「無過失責任である」「特定物が対象」とされるのは瑕疵担保責任のみでしょうか? それとも担保責任全般が「無過失責任」「特定物が対象」なのでしょうか? 答 瑕疵担保責任(民法570条)の趣旨は,特定物引渡し債務については,483条により,現状引渡しにより債務不履行とならないことから,債権者保護(有償契約の対価的均衡の確保)のために特別に規定された法定責任です。  570条と同趣旨の規定は,565条,566条です。  これらの場合は,債務者が事後的に瑕疵を治癒させられない場合です(これを「Aグループ」とします。)。  たとえば,家屋の地盤が思ったよりゆるかったり,古銭としての小判に傷が入っていたりしていた場合,売主としてはいかんともしがたいところがありますよね。  用益物権についても,それには契約期間があったり(地上権・永小作権),所有権に付属している(地役権)のだから,権利者が納得しない限り,除去することは困難です。  そこで,現状引渡しにより売主には原則として債務不履行責任がないものとする代わりに,買主に解除や損害賠償請求を認めるわけです。  しかし,日常的に行われる売買等の特定物引渡し債権において債権者を保護する要請は,隠れた瑕疵によるものにとどまりません。  そこで,債務不履行責任の特則としての担保責任も存在します。  これは,債務者が契約後に瑕疵を治癒させられる(たとえば,他人から目的物を買い取ったり,抵当権を抹消させることが求められる)場合です。(これを「Bグループ」とします。)   この規定としては,561条,562条,563条,564条,567条があります。  一方,売買の目的物が不特定物である場合,瑕疵ある物を提供しても,「債務の本旨に従っ」た提供(493条)ではなく,「債務者が物の給付をするのに必要名行為を完了し」たことにならず,特定しませんから,債権者は,引き続き瑕疵のない物の給付を請求することができますから,それを履行として受領しない限り担保責任の追及を認める必要は有りません。    このように,債権者が受領した特定物について,債権者を保護する要請は,瑕疵担保責任に限らず,一方,不特定物の場合には,担保責任により保護する必要がありませんから,「担保責任全般が『無過失責任』『特定物が対象』」といえます。 問2 用益権や担保権による制限が付いていた場合の担保責任では、同時に債務不履行責任を問うことは可能なのでしょうか? 「用益権・担保権が付いてるなんて、不完全履行だ!」 「用益権・担保権を外してくれないなら履行不能だ!」 「用益権・担保権を約束の日までに外してくれないと履行遅滞だ!」 と言えるのでしょうか? 答 まず,問1のAグループについては,原則として債務不履行責任は追及できません。  根拠は,483条です。  ただし,当事者間で,瑕疵ある場合の保証特約があれば,債務不履行責任に相当する損害賠償請求をすることができます。(具体的には,損害賠償請求の範囲について,特約がなければ信頼利益相当額の賠償しか求められないが,特約がある場合,履行利益相当額の賠償が求められる。)    一方,Bグループについては,債務者の故意又は過失で瑕疵の治癒ができなかった場合には,担保責任とは別に債務不履行を追及できます。 →最高裁昭和41年9月8日判決 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27976&hanreiKbn=01

soubioune
質問者

お礼

今まで目にしたことがなかった説明で、目から鱗の内容でした。100%理解できておりませんが、今後何度も読みかえしていこうと思います。ありがとうございました。

その他の回答 (1)

  • unya_unya
  • ベストアンサー率54% (19/35)
回答No.2

No.1さんの回答は、いわゆる法定責任説に立った説明です。 瑕疵担保責任については、よく知られているように法定責任説と契約責任説の争いがあります。 最高裁判例も法定責任説に立っているとは言われますが、教科書的な法定責任説とまではいかないようで、かなり曖昧な部分があるようです。 ご参考まで。

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