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外国での主権行使(日本人学校、在外選挙)
教育を受ける権利は憲法で保障されているのに、在外日本人子女にはその保護が及びません。文部科学省や財団が日本人学校に補助やら教員派遣やらを行っていますが、本来は国の責任で義務教育が無償で与えられるべきと言う認識さえされていません。外国には日本の主権が及ばないからだと説明されています。 しかし最近は在外日本人が日本の選挙に投票することができます(面倒な手続きや要件はありますが)。憲法に定められた権利を行使するためだそうで、比例区だけ投票できて選挙区に投票できなかったら違憲判決が出るほど「在外国民にも選挙権が保障されるべきだ」という認識があるようです。 なぜ在外国民子女に教育権が保障されないのでしょうか? なぜ在外選挙は外国の主権を侵害しないのでしょうか? 在外選挙が出来るのだったら国立日本人学校だって出来そうなものですが、両者にダブルスタンダードを感じます。 「私はこうだと思う」的なご意見も参考になりますが、本件を考える上で参考になる文献又はウェブページをご存じの方は御教示いただければ幸いです。
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整合性という点では、権利の性質が違うので問題にはならないでしょう。 まず、国家の権利(国家の教育権)と、国民の権利(教育を受ける権利、選挙権)は区別して考える必要があります。 外国にいる日本人の教育を受ける権利を保障することが外国の主権を侵害するのではなく、日本国が外国において日本国の教育権を行使することが外国の主権としての教育権を侵害するということです。 考えすぎと言うかもしれませんが、かつて、日本は朝鮮を併合して、日本の教育を行いました。このように教育というのは、他国を自国の支配下に置く手段としても用いられるものです。たとえ日本人のみを対象としていたとしても、外国政府の関与を排して、外国に日本政府の影響下にある日本人コミュニティーを作ることにもなりえます。このように日本政府が主体となって外国に公立学校を設立するということは外国の主権侵害になる可能性があります。 選挙の場合は、国には選挙を実施する義務はあっても、選挙を実施する権利があるわけではないので、主権の問題にはなりません。 また、教育を受ける権利は、第一には、その人が居住している国によって補償されるべきという考え方もありえるでしょう。例えば、日本に住んでいる外国人でも、公立小中学では無償教育を受けることができます。これも、外国政府が日本国内で外国の教育権を行使できないということと表裏一体の問題です。外国政府が日本国内の自国民に対して教育を自由に行うことは認められない以上、日本政府がが代わって外国人の教育を受ける権利を補償する必要があるということになります。この反対解釈として、外国に住んでいる日本人の教育を受ける権利は、第一には、外国政府が補償すべきということになります。 これに対して、選挙権は国籍国によって第一に補償されるべき権利となります。よって、日本に住む外国人には日本の選挙権は補償されませんが、外国に住む日本人には日本の選挙権を補償しなければならないことになります。
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- mat983
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比較的近いアジアならまだしも、アフリカで生活される日本人の方もいらっしゃいます。 (在外日本人で3ヶ月以上の長期滞在者と永住者は2001年で84万人) これらの方にご主張のことをした場合、コストが膨大になります。 借金まみれの財政で国債を発行している現状に置いて、現実的ではありません。 恐らく国民は反対します。 また、国立日本人学校を大勢が居住する部地域だけに限定することは整合性に問題があるでしょう。 今の在外日本人子女等への教科書の無償給与まででしょう。
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参考になるご意見をありがとうございました。
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早速のコメントをありがとうございます。 但し私の問題意識とは食い違いがあります。おそらく私の書き方が拙かったのでしょう。 「その権利は保障すべきだが、現実には財政上困難である(全員は救済できない)」 → こういう趣旨であれば私も同じ意見です。 「その権利は、現実には財政上困難なので、保障する義務はない(誰も救済できなくても仕方ない)」 → こういう趣旨であれば私は違う意見です。 私の問題意識を言い換えれば 「現実には財政上困難であっても、その権利を実現可能な限り保障する義務がある」 → 子女が多くて現地国政府の了解が得られれば、国立日本人学校も選択肢だと思います。「全員が救済されない以上、一部だけ救済するのは整合性に問題がある」というのは変だと思います。財政上困難という理由であれば仕方ないのですが「外国だから主権は行使できない」という時点で思考停止して門前払いしているような気がしてなりません。もし財政に余裕が生じれば法的には問題ないのかを知りたいです。選挙権の場合、政府は実現可能な限り投票を実現すべく努力しています。 後ほどまた改めてお礼申し上げます。
お礼
参考になるご意見をありがとうございました。
補足
丁寧なコメントをありがとうございます。 頭の中が半分程度すっきりしました。 なるほど、現地国政府が(日本人を含む)外国人子女に(日本の普通教育と同等の…同じでなくて良いが、そこで学べば日本の高校進学が認められる程度の)普通教育の機会を提供しているのであれば、在外日本人子女の権利は保障されていると思いますし、(授業料の問題は別にして)在外日本人保護者の義務も果たせると思います。 しかし、そうではない国も多いと思うので、そのような在外日本人子女に(現地国政府の了解が得られる限り、また財政的に可能な限り)義務教育の手段を講じることは、日本政府の義務ではないのかという疑問が消えません。 「義務だが制約がある」というのと「制約があるので義務ではない」というのは違うように思います。 選挙権の話は分けて考えるようにしますが、外国で日本人用の投票所をあちこちに設置すると主権侵害のような気がします。大使館内だから主権侵害にならないのであれば、大使館内で日本人子女に授業をしても構わないと思います。もう少し調べて(考えて)みます。 後ほどまた改めてお礼申し上げます。