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時効取得できるのでしょうか?
突然、隣地の公団住宅が、登記簿上公団住宅の土地である一部を我が家が占有しているということで、その部分の土地の返還を求めてきました。土地は昭和43年に祖父が購入し、家を建て住んでいましたが、昭和48年に父にその土地と家屋を譲り(移転登記済み)現在に至っています。その間、家を平成8年に建て替えた時、土地の測量面積が登記簿の面積より多いと思っていましたが、住宅メーカーも何も指摘しなかったので気にかけませんでした。祖父はすでに亡くなっていましたので、父に当時の事情(公団の土地を一部占有していたこと)を聞いてもよくわからないようでした。この場合、時効取得を行使して、返還せずに済むことは可能なのでしょうか?よろしくご教授願います。
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質問者が選んだベストアンサー
質問者の方へ。No4さんの御指摘は正しいと思います。うっかりしていました。しかし、No4さんの意見と当方の意見と違うのは、直ちに公用廃止なしと言えるかどうかという点です。これを再度、考えてみました。 公団としては、公用が廃止されていないという点を主張してくるでしょう。どういったいきさつで公簿上の面積と違ったのか、その事情も問題となりますが、返還を求められている「土地の面積の程度」如何及び「現在の占有使用状況」如何では、対象部分の土地について黙示の公用廃止が存したという主張の認定可能性はあります。とくに、38年経ってから突然質問にあるようなような請求をしてきたとなれば、質問者に分があろうかと思います。 つまり「公用」とは、それぞれの対象物の持っている機能用途に照らして、その物が実際に公共の用に供せられていない状態にあると認められれば、それが黙示的でも廃止されていると認定されます。そこで、土地であれば「対象土地部分」について、38年間の間、祖父から父上に至るまで継続して自己所有土地として継続使用してきたとなれば、すでに公用廃止ありとの主張が可能でしょう。但し、その上に現に公団の建物が建っているのであれば無理ですが。 返還請求されている土地部分の上に公団の建物が建っておらず、質問者の方の父親の占有が公団住宅の敷地の一部に食い込んでいるだけという状況であれば、争えます。
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- World_loves_you
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公団がブロック塀を設置したのであれば、基本的に質問者には「過失」はない場合です。そして、問題の公共物ですが、今回の場合、ブロック塀を設置した時点で、現況、公団側の敷地外とされているわけですから、むしろ公団側の過失で20センチ幅の部分(なんぴとも入り込めない場所)、錯誤により公用を廃止しているとも言えます。 その場合、一切、時効取得不可能としたら、制度趣旨に反します。公共用物の時効取得が問題となる典型は道路など不特定多数人が使用している公共性の高い物について、要件を厳格に絞っていこうとしたものですが、今回の場合は同列には考えがたいと思います。 質問者の挙げた事実関係のもとであれば、時効取得はやはり争うべきではないかと思います。
- World_loves_you
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かなり強引な主張かもしれません。しかし、公用廃止の認定は各公共用物の機能形態ごとに異なるのであり、実際の対象物について、不特定多数人が臨場使用し立ち入り可能な箇所から、果ては他者の立ち入りが事実上不可能な他人の宅地内に取り込まれている場合まで、種々雑多です。判例の立場がごく限定的に解釈しているのは分かりますが、態様を問題として、その部分で争うことは可能と思います。
補足
占有の状況を補足させて頂きます。公団側は登記上の境界より20センチほど内側にブロック塀を設置しており、当方はその部分を自己敷地として占有している次第です。当家と両隣の家もそのブロック塀に隣接しているので、他人が立ち入る隙はありません。公共用物といえるかどうか疑問だと思いますが、公団住宅そのものが公共物だと判断するのであれば、その20センチという隙も公共物なんでしょうね。
- gigoparapara
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No5さんの主張は強引ではないでしょうか? 占有部分についてのみ、公用があるといえるかどうかかという基準で判断するなら、そもそも公用物について時効取得不可能とする意味がありません。 なぜなら、平穏公然善意無過失で10年間占有していれば、当然その部分については公用があったとはいえないからです。 また、No4では軽く触れる程度にしましたが、より詳細に説明すると 公用物としての形態・機能をまったく喪失し、公共用財産として維持すべき理由が無い場合に黙示の公用廃止が認められる というのが判例です。 つまり、判例は例外を極めて厳格に制限しております。 本件で公共用財産として維持すべき理由を喪失したといえるでしょうか? いずれにしても今回のケースが例外に当たるとは思えません。
- gigoparapara
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時効制度については基本的に既にコメントされている通りですが、一つ重要な問題が・・・。 公団の土地を占有してるんですよね? 公用物は原則として時効取得できませんよ。 例外的に既に公用物としての機能を消失している場合は、黙示的な公用廃止があったとして、時効取得可能ですが、今回はそれに当てはまりません。 公団の主張どおりにあなたには返還義務があります。 ただし、父や祖父は善意で占有していたのでしょうから、果実、つまり賃借料相当分については返還義務はありません(公団が訴訟提起すれば別です)。
- World_loves_you
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時効は公団に対して「援用」(時効による利益を受けるという意思表示)をする必要があります。これは時効の効果を巡る考えとも理論的に関連するものですが、判例は不確定効果説(停止条件説=時効により確定的な所有権取得の効果を生じるのではなく、援用を停止条件として生じるという立場)のようです。よって、この立場では、「裁判外での援用」(内容証明郵便)も出来ます。もちろん、訴訟になってから、その裁判の中で援用の意思表示をしてもよいのです。 質問者が、公団の土地返還請求に対して拒否していれば、最終的には裁判になります。是非、そうしてください。被告となって、その裁判の中で抗弁として取得時効主張です。公団側も訴訟をせざるを得ない立場にありますから、してきます。判決で正面から認定してもらえばいいと思います。今、特にすぐ動く必要はありません。
お礼
丁寧なご回答をありがとうございました。公団側の出方を待って、今後の対処を考えていきたいと思います。大変参考になりました。
- World_loves_you
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No1さんのおっしゃる通りです。時効取得の要件は平穏公然善意無過失で所有の意思をもって対象土地を占有する(自主占有)ことですが、平穏公然善意と所有意思は推定されています。 そして、現在の占有者の父上は占有を開始した祖父の占有を援用できますので、公団側が善意10年の取得時効(祖父・父で通算して10年占有していれば可、よって昭和52年には時効完成です)するのは困難でしょう。したがって、訴訟に持ち込まれたら、その中で父上が援用すれば良いのです。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。返還義務のないことがわかって、公団との交渉に安心して望めそうです。ただ、時効の成立(または所有権の成立)には何か手続きなどが必要になるのでしょうか。もし、差し支えなければ、教えて頂ければと思います。
- messe2006jp
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土地取得者が土地取得時に悪意(自分の土地ではないことを知っていたとき)の場合は20年間、善意(自分の土地ではないことを知らなかった)の場合は10年間占有することによって、時効を援用すれば所有権を取得することが出来ます(民法162条)。 そして、相続等で引き継いだ場合であっても時効は中断(期間計算はリセット)されません。 したがって、土地の返還義務はありません。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。大変参考になりました。
お礼
何度も質問にお答え頂きありがとうございました。大変参考になりました。