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刑法230条の2の公共の利害を優先し名誉毀損の罪に問われない発言とはどういう場合ですか

中学校の保護者会で、校内暴力の被害者の生徒の親が、加害者を名指しして暴行をやめるよう訴えた場合、刑法230条に該当し加害者と加害者の親の名誉を毀損したことになるのでしょうか。刑法230条の2の「公共の利益に関する場合の特例」の具体例としては公務員の行為を非難する場合は名誉毀損にならないようですが、例えば、保護者会において学校内で生徒達が快適な学校生活を維持するという「公共の利益」を目的として暴行をやめるように名指しで訴えた場合は、その特例に該当し許されるでしょうか、それともやはり名誉毀損で訴えられるリスクがあるんでしょうか。教えていただければ有難く存じます。

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.1

 名誉毀損罪は、相手方について公然と摘示した事実が「真実であっても」それにより第三者から受ける評価を低下させる虞があるとして、処罰されるのが原則です。  事実を摘示すれば、「暴力をふるうような生徒である」という評価が第三者からされるので、名誉毀損として相手方から言われ、告訴される可能性はあります。  しかし、一方で憲法は、正当な言論表現の自由も保障しています。そこで、名誉の保護と表現の自由の保障とを調和する見地から、刑法は例外的に名誉毀損として処罰されない場合を規定しているわけです(230条の2)。  例外規定は「真実性の証明」と言われるものです。これは、名誉を毀損される「相手方がどのような立場か」で要件がそれぞれ違います。刑法の230条の2の規定をあとで対比して読んでください。  なお、理論的には、成立した名誉毀損という犯罪の処罰を阻却する規定なのか、それとも犯罪成立要件としての違法性を阻却する規定なのかという争いはありますが、ここでは実益なく、不要です。  簡単に説明すると、「一般人」の名誉を毀損した場合は、(1)公共の利害に関する事項であること、(2)公益を図る目的でなされたこと、(3)摘示真実が真実であることという証明がされたこと、この3要件がすべて揃って初めて犯罪としては処罰されないのです。  次に、「犯罪行為」にかかる場合(今回の質問の生徒の暴行罪もここの問題です)は、前記(1)は「みなし規定」があって、「当然に公共の利害に関する事項である」とされています。これは、考えてみれば当然です。犯罪を犯罪として告発することは許されていますから。よって、他人の犯罪行為にかかわる場合は、(2)と(3)が「証明」されればよいことになります。  最後は、公務員及び公職の候補者にかかわる場合ですが、この場合は、広く主権者国民の言論批判にさらすのが妥当というという民主的考えから、(1)(2)について「みなし規定」があります。公務員は公僕として批判にさらされて当然、ゆえに国民の言論批判は公共の利害に関することで、かつ、公益を図る目的でされたものだと「みなされている」わけです。  今回は、上記犯罪行為の場合です。暴行という犯罪をしたのは、生徒であり、その事実を摘示しても、その生徒の親の名誉を毀損したことにはなりません。  なお、名誉毀損の成立要件中、「保護者会」ということで、特定少数者だけが、参加している場所という見方ができれば、そもそも「公然性」の要件の点に該当しないのではないかという考えも成り立ちます。ここは、問題があろうかと思いますので、仮に不特定または多数人の前で摘示されたとして、一応「公然性」の要件を充足する場合として、以下、述べます。  「公益を図る目的」とは、当該社会全体の利益を推進することとなる場合です。中学という社会内部では限られた「部分社会」ですから、その中学校としての全体的利益をはかる目的であれば、公益をはかる目的ありといえます。  質問者の方がお考えの通りです。  ですから、あとは、仮に名誉毀損として告訴された場合には、その暴行を振るっていたという生徒の行為が「真実であること」の証明ができれば、例外としての犯罪阻却事由に該当し、処罰されません。その証拠なり、関係者の供述なり収集しておかれればよいと思います。  これが用意できていれば、訴えられても怖くないし、リスクでもない。  なお、仮にですが、「真実性の証明」ができなかった場合でも、現在の裁判所の判例の立場は、その生徒が校内暴力をしているということを真実と信じた場合にでも、確実な資料と根拠に照らし、誤信したことについて相当の理由があると認められる場合には、故意が阻却されるとしています。分かりにくいかもしれませんが、その生徒の校内暴力を裏付ける証拠をしっかり集めておけば、最終的には名誉毀損罪とはならないのです。  多分、校内暴力で問題になっている生徒でしょうから、上記証拠関係は、収集できるのではと推測します。  すでに途中で回答していますが、結局のところ、「リスク」となるかどうかは、証拠の厚みとの兼ね合いです。

mlogic
質問者

お礼

大変クリアーに丁寧親切にご回答いただき有難うございました。大変勉強になりました。参考にさせていただき地域や学校の環境の向上に配慮しながら、自身の言動に役立てたいと思います。

その他の回答 (1)

  • kaku18
  • ベストアンサー率31% (27/85)
回答No.2

状況がわからないので断言はできませんが他にお子様を守る効果的な方法がないのであれば大丈夫だと思いますよ。 刑法230条の2以前に構成要件ないし違法性阻却されると思います。仮に告訴されてもよっぽど悪質でない限り起訴には至らないのではないでしょうか。 ただ、本来は担任教師に相談すべき事例だと思うのですが。

mlogic
質問者

お礼

ご教示いただき有難うございました。参考にさせていただきます。

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