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Qualis artifex pereo!
Qualis artifex pereo! を構文解析してみます。 Qualis このように artifex 芸術家が pereo 私は死ぬ artifex の語尾が見慣れない形をしているのはどういうわけですか? またQualis の別形もありますか?
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Qualis artifex pereo! ネロの辞世の句ですね。これは英語では What an artist the world is losing by my death! 私の死によって世界は何て芸術家を失おうとしているのだ。 と意訳されています。単語の数が随分違いますが、ラテン文を見てみると qualis artifex = what (an) artist これらはともに単数主格でartifexは第3変化に属し、単数属格はartificisとなります。このような変化(単数主格がexやix)をするものは他にindex, matrix, nutrixなど多くあります。第3変化は単数主格が様々な形であるのが特徴です。 qualisは元々疑問詞ですがここでは英語と同じように感嘆文で用いられています。 この主格のqualis artifexはpereoの隠れた主語egoに対して同格になっています。ラテン語の同格は意味するところが多く、ここではas(~として)の意味です。これは芸術家である私が死ぬということは私は芸術家として死ぬと考えられるからで、ネロは自分の死を芸術が失われることと考えていたらしいです。英訳はそれを踏まえてpereo(正確に言えば現在形なので、死につつある I am dying です)を「世界が失おうとしている」と意訳しています。 ラテン語に即して訳せば As what an artist I am dying! 私はなんという芸術家として死に臨んでいることか! ぐらいでしょうか。
お礼
どうして奪格じゃないのかと思ってましたら、同格で主格だったんすか!ありがとうございます。