#3さん少しふれていますが、私もミトコンドリア・イブについて少し、書かせて頂こうと思います。
一般的に言う人間の遺伝情報は核の中のDNAにあります。そしてこの遺伝情報は両親から半分づつ受け継ぎます。
ところが、この核とは別の器官であるミトコンドリアも内部にDNAを含んでおり、独自の遺伝情報を持っていることが知られています。この説明としては、ミトコンドリアは元来別の生物であって、それが共生するようになったのだと言うことです。
ミトコンドリアの場合、遺伝情報は両親から半々に受け継ぐわけではありません。精子の図をごらんになった事があると思いますが、オタマジャクシの頭の部分に核があり、尻尾の部分に鞭毛があり、尻尾の付け根の部分にミトコンドリアがあります。そして受精時にこの鞭毛とミトコンドリアは切り離され、核のみが卵内に入ります。ですから、新個体のミトコンドリアは卵に由来するものです。そこでミトコンドリアが母系遺伝だと言われるのです。
人間界では一卵性双生児が同一の遺伝情報を持つクローンであることは知られていますが、ミトコンドリアにおいては同一の母系に属するすべての個体がクローンとなるわけです。
ただ、ごくわずかな確率でこのミトコンドリアの遺伝情報にも突然変異が起こります。この確率はエックス線などの外的要因を除けばほぼ一定ですから、全人類のミトコンドリア遺伝子を調べてその最大公約数的なものがわかれば、これが人類の最初の女性のミトコンドリアだろうということになります。
ミトコンドリア・イブについて、#2の方は最初の女性と仰っていますが、私はその女性が持っていたミトコンドリアのことと記憶しています。
突然変異が一定確率だとするならば、このミトコンドリア・イブにもっとも近い遺伝情報のミトコンドリアを持っているのが、新しい人類だと言えますし、逆に多くの差違があるミトコンドリアを有しているのが、古くからの世代の人類と言えます。そうしてみると、人類の起源はアフリカに由来するということなのだそうです。
同じように、父系遺伝の要素をY染色体の中から取りだし(父系遺伝はY染色体の中にしかあり得ません)調べるとこれもアフリカ起源だというこということです。
さて、話がずいぶんそれてしまいましたが本題に戻ります。
アダムとイブがいたのか、いないのか? これは私には何とも申し上げられません。それは結局はあなた次第だと思うからです。
アダムとイブは旧約聖書の登場人物ですから、ユダヤ教とキリスト教を信じている人には確然と居たのでありましょうし、信じない人にとってはいなかったということになりましょう。つまり「あなたは神を信じますか?」とい問いかけとほぼ同義と思います。
科学の発達により、中世キリスト教の「大地は平面である」という世界観は崩れ去りました(崩れ去ったと言ってしまって良いかどうかも問題ですが)。動揺を覚えた敬虔な信者の中には神の存在を科学によって実証しようとした人たちもありました。
そういう人たちにとっては、先のミトコンドリアの話を引き合いに、やはりアダムとイブは実在したのだ、と言えるのでしょう。しかし逆に他の宗教を信じている人にとってはそのように命名されること自体苦痛なのかもしれません。
科学的な話に戻りますが、現在広く受け入れられているダーウィン進化論を基礎にしたとしても、人類最初の人が特定の二人であったとは断言できないと思います。人類の最初は特定の二人ではなく、特定の生物集団かもしれないからです。